本当に傘が送られてきた。
饒舌だったし、その場限りの話かもと思っていた。
おじさんの話は、本当だったのだ。
高級傘を家族分4本も。
母は晴雨兼用の黒の傘。縁取り10cm程に黒の上品なレースが重なっている。
父には焦茶で合皮の持ち手の傘。
弟には濃紺の傘。
私のは縦糸に抹茶色、横糸に山吹色の傘。布製なのに決して重くない、16本針の一番上等な傘。
それは花束でも届けられたように梱包されて贈られてきた。
大切にしようと思った。お礼の手紙を書いた。
そして、そのおじさんと会う事は、二度となかった。
傘の花束を
ありがとう
届ける方法を知らない
私の約束
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