実践心理学の始まり
19世紀中旬頃からは、心理学が実証的な科学として、哲学から独立した時期になる。
心身問題について、精神と物理的刺激との関係を解明しようとしたのがフェヒナーである。彼の方法は、精神物理学と呼ばれた。彼は、刺激と感覚との間の関数関係を求めようとして、感覚の大きさは刺激の物理量の対数に比例するというフェヒナーの法則を発見した。
意識研究を思弁的な研究にまとめず、実証的な実験を導入したのがヴントである。彼は、精神の本質を主体的体験である意識と考え、これを科学的に研究するために、徹底的な自己観察(内観)を用いた。その意味で彼によれば心理学は直接経験の科学であり、間接経験である物理現象と対比される。彼は厳密な条件統制を行い、この内観を用いて得られた言語報告データを分析した。そして、意識の要素は、単一感覚と単純感情の2種類であり、それぞれ質と強度という2種類の属性があると推定した。
さらにヴントは、これらの要素の結合の仕方には、受動的な連合と能動的な統覚があると考え、前者の連合については、イギリスの連合主義の伝統を受け継いでいる。精神が意識であり、この意識はこのような分析可能な要素から構成されるという考えは、構成主義心理学と呼ばれている。
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