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映画的な青春ではないが『佐々木インマイマイン(ネタバレあり)』

いきなりネタバレで申し訳ないが

映画を見る前に、高校時代の友達が死ぬ話だと聞いていました。
先入観的に、現代くすぶっている主人公→昔の友達の病気→ふりかえる過去→友達死ぬ→お涙頂戴→主人公のなにかが変わる……などというテンプレパターンを想像してしまいましたが、そんな安っぽいものではなく、観賞後にグッとくるものがありました。

佐々木とは

で、その亡くなる佐々木についてなんですが、たくさん舎弟を従えたカリスマヤンキー的な人や、行動力だけはあふれる凉宮ハルヒタイプや、芸術的な才能があるやつ(山田かまちタイプ)などを勝手に思い浮かべていました。
が、実状はといえば、みんなで佐々木コールをすることで全裸で踊りまくるだけのヤベーやつでした(教室には女子たちもいる)

輝かしい高校時代、というわけでもない

主人公は演劇をやっているのだが、華々しく活躍しているというわけでもなく、現在は仕事づくし(バイト?)。工場でダンボール箱を組み立てる地味な毎日で、本人は自身のことを『ハコ職人』と揶揄している。そんなとき、高校時代の仲間と再会し、佐々木の話になるのだが……。

そこから高校時代の回想シーンが頻繁に入るのだが、この主人公はスポーツをやっていて女子からモテていたタイプではない。むしろ女子とからむシーンなどほとんどなく、男四人のグループで佐々木の家にたむろしているシーンがやたらと多い。

ネグレクト気味? 佐々木の家庭事情

この、特に用もなく友達の家でだらだらとするシーンというのに既視感を感じてしまう。私の高校時代もそんな感じで、友人の家である者は漫画を読み、ある者はゲームをしたりと自分の部屋のようにくつろいでいたものです。

で、この佐々木くん、ゴミ屋敷のようなところに一人で住んでいて、いつも食事はカップ麺。両親や兄弟の気配はなく、いつも一人で、ごくたまに父親が帰ってくるくらい(それでもすぐにいなくなる)そのあたりの事情が細かく語られないのだが、ネグレクト気味に育ったことは想像ができる。

主人公のほうは祖母と二人暮らしで(両親がなぜ不在なのかは語られない)洗濯物の生乾き問題などが取沙汰されている。そんな家庭環境的にシンパシーを感じてる二人っぽいのだが、佐々木のある一言が主人公の人生を変えることになります。

佐々木に親しみを感じます。

佐々木がなにか一芸に突出した人ではなく、気のいいにいちゃんなところがよかったです。家庭環境のせいで反社会的な仲間とつるんだり、世の中を恨んで拗ねた態度をとったりすることなく、マナーにはうるさかったり紳士的な態度をとろうとしたり、美学がある。
性根の部分が優しいやつなんだろうと、好感がもてます。

肝心なストーリーラインについて、これ以上ふれるのはやめておきますが、ラストシーンはバカバカしいながらもグッとくるものがありました。


#映画感想文

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