見出し画像

片手鍋焙煎に“再現性”を求める。

皆さん
鍋振ってますか?
コーヒー愉しんでますか?

上手く焙煎出来た時のコーヒーの味、再現出来てますか?

『毎回味が違う』
『同じ生豆なのに毎回焙煎時間が変わる』

結構悩んでたり困ってたりする方、多いんではないでしょうか?

という訳で、今回は“手焙煎では難しい”と言われている“再現性”について、片手鍋焙煎をやり続けている僕が考える“再現性”を保つための『焙煎に関わる変数』と言える要素をご紹介します。

焙煎度が違っても各々で安定した再現性を維持。

焙煎を調整する為の変数(要素)

今までのnoteでお伝えしてきた焙煎中に『これを弄るとこういう焙煎結果になるよ!』という話の中で、何が何に影響しているのかを洗い出してみましょう。

①生豆の重量
 ②火力調節、③撹拌(鍋の振り方等) 、④焙煎時間の”全てに影響”

②火力調節
 ③撹拌(鍋の振り方等)、④焙煎時間に影響

③撹拌(鍋の振り方等)
 ②火力調節、④焙煎時間に影響

④焙煎時間
 ②火力調節、③撹拌(鍋を振り方等)に影響

※⑤その他
  生豆の含水率、スクリーンサイズ等

思い付く限り書いてみましたがいかがでしょうか?
書き出して見ると『①生豆の重量』の要素は全てに影響し、②③④はどれか1つでも変わると他の要素に影響を及ぼす“相関関係”にあることが分かると思います。

数学の式で出てくる“X”“Y”のようにこれらを“変数”として扱うと、解(答え)である『焙煎の仕上がり』が変わるという考えです。

『焙煎工程を“式”として考えるなら、“解”は焼き上がり』

※僕は数字が苦手なタイプの人間です。

と言ったところでしょうか。

逆に言えば、解である『焼き上がり』が決まっているなら、式の変数を調整することで解を合わせることが出来るとも言えるのではないでしょうか?

※⑤その他は扱う豆によって様々異なるので、ここからの話では省略します。

“変数”を固定して焙煎(式)を簡略化したい

という事で、焙煎を計算式のように考えるのであれば、毎回コロコロと数字や条件が変わらない方が楽に計算できますよね?
という訳で前項の①~④の性質から何を固定すれば楽になるのかを考えます。

①生豆の重量→『固定する』

これは他の②~④の全てに影響します。
鍋のサイズ、使うコンロの性能に応じた生豆の量でなければそもそも安定した焙煎を行う事すら難しいと思います。使う道具に見合った適切な量で毎回焙煎する事で、調整しなければならない要素が減り、かなり楽になります。

②火力調節→『※固定する』

これに関しては“僕の焙煎スタイル”に於いては火力は固定した方がやり易いだけであって、火力調節をしながら焙煎している方は沢山いらっしゃいます。
(むしろその方が多いかもしれません(;^ω^))

豆の量に対してしっかり温度上昇させられるだけの火力(熱量)があれば、そこをキープしてしまった方が楽です。理由は次の③にて。

ただし、焦げるくらい火力が強過ぎるのはNGなのと、カセットコンロではいくらツマミの位置を固定して火力を決めたとしても、ガスボンベの残量や気温の低さが火力のブレに影響してしまいます。そう言った部分での火力調節は怠れません。

これに気付かずに悩んでる人は案外多いと思います(汗

③撹拌(鍋の振り方等)→『固定しない(固定が難しい)』

“鍋の振り方等”と書いてあるのは、焙煎途中で温度を計測したり、煙を排気したりと細かな作業がいくつもある為です。
撹拌に関しては機械で一定に動くわけではなく人の手で行うものなので、上手く焙煎出来た時の動きを再現しようとしても体調や気分、その時の感覚などで確実にブレます。

ただし、撹拌中の『温度測定の回数やタイミング』『煙を排気するための蓋のパカパカ』などはある程度決めることが出来たりと、片手鍋焙煎における撹拌は『様々な条件でも臨機応変に対応出来る要素』だと思います。

前項の②火力調節で僕が『火力は固定した方がやり易い』と言ったのは、この“臨機応変に対応出来る”ことが理由です。

鍋を火にかける時間や頻度、火からの距離、鍋を振るリズムやスピード等、鍋底への火の当て方を手の動きで自在に変えられます。“視覚や嗅覚、聴覚などから得られる豆の変化”に応じてリニアに温度調整をすることが出来ます。
(※焙煎の経験を重ねて、手先の動きや五感をフルに使って豆の変化感じ取る能力を養うことが必要不可欠です)

※鍋の振り方やリズムを固定するのであれば、代わりに火力を細かく調節する必要があります。


④焙煎時間→『固定しない(出来るが無理は禁物)』

例えば含水率が高く焙煎の進みにくい豆に『〇分〇秒の時短焙煎をやる!』などの難しい条件で縛ると、①〜③で固定出来たはずの変数や式(焙煎工程)を全て崩して組み直す事になります。

また、時間を気にするあまり慌ててしまい、焙煎を失敗するリスクも高くなります。

『あ゛あ゛ぁ゛ーっ!』って事になります。

プロファイルを作る上で目標の焙煎時間は必要ですが、『焙煎時間のために①〜③を調整する』よりも、火力(温度)を高くすると焙煎が早く進むように『①〜③を調整する事で焙煎時間が決まる』という考え方のほうが、気持ち的にも焙煎中の作業的にも余裕が生まれると思います。

まとめ

僕の片手鍋焙煎の場合ですが

①生豆の重量
②火力調節


この2つを固定する事で③撹拌(鍋の振り方等)だけに集中する事が可能になります。

そもそも③は鍋を振る人の感覚に大きく左右されるので確実にブレるとお伝えしましたが、逆に言えば経験を積んで手先の感覚を鍛える事で、撹拌にステータスを全振りする事が出来ます。

撹拌のコツを掴んでしまえば、多少条件が変わろうと自在に焙煎をコントロールする為の強力な武器になります。

もちろん、焙煎の仕上がりの為に焙煎時間を先に定める事もありますが、基本はこれらの延長線上に④焙煎時間がついてくると考えています。

最後に

いかがでしたでしょうか?
僕が今までのnoteで『撹拌!撹拌!』としつこいくらいに五月蝿く言っていた理由が少しはご理解いただけましたでしょうか?(汗

焙煎に関わる変数を固定して気の散る要素を減らし、焙煎中の豆の変化と手先の感覚に“全集中”する事で焙煎の“再現性”を担保していると言っても過言ではないのです(`・ω・´)キリッ

“鍋振る珈琲屋”の所以はここにあります。

それでは!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?