インナーを買い始めた2024秋
秋の朝は憂鬱だ。着る服がないからだ。
「秋服持ってないんだよね」、「毎年秋を過ごしてるのに何着てたか忘れちゃうよねー」と、毎年必ず言葉を交わす。
秋服の存在は忘れられる。そして一昨日着た服と同じものに手を伸ばす。
秋服ではプルオーバーが好き。1枚でそれっぽく見えて楽だからだ。
しかし、それだけだと服のバリエーションが増えていかないことに気づいた。似たようなデザイン、色の服を買うのはもったいない、だけどニットにはまだ早いしな……と思うと、買い足しができない。
そう、私の場合、「本当に」秋服を持っていなかったのだ。
インナーを使ったファッションは難しいと思い込んでいた。野暮ったく見えそう。そして何より、インナーは単体で見ると地味だし、もっとかわいいニットとかスカートを購入したい。
そんな時好きな女性シンガーソングライターが、ラジオでインナーを4枚買ったと話していた。色は同じだけどシアー度合いが違うもの、あしらいがあるものないものを見ていたら4つ買ってしまったというのだ。
一気にインナーという存在たちにときめき始めた。インナーって地味だけどこういうちょっとした差を楽しむものなんだ……!
その週末に早速買い物に行くことにした。
ひとまず、よく着ているプルオーバーやカーディガンに合わせられるものを買ってみようじゃないか。
インナー初心者であることと、服に軽率にお金をかけられる性分でないため、プチプラを数枚試着。そこで買ってみたのはこの2着だ。
①ライトベージュの薄手ハイネック
ハイネックの概念は、セーターか生地のしっかりしたものだった。こんな薄いハイネックなんて買うの勿体無いと思っていた。しかし、この薄さが可愛さなのだ。
「スウェットに合わせても可愛いですよ」と、近くにいたスタッフの方に重ねて見せてもらった。ニュアンスカラーとヒラヒラした質感が、クールな印象のスウェットに暖かみを増した。
しかも骨格ストレートに優しい、首がなくならない程度のプチハイネック。これは買いだ。
②白地に青字のロンT
ロンTには深いトラウマを抱えている。着るとパジャマみたいになるんだよなぁ……。
中学生時代、ロンTをイケてる風に着こなしている友人をみて憧れて着てみたことがある。骨格ストレートの私は鏡の前で大事故を起こしており、小学生ながら心に傷を負った。
ただ、カーディガンを羽織ればいいのだ。考えれば当たり前のことだが、ロンTを買うことに抵抗が強くあった私からすると、再びロンTを手に取ることがあるとは、と感動さえ覚えた。
秋の装いになるし、こなれ感が出た。
ファッションのトラウマと概念を覆し、あたらしい世界を開かせてもらった。