鎮魂歌ゆらゆら

「昆虫はキライ」
顔をしかめていた君が
公園の隅
蝉の亡骸
手のひらに拾い上げる

空に還ってゆく魂
ここにもそこにも向こうにも
まるで
夕暮れに映えるのを
知っているかのように

共に生まれた仲間たちと
また出会い
永遠に枯れない木にとまって
好きなだけ歌うんだろうね

風が少し強くなって
君の髪飾りの蝶々が揺れる
「どうぞご無事で!」
見送るみたいに

ラムネの空き瓶ぶら下げたまま
夏休み最後の一日

ちいさな命に圧倒されて
はしゃげない僕ら

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