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「授業時間が足りないからどーしよう」な人たちに知って欲しい、各教科の目標及び内容(工夫事例とワークシートを添えて)

【追記:指導要領チェックシートをコピーして使えるようにしました。】

以下本文です。

イラっとしてます。

学習指導要領もきちんと読まずに、授業時間が足りないとだけ、何となくわめいていらっしゃる方たちに。

イラっとしてます。

新型コロナによる全国的な休校騒ぎのおかげて、『授業時間が足りなくて教科書が終わらない』というナゾの叫びがいつも以上に聞こえています。学校の先生たちにも、ついでに保護者や周囲の大人の皆さまたちにもお伝えしたい。授業の目標って教科書の内容を教えることがではないのですよ。

不安になる前に

授業が無いから、うちの子どもはダイジョブかしら?みたいになっている大人のみなさん。教員も含めてですけど。これを機会に、一度でいいので、学習指導要領に目を通していただけないでしょうか。

小学校は今年度から、中学校は次年度(2021年度)、高等学校は22年度からの改訂となる、学習指導要領です。これには、各教科における履修するべき内容が書かれております。そして、

各学校においては,教育基本法及び学校教育法その他の法令並びにこの章以
下に示すところに従い,生徒の人間として調和のとれた育成を目指し,生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとし,これらに掲げる目標を達成するよう教育を行うものとする。(学習指導要領 第1章 総則 一項)

とあるんですよね。「心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して」なんですよ。この状況下なので、地域の実態を考慮していいんじゃないですかね。教員の皆さまおよび周囲の大人の皆さま。適切に教育課程を編成すればよろし。それをしないで(ぽーいして)、授業が足らない!とか言うのはいかがなものでしょうか。

各教科の内容

でも、教科書の内容は習わないと・・・とおっしゃる方がいらっしゃるようなので、何をすべきなのかをまとめました。仕事上使うので、中学校理科の1分野だけですけど、公開しておきます。

ここに掲載しているのは、指導要領をそのまま引用して表にしたものです。これらの項目が中学3年間でおさえるべき内容です。

これ以下であってはいけないのですが、これ以上であっても問題ありません。これは少なくとも抑えるべき内容です。

例えば

【(ア)光の反射・屈折】の内容であれば、

『光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。』

が抑える内容であり、その際に、

◎全反射も扱うこと。
◎光の屈折で入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。

が取り入れなければならない内容です。

これだけ。

問題が解けるかとか、そういうことではなく。この点が抑えられているかが重要です。

【(イ)凸レンズの働き】の内容であれば、

『凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の大きさの関係を見いだすこと。』

が抑える内容であり、その際に、

◎光源の位置と像の位置,像の大きさの定性的な関係を調べること。
◎その際,実像と虚像を扱うこと。

が取り入れなければならない内容です。

これだけ。

作図ができるかとか、そういうことではなく。この点が抑えられているかが重要です。

本質的には、この筋だけ抑えていればいいわけです。これ以上のことは高校入試では問うことができないので、これ以上のことは触れる必要はないわけです。入試を作る側としては、この内容を吟味して、この内容の範囲の中で作成する(はず)なので、この内容にしたがって問題を作成しましたと言ええる必要がある(はず)。

むしろ問題になるはずなのは

【(ア)光の反射・屈折】の内容であれば、

光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。』

となっていますので、「光の反射や屈折の実験を行う」必要はあるわけです。実験を行うことで、

●水やガラスなどの物質の「境界面」で「反射」もしくは「屈折」することを見いだすことができるか。
●また、その際に「規則性」があることを見いだすことができるか。

がポイントです。さて、実験は通常時されているのでしょうか。そちらのほうが疑問です。忙しいからできない?工夫しましょう。以下に、この時代だからこそできることは山ほどありますので。

では、自宅でもできることはやってみよう

オンライン化ができているのであれば(BYODでもいいです)何か端末があるのであれば、以下のサイトを立ち上げてください。(PhETは便利なサイトですのでご活用ください)で、大人のみなさんは、子どもの頃に戻って遊んでみてください。使って欲しいプログラムは「光の屈折」です。

こちらを使って、以下のことについて考えてみてください。

1.水やガラスなどの物質の「どの」部分で光は屈折や反射をしていますか?

2.媒質を変えてみると、屈折はせず反射だけ起こることがあります。(それを全反射といいます)それはどんなときに起こりましたか。

3.光が屈折や反射をする際に、どのような「規則性」がありますか。特に「角度」に注目して考えてみてください。

これで、指導要領に書かれている内容はカバーできます。この3点さえ、おさえていれば、学習指導要領上は問題ないはずです。こうした工夫で乗り越えていくことが大事なのではないでしょうか。

このPhETのプログラムは平時でも各自が実験を手軽にできますので、使えばいいと思っています。タブレットでもPCでもブラウザベースで動くプログラムですので、楽しくバーチャルな実験が可能です。実際の実験を?可能であればいいですが、大人数で行うこととと、個人がそれぞれできることを考えたら、どちらを選んでもいいのではないでしょうか。バランスを取ればいいことですし、先生がガミガミ注意しながら実験して、なんだかよくわかんないってなるよりは、これで個々にコツコツやってるほうが楽しめるんじゃないかとも思うので。

実際のところ

中学1年生に割り当てられている理科の時間数は年間105時間。週3時間の時間数です。理科の物理・化学・生物・地学で均等に分けるとして、1つあたり約25時間。物理は「光と音」「力と圧力」の内容があり、5つに分けられているので、1項目5時間。

概算ですが、光の反射と屈折に5時間あてられるわけです。上の内容であれば、2時間もあればできるのではないでしょうか。ちゃんと実験して2時間で項目の履修は可能。どうですかね?あとの3時間分は探究的なことに回せるでしょう?本来なら。

コロナで休校になっているので、その部分を削減しながらの工夫ができるんじゃないですか。むしろ、いまから、それができてないなら、次年度以降の新学習指導要領に中学校は移行できないんですけど。平時であっても。

結局、言いたいことは

工夫したら、まだまだできることはありませんか?ということです。学校の側の人たちも、周囲の大人のみなさまも、少しずつでいいのです。オンラインの部分が無いと厳しいので、そこは少しずつ子どものために負担をいただいて、子どもたちの学びを続ける工夫はできますよ。

こんなワークシートを配付して、1~2週間をめどに回収するでもいいんですよ。このワークシートで、学習指導要領から外れているとは思わないですし、やるべきことはおさえられてると考えています。(むしろ、ダメって言える方は、どのあたりがアカンのか教えてもらいたいです)ワークシートを使う人は、ご自由にお使いください。

問題のプリントをただひたすら解くのではなく、こういった工夫がまだまだできるはずです。

教師のするべきことって

授業時間もないから「夏休み返上で」とか「土日も授業」とか現場の教師に言われるの嫌だし。対面で授業ができなくても、できることを考えましょう。子どもたちが学べる方法を考えましょう。『主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する』中で『生徒に生きる力を育むことを目指す』のがボクら教師の仕事でしょう?(学習指導要領を総則を読んでくださいね)

ボクも、知恵を絞って共有して、発信していきますけど。教師のみなさんも、少しずつ共有しあえれば、学びを待ってる子どもたちに、届くんじゃないでしょうかね。いま、教員にできることって、こういうことじゃないんですかね。

少なくとも、オンラインで発信できる状態にあるし、そのスキルもそこそこあるボクだから、できることはオープンに。フリーに。全国の困っている、使いたいと言ってくれる人のところへ届けばと。

いただいたサポートは、誰でも教員と会って話せる『会いに行けるセンセイ』の活動に利用させていただきます。