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まるで本物の会社?企画から運営まで子ども主体でつくるマルシェ~子どもの声に大人はどう寄り添うか~
毎年子どもたちが主体となって企画・運営する「トキワ松学園アフターマルシェ」。放課後NPOアフタースクールが運営しているトキワ松学園アフタースクールのビッグイベントです。
今年も夏休みが中盤となった8月上旬、夏マルシェが行われました!
トキワ松学園アフターマルシェとは?
アフタ-マルシェは、3年生以上の子どもたちがやりたいお店を企画から運営まで実施するイベントです。今年の夏マルシェのテーマは『「友達と」力を合わせてマルシェを作り上げる!』。今年は食事系のお店「おかしたこやき」や、水を使ったゲーム系のお店「折り紙すくい」などの新しいお店にもチャレンジしました。
子どもたちとスタッフの想いが詰まった夏マルシェ。その準備の過程と当日の様子についてご紹介します!
子どもたちでお店を決定!アフター独自の通貨を使って準備開始
さかのぼること、6月。実行委員が発足し、当日に出したいお店を決めるお店会議が開かれました。
マルシェでお店をやりたいという子どもたちが集まり、実行委員である6年生が主導して会議を進めていきます。
どのようなお店を出すかは、事前にアフタースクール内で実施した「マルシェにあったらいいなと思うもの」についてのアンケート結果も踏まえて子どもたち自身で考えていきました。
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子どもたちは学年ごとにチームを組み、各学年が出店できるお店の条件も踏まえたうえでどのようなお店にするのかを決めていきます。今年の夏マルシェでは、4年生は水を使ったお店が、5年生は食事系のお店が初めて出店可となりました!
最終的には、食事系のお店「おかしたこ焼き」、ゲーム系のお店「折り紙すくい」、「しゃてきアンドもけい」、「キラキラしゃてき」、「たのしみくじ」、そして販売系のお店「グリーンカーテン」の6つのお店を出店することに決定!
チームを組んだ子どもたちは役割分担を行い、やるべき作業とその期限を明確にして計画書を作成していきます。
出店もうしこみ書と計画書をスタッフに提出したら、いざ準備開始です!
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※子どもの名前にはぼかしを入れています
計画書を提出したら、1チーム5000モルを受け取ることができます。
モルとは、子どもたちが考えたトキワ松学園アフタースクール独自の通貨です。このモルを使って、子どもたちは準備資金から売り上げまで計算して運営します。
子どもたちはお店をつくるのに必要な材料を考え、スタッフにモルを支払うことで材料をそろえていきます。
高いものを買うとすぐにモルが無くなってしまうので、どの材料をどの程度買うのかも赤字を出さないためには重要なポイント。持っているお金を使ってどのようにお店を作り上げていくのか、まるで本物の会社のような体験ができるのがアフターマルシェの特徴の1つです!
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いよいよ1週間前!試行錯誤しながらみんなでよりよいものを作りあげる
マルシェの1週間前。アフタースクールの事務室では、実行委員の子が当日来店した子どもたち全員に提供するフルーツ飴の試作をしていました。この試作は4回目とのこと。
「今回はあんまり飴が固まらなかった!」「次はもう少しフルーツの水分をとってみよう」など、つくった後はうまくいったこと、うまくいかなかったことをメモに残し、当日をイメージしながら試作を繰り返していました。
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マルシェ当日に配るパンフレットも実行委員の手づくりです。来場したお客さんにとってわかりやすいようにスタッフとも相談しながら構成を考えていきました。
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一方、アフタースクールのお部屋では「グリーンカーテン」チームの3年生の子どもたちが、当日販売するうちわをつくっていました。
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好きなキャラクターのイラストを見ながら、描いた絵に丁寧に色を塗っていきます。みんなで見せ合いながら、「このキャラクターいいね!」「これもつくるのはどう?」などわきあいあいと準備する様子が見られました。
ついに当日!子どもたちの笑顔あふれるマルシェの様子をお届け
マルシェ当日がやってきました!
各チーム、午前中から商品や道具のセッティング、打ち合わせなど念入りに準備をしていました。中にはお昼ごはんを食べる時間も忘れそうになりながら、準備に没頭していたチームも!子どもたちが本番を前にソワソワ、ワクワク、している様子が見られました。
みんなでマルシェの成功を願って、本番のときを迎えます。
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13時に開店すると、低学年の子どもたちや保護者の方だけでなく、学校の先生や警備員の方などトキワ松学園にかかわる様々な方々が来店してくださいました。
お店チームの子どもたちは来店した低学年の子にわかりやすく遊び方を教えていたり、「景品ありますよー!」「おかしたこ焼き、今なら50%オフです!」など大きな声でお客さんを呼び込んだりする場面も。
また、子どもたち自身でシフトを組んで、お店番をする時間と遊びに行く時間を割り振っているチームもありました。
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※子どもの名前にはぼかしを入れています
今年初めての食事系のお店である「おかしたこ焼き」は、甘いものが大好きな子どもたちに大人気!常に行列ができていて、中には持っているモルをほぼすべておかしたこ焼きに使ったという子も。
お店番をしている子どもたちは大忙しでしたが、つくったおかしたこ焼きは完売で、「やりきった!」という達成感に満ちていました。
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他にも、「あたり」を引いたら子どもたちがつくったブレスレットなどの景品がもらえる「たのしみくじ」や、夏を感じさせる工夫がなされた「折り紙すくい」など魅力的なお店が盛りだくさん!
来場してくださった保護者の皆さんも、子どもたちが自ら考えてお客さんの対応をしたり、友達と協力して楽しそうにお店を運営したりしている姿を見て、とても嬉しそうな表情をされていました。学校の先生方も折り紙すくいなど子どもたちに混ざって挑戦しており、楽しんでくださっていました。
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また、マルシェは3年生以上でないと出店できないのですが、低学年の子どもたちにも見せ場があります。それはレゴです!
トキワ松学園アフタースクールの子どもたちはレゴが大好きで、日々たくさんの作品をつくっています。その一部を保護者の方や学校の先生方に見ていただけるよう、展示しました!
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子どもたちが好きなことを披露!個性豊かなパフォーマンスの時間
お店の時間が終わると、続いて有志の子どもたちによる出し物の時間です。
子どもたちが得意なことや好きなことをマルシェに来てくださった皆さんに向けて発表します。
出し物では定期プログラムのチアダンス、ピアノの発表、コマが得意で全国大会にも出場経験のある子のコマパフォーマンスや、マジックが好きな子のマジックショーが披露されました!
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大勢の人に注目されることで緊張したかと思いますが、子どもたちは全力で好きなことに取り組んでいました。時にはうまくいかない場面もありましたが、最後までやり遂げる姿はとてもかっこよかったです!
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スタッフに聞いてみた!マルシェに向けた子どもたちの伴走方法について
ここからは子どもたちをどのようにサポートしていたのか、トキワ松学園アフタースクールのスタッフに企画から実施に至るまでの子どもたちへの伴走方法についてお話を伺いました。
-お店を決めるときも子ども主体だったということですが、スタッフとして工夫したポイントや意識していたことは何ですか?
お店会議の時はほぼ子どもたちに任せていましたが、会議の前にマルシェで守ってほしいルールや条件について話しました。例えば、今年から5年生は食べ物のお店ができるようになったのですが、費用が限られていることや当日はだいたい保護者も含めて100人くらい来るので、その人数分つくれる食べ物にしてほしいなどです。できないことは最初にきちんと伝えることで、子どもたちもそれを理解してお店の内容を考えてくれました。後出しになってしまうと不満も出てくるので、最初にできないことはできないと伝えたことはよかったです。
-今年初めて食べ物系のお店もできるようになったということですが、きっかけは何でしたか?
コロナが明けてから定期プログラムでクッキングも始まって、子どもたちがすごく熱量を持って取り組んでいたので、「今年は食事系のお店もやってみない?」と大人から提案しました。それに子どもたちも「やりたい!」と乗っかってきたという感じです。
去年のマルシェでは少量ではありましたが、実行委員が来場した子どもたちに提供する用の綿菓子をつくっていて、それを見た他の子からやりたいという声があったので、今年はお店としてやってみようということになりました。
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-準備を進めていく中で工夫したポイントは何ですか?
お店の進捗状況を見える化したことですかね。準備の進み具合を確認する表をアフターの部屋に入ったら誰でも見える場所に掲示しました。子どもたち自身で今どの程度まで進んでいるのかが分かるようにすることと、スタッフが各チームの進捗状況を把握しておくためです。
夏休み中に準備を進める形だったので、なかなかチームメンバーがアフターに来なくて準備が進まないということも発生する可能性があり、そこが心配ポイントでした。
今どこまで進んでいて、今日はこれをやらなければいけないということが子どもたち自身で把握できたのはよかったなと思います。
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また、大人のスタッフがそれぞれのチームの担当になり、進捗状況を確認したり、時には子どもたちからのアドバイスにのったりしていました。担当スタッフを割り振る際は子どもたちに「どんな先生に担当になってほしい?」と聞いて、子どもの意見を反映するようにしました。チームごとに「工作に強い先生がいい」「ケンカが起きたときに仲裁してくれる先生がいい」などの意見が出たため、それにこたえられるようなスタッフの割り振りを行いました。
-継続的にマルシェを開催していくことの意義はどう感じられていますか?
2021年から始まったマルシェですが、反省点を生かしたり新しいやり方を取り入れたりする中で、今年は新たなチャレンジがありつつも企画・準備から当日の運営まで比較的スムーズに進めることができました。実行委員の子は去年もやってくれていて、去年の反省を生かして今年も率先して準備を進めてくれました。こうした積み重ねによって、毎年マルシェのレベルが高くなっているように感じます。
また、低学年の子どもたちは3年生になったらお店を出したいと言ってくれています。高学年の子どもたちが主体的に活動する背中を他の子に見せてくれて、低学年の子どもたちがそれに憧れをもって次の年に引き継がれていくことがマルシェを続けていくことの良さなのかなと思います。
アフターマルシェの取材を終えて
とにかく子どもたちが楽しそうで、熱中して取り組んでいたトキワ松学園アフターマルシェ。
マルシェが始まったころから主体的にかかわっていた実行委員の子によると、「実行委員として活動するのがすごく楽しいから続けているんだよね」とのこと。さらに「来年は卒業しちゃうから、マルシェの進め方について下の子たちに引き継ぎたい!」とマルシェを継続させていくことへの意欲も見せてくれました。
また、子ども主体の活動にはスタッフの伴走が欠かせません。トキワ松では子どもたちの「楽しい!」「やりたい!」という気持ちを尊重しながらも、できないことはできないと理由とともに伝え、しっかり準備の進捗状況を確認しつつ、子どもたちとスタッフが一緒にマルシェをつくりあげている様子が印象的でした。
子どもと大人が対話をしながら、一緒につくっていくこと。これが子ども主体の活動を進めていく1つのポイントになるのではないかという気づきを得た取材となりました。
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文:コミュニケーションデザインチーム・佐々木
▼トキワ松学園アフターマルシェについてはこちらの記事でもご覧いただけます。