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#料理小説

ミンギルとテウォン 1

あらすじ 1 牛小屋の隣 大陸の極東の端の半島の、そのまた北東の隅に連なる赴戦嶺や摩天嶺の山々の麓には、カラマツやトウシラベなどの原生林に抱かれた高原がある。  冬は寒冷で夏は涼しいその土地は、朝鮮で最も空気が澄んだ場所の一つとして知られていて、青々と茂る針葉樹林を映して深く静かに水を湛えた湖は名勝地として流行歌にも歌われている。  過ごしやすい季節には小綺麗で裕福な家族が別荘でくつろぎ、湖が凍る頃にはお洒落に厚着をした若者たちがスケートをして楽しむ行楽地が、そこにあった。

神喰いの花嫁/序章・目次

あらすじ「この美しい神さまを食べる私は、きっと世界で一番幸せな女の子だ」 神喰いの花嫁。それは神に嫁ぎ、神の肉を食べて死ぬ少女の呼び名である。大正時代風の世界を舞台に、死と再生を繰り返す神とその花嫁に選ばれた少女が出会い結ばれる。 生まれも育ちも違う四人の花嫁が、それぞれの幸福を見つけるジャポネスク・ジャズエイジ・ファンタジー。 序章 「とある少女と食物神の話」 ある寒い森の奥深くに、人に食べられるために生まれた神様がおりました。  美しい姿をしたその神様の肉の美味しさは

【短編小説集】少女は宴の夜に死ぬ

あらすじ 序章 「大帝と少女」 大嘉帝国の皇城の奥深くには、そこに招かれた者は決して生きては帰れない「饗花宮」という名の館がある。  四季折々の花が一年中咲き続けるその美しい居館では、皇城で大帝のための宴が開かれるたびに少女の命が一つ奪われている。  海を越えてもなお続く、広大な領土を誇る大嘉帝国は、地上に最も多くの破壊と滅亡をもたらした国でもあった。  この頂点にいる大帝は世界の全てを統べる支配者で、どの国の神よりも偉大な至高の救世主なのだとされていた。  鹿は草を食み

【短編小説集】偽王の晩餐と姫君の首(創作大賞2024中間選考通過)

あらすじ 評判の良い食堂を営む料理人である宵鈴は、ある日国に命じられて、王位を剥奪された廃王に仕えることになった。  廃王は現在の帝である叔父に毒殺されかけた際の後遺症によって精神退行しており、偏食の激しい子供のような人物になっていた。  宵鈴は味覚が過敏になっている廃王が美味しく食べられる献立を作り、廃王に気に入られる。しばらくの間、宵鈴は廃王のために料理を作り続ける穏やかな日々を過ごす。  しかし平和な日常は長くは続かず、宵鈴は廃王を毒殺することになり…。 「料理×歴

【短編小説集】お姫様が絶対に死なないおとぎ話(創作大賞2024中間選考通過)

あらすじ 眠ることに飽きた眠り姫に、王子様を撃ち殺す人魚姫。狼に餌付けされた赤ずきん、恋人に毒リンゴを贈ろうとする白雪姫…。  これは虐げられた少女のシンデレラストーリーでもなく、努力と才能で生き抜く女子の奮闘記でもない、綺麗事のお約束に囚われない姫君たちの恋物語。  女は生きる。男は死ぬ。 各章の内容 第1章 嗜虐趣味のある聖女が、幸薄な幼馴染の騎士を溺愛する話。 第2章 お金で何でも買えると思ってる武器商人の淑女が、一番好きな人は買えない話。 第3章 敵国の将軍の寵姫

【中編小説】大名古屋万博物語(創作大賞2022中間選考通過)

1988年9月、名古屋オリンピック開催。 2005年3月、愛知万博、通称大名古屋万博開幕。 バブル崩壊をものともせず、名古屋は世界都市・大名古屋として日本で一番の繁栄を極めていた。 万博会場のレストランでアルバイトをしている愛知県刈谷市在住の男子大学生の都築透一は、異国の美少女サフィトゥリと出会い、恋をする。 しかしサフィトゥリは隠された目的を持って万博にやって来ていた。 パラレルな名古屋を舞台にした、愛と叡智の裏万博青春小説。 0.栄光の大名古屋  一九八八年九月、