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しっぽのある日常

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愛犬の犬生の日記
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そらまめ

そらまめ

「そらまめかぁ……」

 これが最初の印象だった。

 知り合いのおばさんから、

「シーズーの子犬、いたよ」

と、写真が送られていた。

 約二ヶ月前まで、同じシーズーを飼っていたのだが、そのコはまんまる顔で誰が見ても正統派のザ・シーズーだった。

 なので、送られてきた写真に写るこのコの容姿がまさにそらまめだったので、あの呟きになったのだ。

「う〜ん、そらまめかぁ……」

とかいいつつも、

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きったねぇ腹だなぁ

きったねぇ腹だなぁ

 我が家に来て、数日過ぎたある日。

 餌のことを「マンマちゃん」というのたが、マンマちゃんをあげる係が当時は、母の役目だった。

 たまたま、姉があげた日があった。

 翌日、ななの寝床兼おトイレであるサークルの外側に、ピーピーのう○てぃーが繰り広げられていた。

「なんだ? なんなんだ?」

 最初は、なんでサークルの外側に? と疑問だった。

 翌朝、まさにその瞬間を目撃してしまった。

 

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ななまん

ななまん

 我が家に来た頃は、先住犬が使っていたサークルがななのお部屋になっていた。 
 半分のスペースはおトイレ、半分は寝床になっていた。  
 大判のバスタオルをひき、あご乗せ出来るようにもう一枚の大判バスタオルを半円狀にして置いていた。 
 その中に小さな躰を入れ寝るのだが、気が付くとお腹を出して脚をピクピクさせながら熟睡していた。 
 不満があるときは、バスタオルにあご乗せ、とてもつまらない顔をする

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至高のおやつと普通のおやつ

至高のおやつと普通のおやつ

 ななには通常、二種類のおやつがある。

 お散歩の後、週一のお風呂の後、お出かけした後にあげる骨型のビスケットと、夕方のマンマちゃんを食べた後にあげる干しいも。

 これは冷蔵庫に入れてあるので、夕方のマンマちゃん後に冷蔵庫あたりをウロウロしてると、肉球お手入れ命のななでも、それを中断して様子を窺い、貰えそうならお座りして待つ。

 干しいものおやつを食べ終わると、ななの食の一日が終わる。

 

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マンマ命

マンマ命

 ななは、食いしん坊だ。

 小さい頃に、食べ過ぎで下痢をしたので、三日間の絶食を余儀なくされたことがあったからだ。

 絶食期間があけた翌日のマンマちゃんは、カリカリをお湯でふやかしてから食べさせるのだが、柔らかくなるまでは待てをさせられる訳で。

 いよいよ食べられるようになると、柔らかくなった十粒くらいのマンマちゃんを瞬殺で食べてしまうのだ。

 幼少期のご飯事情がこんなんだったから、

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お散歩行くの?

お散歩行くの?

 ワクチン注射が終わり、いよいよお散歩デビュー。

 ワンコはお散歩が大好きだと思っていた。

 先住犬はよく歩いた。

 よく歩いたが、ペース配分という言葉は知らなかったらしい。

 歩くだけ歩いて疲れたら、上目遣いで抱っこを要求してくるのだ。

 なので、ななも当然、歩くものだと思っていた。

 天気のいい朝。いざ、お散歩だぞとお外に出したら二十分間、その場から微動だにしなかった。

「なな…

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チミチミ噛み

チミチミ噛み

 家に来た頃のななのおもちゃは、

「ととさん」
と呼ばれていたクジラのぬいぐるみがお気に入りだった。

 手のひらより小さなものだが、当時のななには丁度いい大きさだった。

 そのととさんを与えると、しばらくは振り回すなりして遊んだ後、気が付くと静かにととさんを抱え込んでいるので何してるのか見に行くと、しっぽ部分を奥歯でチミチミと噛んでいた。

 それが始まると、ちぎれるまで噛み続ける。

 と

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肉球命

肉球命

 先住犬はよく歩いたので、肉球はガサガサでもまったく気にしなかった。

 ななは異常なほど肉球命な犬だった。

 朝起きたら、まず肉球をお手入れし、お散歩から帰ってきたらすぐに肉球お手入れが始まる。

 おかげで、いつでもプニプニの肉球を保っていた。

 散歩の前後の肉球お手入れは、ゆうに三十分は超えるほど時間をかける。 

 なのでお手入れの仕方にも、月日が過ぎるほど進化を遂げていた。

 初め

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お散歩とお出かけの違い

お散歩とお出かけの違い

 お散歩用とお出かけ用の服がある。
 お散歩の服を持ってくると、テンションがダダ下がる。   
 ため息をつきなが嫌々、服を着る。
 だが、お出かけの服を持ってくると、顔、瞳がまんまるになり、お鼻はウルウルで率先して、早く着せろとばかりに服に頭を突っ込んでくる。 
 お出かけの服を着せたら、すぐに連れて行かないと、視界をウロウロする。
 もしくは、玄関でドアに向かってじーっと待機している。
 一度

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待ての定義

待ての定義

 いつの頃からか、ななは待てが出来るようになっていた。

 サークル内の生活からトイレトレーニングのために、サークルの扉を開けっ放しにしたときに、お食事スタイルも変えた。

 一回づつ器台と計量カップにマンマちゃんを入れ、リビングであげるようにした。

 私の目の前にマンマちゃんの器台を置いて、人差し指を立て「よし」と言ってから食べさせることを繰り返していたら、出来るようになっていた。

 だから

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こっそり……

こっそり……

 基本、ななは人間の食べ物には興味がない。

 ただ、ときどき気になる食べ物と遭遇することがある。

 例えば、私が柿の種を食べていて、たまに一粒をこぼしてしまうとする。

 たまたま寝ていたななの近くにポトリと落ちてしまう。

 私は落としたことに気づいていない。

 ななは匂いで気づき、食べ物だと分かる。

 すると、なにやら怪しい動き方をする。

 よくよく観察してみると、頭の筋肉が微妙にゆ

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地団駄

地団駄

 ななの夕飯の時間は最初、五時半から六時の間であげていた。

 ところが年月が経つにつれ、四時半から五時半の間であげるようになった。

 平日はそんな時間だが、休日になると更に早くからソワソワしだす。

 リビングでテレビを観ていると、遠目から私達の視界に入るようにウロウロする。

 何度か繰り返す。

 なんの反応も示さない。

 近くまで寄ってきて私達の顔をじーっと見つめる。

 なんの反応も

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目が三角

目が三角

 ななはお出掛けが大好きだ。

 家族が出掛ける用意をすると、自分も一緒に行けるのかどうかで、ソワソワしだす。

 寝ている風を装うななの前をウロウロしていると、関心がなさそうな態度をとる。
 が、明らかに目が動きを追っているのだ。

「ななも行くか?」

 この言葉をかけると、即座に反応して顔もお目々もまんまるになり、お鼻はウルウルの超絶可愛い姿に変身する。

 お出かけの洋服を見せると、自ら頭

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マンガみたい

マンガみたい

 ななのマンマは、四回ほど替えている。
 二回目に替えたマンマちゃんは、軽いパフ状のものにした。
 だが、これを選んだ自分を罵ってやりたかった。
 計量カップに適量を入れ、目の前で少量づつあげる毎朝の光景のはずだった。
 最初は普通に食べていたのだ。
 突然、動きが止まり、硬直し、そのまま横倒しになった。
 最初は何が起こったのか理解出来なかった。
 倒れたななを触ると冷たくなっていた。
 マンマ

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