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お年玉とバナナとメロンパン

子どもがお金との付き合い方を学ぶには、どうすると良いだろう。

人との付き合い方にも正解がないように、お金との付き合い方にも正解がない。やはりお金の使い方も、人生を選び取るように自己決定できる方が幸福なのかなと感じる。

お金は扱い方や捉え方次第で、暴走する危険性のある代物である。危険だからといって、触れさせないのはもっと危険である。
人間関係と同じように、お金との付き合い方も、失敗しながら学んでほしい。

お正月に毎年もらう、お年玉。
毎年半分は子どもの手元へ置き、半分は子どもの貯金に回すというスタイルを取っていた。数万円は手元に残り、長男9歳には毎月の小遣いは無いので、そこから欲しいものがあれば、自由に使って良いという形で運用している。
長男は心配性であるため、本当に使いたいときかどうかを考えた上でお金を使う。そのため、数万円手元にあっても、大体余る。
使いすぎない点では、懸念は無い。しかし具体的な欲求に沿って自分のために使う経験が、もう少し必要そうである。

現時点では「なんとなく使いすぎないようにしよう」という感覚値でセーブしている管理方法である。そこに具体的な数字を見る習慣付けを行ってみる。

2025年の長男のお年玉は、大体3万ほどだった。
そのお金を100均で購入した「こづかい帳」に記録してもらい、そこから使い道を考えてもらう。

また渡してなかった小遣いも小学校4年生からは、学年+100円=500円/月額を渡すことも決めたので、事前に伝えておく。
小遣いは家の手伝いなど、日々の習慣を着実に行った上で、渡される前提も伝える。家の手伝いとしては、食後の皿洗い+週末の風呂掃除を行うようにしている。

年間での収入額の見通しを立てた上で、年始に入ってきた金額をどのように使うかを考える。自分の財布にある大きな額で、自分の欲しいものを選ぶ習慣がなかった長男は、少々迷っているようだった。

自分の欲しいと思ったものを、素直に考えるように促していく。心配性の気質を持つ子どもにしてみると、大きなお金を扱うということも勇気がいることのようだ。

悩んだ末に、15,000円ほどのLEGOのピーリーボーン(フォートナイトのゲームのキャラクター)を購入した。
細かな作業の反復が好きな長男は、1000個以上にもなるパーツを夢中になって数時間ほどで作り上げていた。作り上げたバナナを眺めては、満足そうにしている。
こうして自分で選択して作り上げてきた積み重ねが、本人のアイデンティティを構築していくんだろう。

最近まではお金に関するコミュニケーションが取れていなかったことで、大きな金額を自分で使うことはなかった。今年からは、自分が欲しいものを一定の金額をかけて買ってみるという経験をしている。

自己決定をするという行動が、「自分で選んでいい」と考える機会になったようで、今までは遠慮しがちで自分の意見を言えなかった長男に、少しずつ変化が現れているように感じる。
欲しいものを欲しいと思ったタイミングで、声を出せるようになっている。パン屋で好きなパンを選ぶとき、いつも選ぶパンと少し違う”メロンパン”も食べてみたいと話せるようになり、小さな変化が見られた。

今までは大人からすると当たり前に選んでいいと思う場面で、遠慮をして本人も気づかぬ間に我慢することも多かったのかもしれない。

「お金」は分かりやすい指標であるけれど、生活には欠かせない。距離が離れすぎても見えなくなるし、近すぎても良くない。やはり人付き合いとも、似ている。
少しずつ付き合い方を知っていくことで、どんな距離感で付き合うと、本人が幸せな気持ちでいられるかの指標を身につけることができるようになるといいなあと思う。



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