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緑の息吹に、いつもの存在のありがたさを知る
いつも側に居るひとに対して、できれば毎日感謝の気持ちを持って過ごしたい。
しかし日常を共に過ごす相手だと、いるのが当たり前になってしまう。
相手が変化していることに気づかなかったり、気づいていても気づかぬふりをして過ごしてしまうこともある。
気づかぬふりを続けてしまうと、手遅れになってしまうこともある。
我が家にいつもいる存在を、当たり前に思っていた自分を反省している。
我が家には一緒に暮らして9年目になる、フィカスアルテシマという観葉植物がある。
結婚して夫と暮らし始めて、1番初めに迎え入れた思い出の観葉植物。
去年夏に新居に越し、もちろん連れてきた。
思い出の観葉植物ではあるのだが、夫婦共に植物への知識も少ない。水をあげていれば問題なく、育つと思っていた。
フィカスアルテシマは、ゴムの木の一種で丈夫な植物である。
毎年冬に何枚か葉が落ちても、5月の新緑の季節には新芽を必ず出していた。
しかし一緒に暮らして7年目あたりから、新芽のリズムが崩れていた。去年は全く新芽を出さなくなり、葉は減っていく一方だった。
今年の4月ゲリラ豪雨と共に大量のヒョウが降った。
ヒョウが降ったとき、中庭から室内へ移動させてあげれば良かったのだが、ヒョウを子供たちと眺めているうちに止んでしまった。フィカスアルテシマの葉には穴が空き、葉も落ちてしまった。
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家に迎え入れた時は、20枚近くはあったであろう葉が6枚ほどに減ってしまった。
葉が少なくなると枝も痩せ細って見えて、もう育たないのではないかと不安になる。
そういえば8年も一緒に暮らしながら、フィカスアルテシマの生育方法を見直したことがない。
土も変えずにいる。
最近は家庭菜園を始めていたので、土に養分が必要なことなどは分かっていた。
一度野菜を植えた土を再利用するときは、養分を足したりする。
フィカスアルテシマの土は大丈夫なのか。
きっと8年ほったらかしにした土には、栄養もないのではないか。
そう思い植え替えをすることに。
根っこを見ると、びっくりするくらい根が短くなっていた。これでは元気に育たないであろう。
最近お気に入りのパンと日用品のお店わざわざで、「土いきかえる」という商品が紹介されていたことを思い出す。
まさしく今、我が家には「土いきかえる」必要じゃないか。
早速購入し、肥料の後に土いきかえるを散布した。
その後新芽の5月を過ぎ、出て欲しい芽は出ない。
やっぱりもうダメなんだろうか。
夫ともため息混じりにフィカスアルテシマを眺める日々。
今まで水やりしかせず、あまりに放って置き過ぎたね。
そんな会話が続いていた6月、芽が出た。
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ボロボロだった葉の近くの新芽がムクムクと育ち、葉が出てくる。
出始めた葉は1日であっという間に、小さな葉になり鮮やかな緑の姿を見せてくれる。その姿は、私たちに活力をくれた。
その後も水やりと共に、定期的に肥料と土いきかえるを散布し続けた。
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葉は少しずつ増えていく。
新芽が毎日のように成長する日々が、ひと段落していた頃。
長男5歳が言った。
「なにこれー!」
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なんと細々としていた枝にも芽が出てきている。
育て始めて9年目、初めての出来事だ。
本当に「なにこれー!」という、感動があった。
「植物は叩けば響く」
いつか何かの番組で、俳優の高橋一生さんが、そう言っていた。
その時は我が家の植物を、叩けば音がするほど手をかけてあげられていなかった。
だから、その言葉を聞いても、あまりピンとこなかった。
でも今では、その言葉の意味がわかる気がする。
8年も同じ時を過ごしながら、あまりに目を向けられていなかったフィカスアルテシマ。
8年という月日は、あっという間だったけどいつも側で私たちを見ていてくれていた存在。
根が短くなり、葉がほんの少しになっても、がんばって生きててくれてありがとう。
再び新芽がたくさん出た時の喜びを、経験させてくれてありがとう。
子どもに、枝からの新芽を発見する喜びを与えてくれてありがとう。
いつもいるからといって、当たり前に思ってはいけない。
相手の変化はないか、元気でいるか、ちゃんと見る。
ちゃんと見て、その変化に目や耳を傾けて、行動にうつす。
愛情を持って接していく。
結婚9年目になる今日。
いつも側に居る相手に感謝の気持ちを忘れずに、毎日を共に過ごさなければいけない。
そのことをフィカスアルテシマに、学ばせてもらったように思う。