誰でもできる!日本語の授業で絵本を使う3大メリット編
授業準備を最低限にしつつ、学習者から「自分の言葉」を引きだす授業がしたい!!文法はテキストで教えるとして、どうすれば活気のある「アウトプット」を引きだせるのか?「教える」ばかりで学習者が能面のようにならないように。また、テキスト通りの回答ばかりにならず生きた会話を引きだしたい。当時新米日本語教師だったころ、私がぶつかった壁でした。
あぁ、絵本があった!
私は絵本のプロとして絵本についてお伝えする仕事もしています。そこで、考えてみると授業に使いたい絵本がたくさんありました。実際に使ってみると、その効果は想像をはるかに超えていました。日本語教師歴が短くても、授業準備を最低限にしても、学習者の「楽しい!」「話したい!」を引きだしてくれます。似たようなツールとしてドラマやアニメ、動画などもありますが、’絵本’は教師にとっても使い勝手がいいツールだと思いました。
ここでは、実際に使ってわかったことを、日本語教師側から見た『誰でもできる!日本語の授業で絵本を使う3大メリット』としてまとめました。
教師から見て使いやすい理由!
1)レベル選びが簡単!
日本人の子どもたちが赤ちゃんから大人まで楽しめる絵本。
ということは、もちろん日本語レベルも様々です。初級~上級、わかりやすいストーリーから余白を感じる物語まで。しかも、どのレベルでも「自然な日本語/コロケーション」「オノマトペ」「起承転結」があります。日本語のテキストには出てこない語彙があっても「絵」があるので指差しだけで理解の補助に!
2)学習者の好きなテーマを選べる!
’絵本大国’ニッポン!
学習者の好きなテーマも選び放題!乗り物、遊び、動物、料理、親子関係、友達関係、生活、(日本の)学校生活。四季を感じたり季節の行事を伝えたり。絵を描くこと、言葉遊び、スポーツ、国と国の文化の違い。もちろん翻訳絵本も大活躍します。
そして、日本語学習のための絵本もあれば、一般書だけれど日本語学習のためとしか考えられないような絵本もあるんですよ!
3)アイスブレイクから復習、応用まで使い方様々!
絵本だから初級者向け?いえいえ、全然そんな事はありません。日本語ゼロ初級から上級まで使えます。
「中上級向け」をイメージしやすくするために、今までに使った絵本と日本語学習者の反応を2例ご紹介しますね。
1.『パンダ銭湯』作 tupera tupera/出版 絵本館
大人を集めた学習者向け読み聞かせ会でも、どのレベルの学習者も手をたたいて笑う絵本です。「銭湯」なんて知らない言葉でもすぐにわかります。オノマトペがたくさんありますが、絵の力でわかります。
2.『あつかったらぬげばいい』作 ヨシタケシンスケ/出版 白泉社
「この本は深いですね!絵本は子どもが読む本と思いましたがこれは大人の絵本ですね」(N2勉強中)
「言葉はわかりますが、意味がわかりません」(N1合格)
という感想でした。
この場合(N1合格)の学習者は、本当に理解できている日本語レベルとJLPTレベルが一致していないことがわかりますね。(N2勉強中)の学習者の反応は、日本人からも同じ感想を言われることがよくあります。言葉と絵の組み合わせで、言わんとしていることを理解しているかどうか。(N1合格)の学習者は全体理解について弱点があることが明らかになりました。
アイスブレイクに使うもよし、文法導入や復習、読解、発話、イントネーション、作文など応用まで!テキストではありませんから、使い方は自由です。1冊の絵本でも様々な使い方ができます。
まだまだあります、おすすめの理由。
日本の文化が絵で伝わる。
繰り返し読むのも簡単!
絵(場面)だけを使うも良し。
PC等の機器がなくても使える。
役割語や方言も楽しめる。
こんな当たり前のことから書いていると書ききれないので、いずれまたそれぞれ詳細を書きたいと思います。ですが、こんな理由だけではありません。日本の「アニメ」が人気である理由、絵本にも通じるところが多分にあります。
実は、日本の絵本の発想やストーリー展開やは「海外にはない面白さ」があります。そもそも、こんなに絵本が選び放題なのは日本だけ、といっても過言ではありません。絵本という文化自体がない国も珍しくはないのです。このことは「絵本のプロ」としても仕事をしていますので、自信をもってお伝えできます。
まとめ~絵本は優秀な補助教材~
学習者から「YES/NO」「テキスト通り」だけではない生きた会話を引きだす教材として、絵本はすばらしい補助教材になります。もちろんハマらない時もありますが(笑)「このテーマはハマらない」というのも、使ってみたからわかること。テキストでは得られない学習者の素の反応が見られるのが絵本の良いところ。逆に、教師側が想定していない授業展開もとても楽しいです!学習者から「言いたいこと」を日本語で話そうとしてくれるのですから、その時にしかできない授業展開。まさしく’生きた授業’だと感じています。これから絵本を使った授業活動やその反応、使った絵本のご紹介などをnoteにUPしていきます。良かったらフォローして読んでくださいね。
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