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回復に必要なのは、「やりたい」「やってしまった」「やめられない」と言える場所

「助けて」が言えない現実

松本俊彦著『助けてが言えない』では、依存症や生きづらさを抱える人にとって本当に必要なのは、「やめること」よりも「安心して話せる場所」だと指摘されています。

社会は、依存症の人に対して「なぜやめられないのか」「意思が弱いからだ」「努力が足りない」といった偏見を向けがちです。そのため、当事者は自らの問題を語ることすら難しくなり、「やめたいのにやめられない」「本当は助けてほしい」と言えずに孤立してしまうのです。

「やりたい」「やってしまった」「やめられない」と言える場所の重要性

依存症からの回復において、「やりたい」「やってしまった」「やめられない」と正直に話せる場があることはとても重要です。

松本俊彦氏は「回復とは『やめること』ではなく、『語れること』である」と述べています。依存行為をやめることを目的にするのではなく、自分の行動や気持ちを安心して表現できることが、回復の第一歩なのです。

このような場では、次のようなプロセスが可能になります。
1. 自分の気持ちを認める
• 「本当はやめたいけれど、やめられない」と言えることで、自己否定せずに済む。
2. 他者の経験を聞き、自分の経験を共有する
• 同じような悩みを持つ人と話すことで、自分だけが苦しんでいるのではないと感じられる。
3. 責められることなく、解決策を探せる
• 「なぜやめられないのか?」ではなく、「どうすれば生きやすくなるのか?」に目を向けられる。

「助けて」が言える社会をつくるために

「助けて」と言えない社会では、人は孤立し、問題が深刻化します。しかし、もし「やめられない」と言っても責められない場所があれば、回復への道は大きく開かれます。

私たちができることは、
• 「なぜやめないのか?」ではなく、「何が苦しいのか?」と問いかけること
• 依存症を「意思の弱さ」ではなく「生きづらさの現れ」として理解すること
• 安心して語れる場を増やすこと

です。

松本俊彦氏の言葉を借りれば、回復とは「やめること」ではなく、「語ること」から始まるのです。

引用

松本俊彦 (2018) 『助けてが言えない』PHP新書

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