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西の端の小さな島の歯科医院経営

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開業前の先生、開業して何かちょっと上手くいっていないぞという先生の役に立つかもしれない事を書き留めていこうと思います。宜しくお願いします。
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はじめに

2023年の5月で長崎県は西の端にある平戸(ひらど)市生月(いきつき)島で開業して18年になりました。 親が開業医でもなく、裕福な家庭でもないため、奨学金とアルバイトで大学&大学院の学生時代を過ごしました。 開業時は自己資金どころかマイナス800万からのスタートでした。 それでも、たくさんの皆さんに応援して頂いたおかげで、今があります。 応援して下さっている皆様、本当にありがとうございます。 そんなお金がなくても開業は出来るし、歯科医療を通して社会貢献し、また歯科医療は学

歯科医療は100人いれば100人を顧客に出来る素晴らしい仕事

車を買わなくて電車だけで十分と思っている人は、車を買わない。 テレビが家になくても困らないと思っている人は、テレビを買わない。 お酒を飲まなくても大丈夫な人は、お酒を飲まない。 中華料理が苦手な人は、中華料理店には行かない。 花粉症がない人は、アレルギー科のお医者さんにお世話になる事はない。 世間一般の周りの仕事をみてみると、100人がいて100人を顧客と出来る仕事はそうない。 ところが、僕ら歯科医療は、赤ちゃんの頃から、それどころかお腹にいる時のお母さんへの指導、そして

三つ子の魂百まで。フレンチレストラン or ファミリーレストラン

今回のnoteは、歯学部の学生さんや、研修医の先生から、僕が相談されたら話す事を書いてみます。ちなみに、 に書いていますが、僕のバイアスかかりまくりですので、注意が必要です。 1. 迷っている時に、やるべき行動将来の方向性が決まってなく、迷っている時、まずやるべき行動は、 ちょっと興味がある事をやっている先生に直接会って話を聞く 事です。 それは臨床に限らず、研究もそうですし、経営に長けている先生に会うのもありかと。そこで直接、目を見ながら話をして、本当に自分がやりたい

歯科医師なりたての若い時に、お金がなくても学ぶ方法。

前回の でも登場した故下川公一先生の話から。 俺がお前らに絶対に勝てないものがある。 それは若さと時間だ。 と。僕は来年50歳になるのですが、下川先生が言っていた事が解るようになってきました。 若い先生と話していると、お金がなかったから勉強できないと言われる先生がいます。そう聞いた時、僕は、 お金がなかったら時間と頭を使ったら良いじゃん! と心の中で思います。 具体的に僕がどうしてきたかを今回は書きます。 学生時代は、口腔外科医を目指していました。 教養課程の廃止の

大学院に進むべきか進まざるべきか...

歯学部の学生さん、研修医の先生方は一度は悩む問題かと。 僕は昔、高校教師に憧れたことがあり、伝える事が好きです。 学生時代も塾の講師や家庭教師をやっていました。 そのため、大学で教鞭を取る事も未来像として考えたので、迷わず大学院への進学を選びました。 するとある先生から 「卒後直ぐに開業医に就職して、少しできるようになって自身で開業したら、大学院に進学してから開業するのと比較すると、生涯年収が数千万から数億違ってくるよ。」 と言われました。 そのアドバイスに僕は、違和感を

『では, 予防歯科の話をしようか』歯科医療に携わる全ての人にお勧めの一冊.

2011年の初め、開業して5年以上経過していた時、様々なところからお声かけを頂いて、講演や執筆をしていました。 その時に、出会った一冊がこの本です。 その頃、予防歯科では『管理型』という言葉が流行っていたのですが(もしかして、今も...)、その言葉に違和感を感じていました。 自分自身が管理されるのが嫌いなので、患者さんを管理するのはどうかと。 実際どうしているかというと、担当の歯科衛生士と共に、基本ベースはあるけど、患者さんの、その時その時の状況に合わせて予防プランを考え

徳を磨いていくのには時間がかかるが、墜ちていくときは一瞬。

Clubhouseは、やっていますか? 僕は2月下旬からやっているのですが、本当にハマっています。 昨年、コロナ下で一人島にいると時間が沢山ありました。 Netflixで、普段見ていなかった作品を見る時間も増えましたが、一番増えたのは読書でした。 もともと本を読むのが好きなので、ビジネス書が中心になりますが、ありとあらゆる本を買っては次々と読みました。 そうするとClubhouseに、その本の著者が沢山参加されているんです。 本の裏側の話なんかも聞けて、とても面白いです

開業前の先生に僕がオススメする1冊の本

聞いたことは忘れてしまうが、見たものは記憶に残る。 しかし、自ら実践しないかぎりは、何も理解することはできない。 それでは始めよう。        ーマイケル・E・ガーバー 僕が在籍中は、歯学部で、歯科医院開業のための経営学を学ぶ機会がありませんでした。 僕は2005年に、勢いで開業したのですが、数年後に見つけたこの本があれば、そこまで苦労しなかっただろうなと思うお勧めの一冊です。 調和のとれない三つの人格が出てきます  起業家:変化を好む理想主義者  マネージャー:管理

「歯が折れたよ!」さて、次の手は... 超高齢社会の歯科医療

「歯が折れたよ!」 この声を聞くとドキッとします。 超高齢社会で歯科医療を行っているので、時々起こっています。 開院して来月始めで丸16年になります。 そんな中、長年通って下さっている方が多数います。 今、僕が一番悩んでいるのは、あと数年で100歳の方。 義歯を使いたくないとの事で、SDA(shortened dental arch, 短縮歯列)で何とか持たせてきたのですが、この1年で先日は3本目の破折。 この歯を抜歯すると、次々と雪崩が崩れるように歯列崩壊が起こりそう

そんな僻地で歯科医院を開業したって...

今回は2004年の秋、現在の生月(いきつき)島で開業を決めた時の話。 僕は、道具一つ一つにこだわりがあるので、 に書いたように、アラカルト開業をしました。 すると僕が一切採用しなかったパック売りを押す某有名メーカーの偉い人から一言、 「そんな僻地で歯科医院開業したって、  自費診療なんて選択する人いませんよ。」 でした。 当時32歳の若造だったのですが、そのお偉いさんからの一言で僕が何を思ったかと思うと、 「今まで上手くいっている先生がほとんどいないなら、  逆に上手く

進撃の歯科医療 vs 殿(しんがり)の歯科医療

僕は若い時、大掛かりな治療に憧れました。 サイナスリフトやGBR、GTRなどなど。 患者さんに一生懸命に説明して、この治療が良いんだ!と信念持ってやっていました。 しかしそのような治療は、腫れや痛みを伴う事が多いので、あまり喜ばれませんでした。そこに疑問を感じ、今は本当に必要と思う時だけ説明するようになりました。 先日朝1番に、待合室をみると4人の年配の患者さん達が。 平均年齢87.25歳 最高年齢95歳、一番下の方でも81歳。 皆さんお元気で、自分の足で歩かれています。

院長先生は良いんだけど、歯石取りが痛いのよ...

セカンドオピニオンで来院される方がよく言われる言葉に、 院長先生は良いんだけど、歯石取りが痛いのよ... です。 院長先生は、休み返上で一生懸命、研修会に参加し、より良い医療を提供しようと努力しているのに、先生以外の要因で転院を希望されるの勿体ないと思いませんか? そこで、今回は、そのような事がないように当院で、どのように歯科衛生士を育てているかをnoteします。 1. 院長自ら患者になる当院では、採用してから実際に患者さんの口の中を施術する前に、僕が患者役になりテストを

患者さんに応援されないと、何も始まらない。

開業を考える時って、 ・勤務医として長くなってきたから、そろそろ開業かな。 ・院長と方針が合わなくなってきたので、そろそろ開業かな。 ・基本的な歯科医療が出来るようになってきたから、そろそろ開業かな。 ...etc そんな視点が多いと思います。 しかし、そこに大きな問題があります。 お客さんとなる患者さんの視点がない 開業する先生の思いは、もちろん大切です。 理念なしの開業は、スタートダッシュにつまづきます。 それと同じくらい、 どんな患者さんに、どのような歯科医療を提

そもそも開業や医院継承をするのが良いのでしょうか?

勤務医の期間が長くなると、そろそろ開業、医院継承という話が出てきます。本当に勤務医より良いのでしょうか? 勤務医は大学院修了後2年しかやっていなかったので、そこまで詳しくはないのですが、色々な方から聞いている話を合わせて検証してみます。 1. 勤務医勤務医の利点は、借金を背負わず、経理やスタッフ管理もしなくて良くて、患者さんが一人も来なくてもお給料が貰える事です。 職人の歯科医師として働きたいという先生には向いています。 ただ、雇われ院長になると、そうも言ってられなくなり