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愛犬の犬生の日記
ななが我が家に来て一ヶ月くらい経った頃。 抱っこしようとして、手を噛まれたことがあった。 親指の付け根から血が出るほどの噛み傷。 これは今のうちに教えなければと、このとき初めて真剣に怒った記憶がある。 まず、輪っかにした指でマズルと口が開かないようにし、ダメだと言った後は、しばらくななに反応しないように家族にも協力してもらった。 家族の眼の前をウロウロしても、誰も反応してくれない。 それを数回繰り返しても誰も反応しない。 明らかな放置プレイに、な
ななはおもちゃで遊ぶというよりは、チミチミと噛みちぎるコだった。 骨の形をした噛むと音がなるおもちゃがある。 ピコピコと音で興味をひき投げると、一、二回は手元まで持ってきてくれる。 それ以上になると、投げれば取りに行くが、三十センチ手前でおもちゃを落とす。 終いには、投げても見送る。 遊んでと持ってくるが、毎回、そうなる。 ……なぜ?
姉は、ななのことが大好きだ。 もちろん、家族もななが大好き。 親は静かにななを見守る。 私は基本、見守るベースでたまに、発作のごとくななの名前を連呼しチューの嵐を繰り広げる。 「仕方がないな……」 と、たまのことだから許容してくれる。 ところが、姉は一味違うのだ。 なな愛が強すぎて毎朝、ななの至福のときを邪魔し、なおかつ、やめろとサインを出すも気にせず構いたおす。 結果、何もしてないのに、 「ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」 と唸られる。 「お姉ちゃ
遠巻きからアピールを始め、最終手段を繰り出す瞬間 最終手段とは、 甘えた声+地団駄+しっぽを上下に動かす
ちょうど頭頂部分が白くて真ん丸で、ヘルメット被ってるみたいだった。
うちのコになった当初 ……さらに、二ヶ月が経ち すでに成犬と間違えられていた。
あくび、小げぶを一通りこなし、目で訴える。 ※小げぶ やりたくないことや嫌な ことがあると小さな ゲップがでるのだ。
不機嫌ではないのだが、つまんない顔。 この写真を見るたびに、なんだか「ドスコイ」の言葉が浮かんでくる。
家族で朝食を食べている時間は、たいていななはクッションの上で肉球のお手入れをしている。 たまに、ぽつんと独りが寂しいときがあるらしい。 ダイニングテーブルの下、家族の足を踏みつけてアピールをする。 「なな、痛いよ」 ちみっと足の指先を絶妙な強さで踏んでいく。 しかも、往復で。 家族全員でななの名前を呼ぶと、気が済むらしくまた、クッションに戻り肉球のお手入れをはじめる。
ななは春と秋の季節は、窓辺でお昼寝することがあった。 ぽかぽかおひさまが窓越しに入り、気持ちが良かったのだろう。 ある日、かすかに何かの鳴き声らしき音が聞こえてきた。 ななの声か? と声のする部屋へいってみると、後ろ足にカーテンが絡まり、片足が上がったまま、身動きが取れなくなったななが助けを求めて、 「くぅ〜ん、くぅ〜ん」 と、鳴いていた。 「なな!どうした!?」 巻き付いたカーテンを解くと、ななは何事もなかったように普通に歩いて行ってしまう姿
おこちゃまだった頃のななは、放置プレイが嫌いだ。 家族がドラマを真剣に見だすと、途端にサークルのプラスチック部分をわざと大きな音をたてて掘りはじめる。 「な〜な、やめて」 といって、素直に止めるはずもない。 チラッと家族を横目で見る。 家族の視線がテレビに集中する。 再び、大きな音をたてて掘る。 そして、チラッと家族を横目で見る。 声をかけられないと、不貞腐れて、私の部屋までやってくる。 作業をする手を止めずにいたら、足元をうろうろして、
ななはときどき、飼い主が大丈夫? と思うほどのくしゃみをする。 例えば、鼻血が出そうなほどの重みのあるくしゃみ……とか、十連続のくしゃみ……とか、床に鼻が擦れそうなほど頭を上下させるくしゃみ……とか。 たまに、本当に鼻が擦れたこともあった。 くしゃみで飛び出した鼻水は、まぁまぁな飛距離で、飼い主の顔に着地することもしばしばあった。 なながいなくなった数日後、姉が偶然、車の中でななが生きていた痕跡を見つけた。 「見てみて」 「なに?」 「ななの鼻水の跡」
うちのなな、吠えない、噛まない、暴れないコなので、ご近所さんに可愛がられていた。 「おとなしいわね」 と、頭を撫でてくれる人。 「可愛いわね」 と、褒めてくれる人。 「歩かなきゃ、だめだよ」 と、笑いながら声をかけてくれる人。 その中でも、会う頻度が高く、静かに褒めてくれ、頭を撫でてくれる人がいる。 すると、リアクションに乏しいななが自らぬーっと頭を微妙に差し出し、 「撫でていいぞ」 と、態度を示すのだ。 逆に、ななにとって好ましくない人が頭を撫
ななは散歩中、わんこに会うとご挨拶するコ、しないコ、それ以前の問題のコに分けられる。 おとなしいめのわんこには、控えめにご挨拶をする。 ちょこっとやんちゃなわんこには、挨拶されても微動だにしない。 大型犬に関しては、豆粒くらいにしか見えない距離から、ぴたりと立ち止まりしばらく様子を見ていたかと思うと突然、抱っこしろと必死にアピールしだす。 抱っこが完了すると、大型犬が近づいてお尻の匂いを嗅がれても、我かんせず、高みの見物状態だ。
ななは、シー・ズーだ。 紛れもなく、シー・ズー。 子犬と呼ばれる頃くらいまでは確かに、シー・ズーの顔つきだった。 ところが、成長するにしたがって、どことなくシー・ズーの顔つきとは微妙に違うのか? と思われる独自の路線を歩みだした。 鼻ぺちゃではなく、マズルが少し長くなりはしたが、雰囲気はシー・ズー。 横から見るとやっぱりなんか違う。 尻尾も胴体も長い長い。 一応、正統派シー・ズーと銘打っていたが、やっぱりなんか違う。 別に、違ってもいいんだけ
我が家の最初のペットのマルちゃんのハウスは、ダンボールをくり抜き、蒲鉾の板で表札を付けた手作り。 二番目のぴーちゃんは新調したサークル。 最後のななちゃんはぴーちゃんのお下がりのサークルをハウスとして使っていた。 マルちゃんもぴーちゃんもななちゃんも、ハウスにはなんの躊躇もなく自分の場所だと認識してくれた。 ただ、それぞれサークルに対する認識は違っていた。 マルちゃんはあってもなくてもどちらでもいい感じだった。 ぴーちゃんにとってサークルは、お仕置き