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【短編小説集】少女は宴の夜に死ぬ

あらすじ

 生贄として捧げられた不幸な花嫁の少女が神様と恋に落ちて溺愛、とかにはならないまま美味しい物を食べて死ぬ童話。
 もしくは神に捧げられる食材として選ばれた少女と、少女を殺しその肉を割いて烹る料理人の恋物語。

第一章の梗概
東の国の領主の娘であるギュリは、死ぬのも生きるのも嫌なほどに、無気力な日々を過ごしている。ある春にギュリは神に捧げられる生贄の花嫁として選ばれ、嫁いだ先の宮殿で自分を食材として殺す料理人の青年に出会う。青年の作るご馳走でもてなされた結果、ギュリは死んでも構わないと思えるほどに幸せになる。

 人喰いの神が統べる国の後宮に招かれた四人の少女たちを描いた、連作短編の中華ホラー料理小説。


序章 「大帝と少女」

 大嘉だいか帝国の皇城の奥深くには、そこに招かれた者は決して生きては帰れない「饗花宮きょうかきゅう」という名の館がある。
 四季折々の花が一年中咲き続けるその美しい居館では、皇城で大帝のための宴が開かれるたびに少女の命が一つ奪われている。

 海を越えてもなお続く、広大な領土を誇る大嘉帝国は、地上に最も多くの破壊と滅亡をもたらした国でもあった。
 この頂点にいる大帝は世界の全てを統べる支配者で、どの国の神よりも偉大な至高の救世主なのだとされていた。

 鹿は草を食み獅子は鹿を喰らう連鎖の上の、遥か高みに立つ大帝にとっては、生きとし生けるものは皆すべて食すべき存在である。

 だから大帝の宴には、ありとあらゆる食材が並んでいた。
 牛も豚も、鶏も魚も、羊も人間も、そこでは何もかもが大帝に食される供物となるのだ。

 そしてその中でも征服された土地から献上される人間の少女は、「犠妃ぎひ」と呼ばれて特に神聖に扱われている。

 生贄の花嫁として「饗花宮」に送られた後に屠られ、神に喰われて終わるのが、「犠妃」の短い人生だった。



各章のリンク

第1章 挽き肉入りの緑豆の丸餅―領主の娘と使用人の少年―

第2章 青魚の香蕉の葉の包み焼き―王と王になりたかった王女―

第3章 仔羊と白いんげん豆の土鍋煮込み―傀儡の王と奴隷の妃―

第4章 茸入りの団子の赤いスープ―身代わりの少女と田舎の幼なじみ―

終章 食卓の裏側

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名瀬口にぼし🍳
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