正義のぶつかり合い ー映画『ぼくの家族と祖国の戦争』

ヒューマントラストシネマ有楽町さんで観てきました。予告を見る限りでは、人命救助に関する話なのかな?と朧げに想像を膨らませていました。

序章

実話をもとにしている。
市民大学の学長を務める父と、そこで働く母を持つ長男が主人公の物語。舞台となるのはドイツの占領下におかれているデンマーク。突如ドイツの兵隊が現れて「ドイツ人難民を200人ほど受け入れて欲しい」。断れない状況から渋々、市民大学の体育館を開け渡すことを約束する。

実際に来たドイツ人難民は500人以上

汽車でやってきたドイツ人難民は明らかに200人を超えていて、話が違うと兵隊に文句を言っても聞き耳を持ってくれない。急遽市民大学の体育館を藁を敷き詰めて受け入れを進める。ところが、さっきまで大量にいた兵隊が引き上げてしまい、難民たちへの食糧や医薬品などの支援が絶たれてしまうことを後に知るのだ。

止まらないジフテリア感染、そして死者続出

毎日何人もの死者が続出。難民唯一の医者が言うには「ジフテリア感染が起きていて患者隔離と薬が必要なんだ」。こちらからはこれ以上何も提供できないと伝えると「じゃあ墓穴を用意してくれ」。

治療開始の遅れは回復の遅れや重篤な状態への移行につながるため、臨床的に疑いがある場合、確定診断を待たず早期に治療を開始する必要がある。

wikipediaより抜粋

死者の多くが子供、助けるべく学長の父が動く

死者リストをみると大半が子供であることに気付く。目の前の子供達を助けるために、医者の家を尋ねてジフテリア感染に効く薬を調達して渡すことを決意する。その後がずっと悲しい展開で、ナチスの犬としていじめ、罵倒、最終的には自分たちが住んでいる街を追われて出て行くシーンで終わりました。

思ったこと

戦争で大切な人を失われた人達がレジスタンスを組み、ドイツ人に恩義を尽くした人間達を捕まえて拷問していくシーンはとても悲しいものがありました。自国の医者は誰も手を貸してくれない、ドイツは戦争降伏で病院が全て閉鎖、どうにもできない状況の中ただ墓穴を掘っては埋めるだけの状態。そんな悲惨な状況で目の前の子供を助けるための行動が非難されて、最終的には追い出されるのをみると、結局戦争は何も生まないなと思いました。

平和とは何か、そのとき自分だったらどう選択して行動するか、そんなことを考えさせられるとても良い映画でした。


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