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「親だって自分の人生を諦めない」ライター仲奈々が語る、自分も大切にする子育てのコツ

子どもを育てるということは、責任が伴う。だからこそ、「子どもが生まれたら、自分のやりたいことは我慢をして子ども中心の生活を送らなくてはいけない」というイメージがある。

いつか子どもは欲しいけれど、行動を制限されたら苦しくなってしまうかもしれない。そんなふうに、出産・育児に不安を抱いている女性は多いのではないか。

不安を解消する糸口を探るために、フリーライターとして活躍する仲奈々さんに話を聞いた。仲さんは2人の子育てをしながら、会社員からライターという新たなキャリアに挑戦。大手メディアで執筆するなど、忙しい日々を送っている。

そんな仲さんに、子育てをしながら自身の人生も諦めずに輝く方法を語っていただいた。

仲奈々さん
早稲田大学卒業。新卒で保険会社に入社後、人材会社、スタートアップでの勤務を経てフリーランスの取材ライターとして独立。
文春オンラインITmediaビジネスオンラインとなりのカインズさんを始めとしたメディアで生き方・働き方をテーマにしたインタビュー記事をメインに執筆。そのほか、大手食品メーカーやメガベンチャー等のオウンドメディア、パンフレット、採用ページ、LP、プレスリリースの執筆も行っている。
(X:@nanapan0728)

執筆実績より引用

家族のためだけではなく自己実現のためにも働く

ーーまず、これまでの経歴を教えてください。

仲さん:新卒では、安定した給与や充実した福利厚生に惹かれて、生命保険会社に入社しました。しかし仕事内容が合わず、精神的に大変な日々が続き、結局入社してから数年で退職することに。その後いくつか職を転々としたものの、どれも長くは続きませんでした。

一方で、周囲の友人たちは着実にキャリアを重ねて生き生きと仕事をしていて、生きるためだけに仕事をしている自分に、嫌気がさしていましたね。

ーー仕事ではお金だけ稼げればいいわけではなく、「生きがいを感じたい」という思いがあったのですね。

仲さん:私、今も昔も「仕事が生きがい」と語ることにめちゃくちゃ憧れているんですよ。なんでこんなに憧れるんだろうと自己分析してみたら、「これまでの人生で死ぬほど努力した経験がない」と思っているのが理由なんじゃないかなって。

今までは努力をするというよりも、その場の最適解を探しながら生きてきました。例えば就職活動では、本当はマスコミ業界に興味があったけれど「倍率が高いから」と受ける前から諦めてしまって。社会人になってから、「流れに身を任せて生きてきちゃったけど、このままでいいんだっけ」と、焦燥感に襲われたんです。

一方で、周りの友人たちは「必死にインターンを頑張って憧れの企業に入った」「寝る間も惜しんで勉強して、弁護士になった」など、きちんと努力を重ねて成長している。その姿がすごく眩しくて、羨ましくて。でも過去には戻れないから、仕事では全力で頑張る経験をしたい、と無意識に思うようになったのかもしれません。

ーーご自身の自己実現の意味合いが強かったのでしょうか。

仲さん:そうですね。あわせて、「生きるためだけに働いている」と思っているわりには、一家を支えられるほどの稼ぎを得るスキルも経験もないことにもコンプレックスを持っていました。努力をして自分にしかないスキルや経験を身につけ、自分自身が生き生きと働きながら、家族を守って生きていけるようになりたかったんです。

自分のやりたいことも大事にしながら子育てをする理由

ーー仕事での自己実現も、家族を支えることも、どちらも両立したかったのですね。ただ、子どもがいたら自分のやりたいことは我慢しないといけないのでは……と思ってしまいます。

仲さん:実は昔の私も、そういう考えでした。「子どもが小さいうちは、母親がそばについていないといけない」と思っていたんです。「仕事も子育ても頑張りたいなんて、欲張りなことしちゃいけない」と、仕事に時間を費やすことやプライベートを楽しむことを諦めていた時期もあります。

ーーそうだったんですね。なぜその意識が変わったのでしょうか。

仲さん:心の余裕が、家族との良いコミュニケーションにつながっていることに気づいたからですね。自分のやりたいことを我慢していると、だんだんと心の余裕がなくなっていって、やりたいことができていない理由を「家族のせい」にしている自分に気付いたんです。そんな自分が、すごく嫌でした。

思い切ってずっと挑戦してみたかったライターの仕事を始めてみたら、時間的には忙しいんだけれど、心はすごく満たされる感じがあって。

私は時間的な余裕があるよりも、忙しくても仕事で成果を出せていたり、プライベートで好きなことができたりしたほうが、家族との時間も大事にできると気付いたんです。

ーー我慢をすることで、心の余裕がなくなっていたのですね。

仲さん:行動の制限を、自分の方針で決めているならいいと思うんです。例えば「子どもが小さいうちは、仕事をセーブして家族の時間をたくさんとりたい」と思っている人なら、仕事をセーブしても心の余裕はなくならないかもしれません。

でも私のように、「(本当は仕事も思いっきりやりたいけど)子どもが小さい間は子育てに集中すべき」と固定観念によって我慢していると、「何も自分のことができなくて辛い」と、心の余裕がなくなってしまう。

なので、自分のやりたいことも大事にしながら子育てをするのが、私のちょうど良いバランスなのかな、と思っています。

ーー固定観念から脱却することで、考え方にどのような変化がありましたか?

仲さん:例えば、夫婦二人ともどうしても外したくない予定が同じ日に重なることってあると思うんですよ。「子どもがいるなら、夫婦のどちらかはやりたいことを諦めなくてはいけない」というイメージがあると思うんです。

以前の私だったら、「(母親が諦めるべきだから)私は家にいるからあなたが行ってきて」と言っていたと思います。

でも今は、どちらかが諦めるのではなく、二人とも諦めない道を探すようになりました。だって、めちゃくちゃ行きたい予定を諦めたら、絶対に後悔するじゃないですか。

まずどちらかの実家に相談して、それも難しければ延長保育や一時保育など預ける場所を探します。

毎日夫婦二人とも家を空けるわけではないので、絶対にやりたいことであれば「お互いに諦めない方法を探せばいいじゃん!」と思えるようになりましたね。

夫婦二人で探る、自分の人生も生きられる道

ーー自分のやりたいことを叶えたい時、パートナーからの理解はどのように得たのでしょうか?パートナーもやりたいことを我慢しているかもしれないと思うと、許しを得られるかわかりません。

仲さん:パートナーがいる場合、自分の固定観念を外すだけではやりたいことの実現は難しいですもんね。相手の固定観念も外すためには、自分だけでなく相手のやりたいことも尊重することが大事だと思います。

例えば私の場合は、パートナーが「友達と旅行に行きたい」と言った時には快く送り出すようにしています。自分のやりたいことを止められたくないなら、パートナーのことも止めちゃダメだと思うんです。

ーーお互いに我慢をしない関係って素敵ですね。

仲さん:転職、起業といったキャリアのこと、飲み会や旅行といったプライベートのこと、お互いにいろんな「やりたい」があると思うんです。でも「子どもがまだ小さいのに未経験の職種に転職するなんてありえない」だとか、「小さい子どもをおいて旅行するなんてありえない」と考える人もいますよね。

お互いに納得しているならいいのですが、どちらかが納得しないまま諦めてしまうと、結局「やりたいことを応援してくれなかった」と不満だけが残ると思います。私だったら、相手のやりたいことも心から応援できなくなっちゃう(笑)。自分らしく生きたいなら、一緒に生きるパートナーも自分らしくあれるよう、応援することが大事かな、と思います。

自分時間が必要なタイプが目指すのは、「一緒にいるだけで安心する」距離感

ーー親は、常に子どもの面倒を見なくてはいけない、というイメージがあります。私は子どもと接することが得意ではないので、できるか不安です。子どもとの距離感はどのように作られているのでしょうか?

仲さん:私はもともと、自分の時間を大事にしたいタイプ。なので、子どものことはもちろん好きですが、ずっと一緒に遊び続けるのは苦手かもしれません。

だからうちの場合は、「同じ空間で家族みんな違うことをしているけれど、一緒にいることが心地いい」空気を作るようにしています。カップルでも、2人で同じことをして愛を育む人もいれば、同じ空間で一緒に過ごすだけで充分、という人もいますよね。私は圧倒的に後者タイプです。

私と子どもの関係も、そういう距離感になれたらいいなと思っています。うちの子たちはまだ小2と年中なので、完全に大人同士のようにはいかないですけどね。

ーーそのような空気感を作るために、意識していることはありますか?

仲さん:特に意識しているわけではないですが、お互い好きなことをしていると、その空気感になりやすいと思っています。私がパソコンで仕事をしている隣で、子どもは私にぴったりくっついてアニメを見ていたり、私が漫画を見ながらソファーでくつろいでいると、膝の上に子どもが乗っかってきて絵本を読んでいたり。

それぞれ別のことをしていても「家族が同じ空間にいるだけで安心するよね」という雰囲気作りをしたいな、と思っています。

ーー仕事やプライベートで自分の人生も生きつつ、母として愛情を持って育児をするために、どのような点に重きを置いていますか?

仲さん:インタビューライターという仕事上、時間や曜日関係なく仕事が入るため、他のお母さんたちに比べて子どもと一緒にいる時間は長くはないかもしれません。

だからこそ、普段からストレートに愛を伝えるようにしています。「いつも大好きだよ」「可愛いね」みたいな感じで。リビングでテレビを見ているような何気ない時でも、そういった言葉をかけるようにしていますね。

あとは、私やパートナーだけでなく、子どもが「やりたい」と言ったこともできる限り叶えてあげたいと思っています。例えば、映画に行きたいと言われたらすぐに日程を決めて実現させたり、習い事をやりたいと言われたら体験に連れていったり。

私が出張で2〜3日家を空けざるを得ない時もあり、寂しい思いをさせてしまう瞬間がないわけではありません。だからこそ、普段から子どもの「やりたい」を叶えることで、「楽しい」と感じる時間が少しでも続けばいいな、と思っています。


「母として生きること」と「自分の人生を生きること」は両立できると教えてくださった仲さん。

子育てに対して気負っていた重荷が軽くなった気がする。固定観念に縛られず、自分なりに子どもとの関係性を築いていけばいいのだ。ライフイベントを明るく迎えられそうな気がしてくる。

皆さんも家族のあり方として参考にしてみてはどうだろうか。


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