友だちからはじまる利他性
こんにちは。ぬくぬくママSUN'Sかなちゃんこと中村香菜子です。
先週、県社協さんの集まりでいい講演会を聞くことができたので、そのことについて今週は少し書いておこうと思います。
今回お話を聞かせていただいたのは、認定NPO法人抱樸の奥田知志さん。
キリスト教の牧師でもあり、ホームレスの支援などをはじめ、たくさんの人を「ひとりにしない」という支援をされている方です。
まず、「抱樸」という言葉、はじめ全く意味がわからなかったのですが、
「ありのままを抱きとめる」という意味があるそうです。
これは、ぬくぬくママSUN'Sにも通ずるところです。
奥田さんの話は、本当に私の想いと重なる部分が多く、改めて自分の想いを再確認する時間となりました。
日本は今「自己責任論社会」。誰にも迷惑をかけず、自分たちで責任をとるのが当たり前、それが立派な大人とされています。
子どもたちの自殺は増加しつづけています。理由の第一位は「不明」・・・半数以上をしめる割合で、なぜその子が死に追いやられたのか分からないのです。
大人が「助けて」ということを忘れてしまったので、子どもも、「助けて」といえなくなってしまったのかもしれないですね・・・。
ぬくぬくママSUN'Sは、子育てサークル活動を通じて10年間ずっと乳幼児子育て支援をしてきたつもりです。困っているお母さんたちの力になりたい。孤独なお母さんたちを励ましたい。そんな思いで活動を続けてきました。そんな私も、孤独で、大変で、イッパイイッパイで泣きながら子育てしている新米ママでした。
何が正しいのかわからなくて、支援センターなどで教えてもらっても、励ましてもらっても、何か物足りない。
そんな時、自分が一番元気になれたのは、人のために何かができた時でした。私は、自分に余裕があったから、支援を始めたのではなく、自分に余裕がなかったからこそ、支援という活動に助けてもらったのです。
長いこと、私は「気持ちいい」思いをさせてもらっています。人の役に立てることは、本当に気持ちがよく、元気がでてくるからです。反対に、助けてもらってばかりで、自分が何もできない存在だと感じる時、本当に気分が落ち込んでしまいます。
ここ数年で私もやっと気づけたのですが、本当の支援って、その人に誰かの役に立ってもらうことなんじゃないかなって。
私は長年、無意識に子育てサークルの中でそれをやってきたわけですが・・・。改めて本当に思います。
私も、もっともっと、人に頼ってみんなに助けてもらったらいいんだって、その時に思いました。それでもやっぱり、自分をかっこよくみせたくって、なかなか人を頼れない時も多々あるんですが・・・。
そんな時は自分が本当に情けないです。まだまだもっと自分をさらけ出す努力が足りないといつも思います。
奥田さんの話の中に、こんな話もありました。
人と人が関わることは「傷」ができることだと。
絆をむすぶと、傷ができる。本当にそうですよね。人間関係はいいこともありますが、傷もたくさんです。
だからこそ、より多くの人が健全に傷ついていくための傷の再分配の仕組みが必要だと・・・。
自己解決の自己責任論・・・。自分のことを一番に考え、他者に迷惑をかけないようにするのが、普通かもしれません。
でも、ひとりひとりが「利他性(隣人愛、他人のために他人を思いやる気持ち)」を高めていき、互いに助けてもらうことで「互いに助け合える社会」が作れるのだと思います。
利他性と利己性は本当に似ていて、どちらも必要で、究極、他者のことも含めて、自分のことを考えていくことなんだと思います。
「助けて!」といって、誰かに助けてもらうと、その「誰か」が気持ちよくなります。だから、「助けて!」と手を挙げ、助けられた人もだれかの力となり、助けたほうも、もちろんその人の力になっているのです。
その力の方向は、1方向じゃだめだと思います。いつも、「助けて」が循環している状態をつくりたい。完璧な人はできるだけいないほうが、みんなが完璧を目指さなくても大丈夫な状態を作れます。
誰だって、今よりよくなりたいし、人からよく見られたいから、それってすごくすごく難しいです。
でも、誰もが完璧ではなく、誰かに助けられ、誰かを助けている、そこがポイントです。
そして、支援者と利用者とか、お店とお客さんとかを超えて、決して支配のない同じ目線の「ともだち」になることが1番大事なんだと思います。
これは、個人レベルのことだけではなくて、家族同士でもどんどん友だち家族をつくって、街レベルでも、国レベルでも、どんどん友だちになることで、人と人が助け合える平和なまち、平和な世界をつくっていけるとおもいます。
ふと、仏教の地獄と極楽にあるうどんの話を思い出しました。
大きなお鍋の中のうどんを大勢の人が囲んで食べているけど、長いお箸しかなくて、自分の口にはうまく運べない。地獄では自分のことしか考えてないので誰もうどんを食べられないけれど、極楽では、向こう側にいる人に食べさせてあげているから、みんながうどんを食べられるという話です。
現代は、極楽に加えて、もう一歩いるんだと思います。「おなかすいた!」って、手をあげないと、湯気で向こう岸が見えない社会なのです。
「困った!」「助けて!」といえる友だちづくり。いろんなダメな自分も受け止め許してもらえる友だちづくり。が大事なのではないでしょうか。
子ども食堂も、子育て講座も、ツールにすぎません。すべては、みんなが知り合いになって、友だちになって、関係性を築いていくためのものです。
老後の資金のことがよく話題になりますが、健全な老後を迎えるために必要なのは、お金よりもきっと友だち。困った時に助けてもらえるつながりです。これは、国からもらうことのできないもの。自分が積み重ねて築いていくしかないものです。
私は、自分とみんなのために、そのつながりづくりのきっかけの種をまき続けようと思います!
隣の人に興味を持つ。隣の人を愛す。自分のことも愛してもらう。
この作業はめんどくさく、そして時に傷つくものです。
私もとても不器用で、人間関係もコミュニケーションもとっても苦手ですが、一生懸命たくさんの人のことを愛したいです。興味を持ち、わかりあい、助け合っていきたいです。
だって、どの人も大好きだから!ついつい距離が近くなって傷つきがちですが・・・それでも、それが私の生きる意味。それしかないです。
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