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肥大化・形骸化する学校組織にストップを

こちらの本を学陽書房さんからモニターとして頂戴いたしました。ちょっと遅れたのですが、レビューを。

仕事は増えるよどこまでも

まず、大前提なんですが、「教員という仕事をしている人の多くは、良くも悪くもマジメ」です。マジメすぎるがあまり、仕事を少しずつあれもこれもできると増やしてきて、減らせないという、あまりよろしくないスパイラルを組織全体でたどっている印象があります。

特に、業務量を減らそうとすると、「そんなことできるの?」「保護者からは何か言われないの?」「これまでのままでよくないの?」みたいに不安ですという言葉の婉曲表現が飛び交います。でも、これって、企業でも同じで、カイゼンしようとするとふき出してくるんです。ただ、学校が違っているのは「勤務時間の概念が無い」のと「(完全に思い込みの)子どものためなら」の2点突破で現状維持バイアスを保っているというのが、学校外で働いていて部内の業務量調整をしていたものとしての意見です。とにかく学校は物質的なものだけでなく、業務量ですら捨てられない組織なので…そんなことは別の記事で書いてましたね。

多くある問題点のうち、1つを解消しようとしても残った課題が多くて結局元に戻そうとします。現状維持したほうが短期的には楽ですので。学校組織に必要なことは「仕事にかかる時間を減らす」ことと、「子どもに向き合う時間をつくる」ことだと考えています。そんな視点でのヒントが書かれているのがこの本です。

「できるわけない」の言い訳

この本では、大分の大学教育学部付属小学校の改革について書かれていますが、序章において、断行したものについて紹介がされています。たとえば

・「自作テストを単元テストの購入に移行」
・「手書き通知表・出席簿を電子化」
・「提案文章を原則ワンペーパー」
・「教員が集金していた行事写真をネット販売」
・「学級通信を学年通信で統一」
・「お茶当番廃止」
・「難しい保護者対応は教務が対応する」 等

これらのものを改革していった方法が第1章に、なぜ変われたのがが第2章に、行うためのヒントが第3章に書かれています。

読んでみると、当たり前のように感じることが書かれています。会社で業務改善に取り組んだことがある方にとっては「え、学校っていまだにこんなこことを・・・」と感じるかもしれません。当たり前のことができてないのが学校という組織体だと感じてます。保護者層の方は、ぜひ、外部の優しい声として「これ、やめたらどうです?」って言っていただけると、学校の中の人たちは助かります。

組織図は大事

「組織図を変える」という事例が取り上げられていますが、「組織図なんて変えたって忙しいし・・・そんなもの変えたって、できるわけない」みたいな言い訳を学校組織の方は口にします。組織図は全体がどうデザインされているのかを図式化したものなので、モノゴトの決定権はどこにあって、業務はどこに割り振られているのか過不足なく見える化するためのものです。ゴチャゴチャした組織図よりも、スッキリした組織図を描くことだけでも、それぞれの立ち位置が明確になります。

ワンペーパーでまとめる思考を

「提案文章を原則ワンペーパー」にすることで、情緒的になり必要のないことまで含めがち文章が洗練されて、提案すべき内容が洗練されます。何を目的としているのか、そのために何をするのか、いつから、誰が、どこで、どうやって、いくらぐらいのコストでやるのか。児童生徒たちに5W1Hを!という側の人間ですので、5W2Hで文章をまとめればいいんですよ。それ以上のことは、提案が通ったり求められてから伝えたらいいんです。

スクラップ&ビルドのスクラップを

学校組織は、とにかくビルドばかりをしてきました。第3章にも書かれていますが、「やめる」という英断が学校には必要です。いらないものをスクラップ!ただちにスクラップ。やらなくても学校は壊れたりしません。必要ないことまでやってます。全部なんてできません。あきらめましょう。だいじょうぶです、たいして変わりません。

1コマの授業案を作るのに何時間も掛けている先生がいらっしゃいます。少なくありません。企業時代にも実習提供してたのですが、教育事業に携わる人はマジメなので、放っておくと追求し始めてしまいます。で、時間がなくなります。効果は・・・大して変わりません。それよりは、途中でも、まとまりきらなくても、時間を区切ってビルトしたものを、子どもたちにアウトプットして、微調整してカイゼンをする。子どもたちと一緒に考えたら大きく変わりますよ。不安なのは最初だけです。まぁ、やってみましょう。


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