和食と短歌の型 「短歌人」2023年4月号より
料理をするようになった。昨年九月の引っ越しで、妻よりも私の方が早く帰宅することが多くなり夕食を作る機会が増えたからだ。
レシピの表示されたスマホを握りしめてスーパーへ行き、材料欄に記されている食材を一つずつカゴに入れていく。店内を行ったり来たりしながらのそれは、テレビゲーム内のミッションに挑戦しているようで楽しかった、のは料理を始めて半月くらいまでの話。新鮮味が失われていくにつれ、仕事終わりにレシピ通りの食材を買ってきて料理をするということがだんだんとつらくなってきた。