
世界にひとつの芸術作品
私は、手紙というのは、絵画や音楽と同じように、一つとして同じものがない芸術作品だと感じています。
絵画や音楽と同様に、手紙も、その人独自の感性や個性が表れます。
言葉の選び方、表現のトーン、書き手の思いや気持ちが込められた文面は、一人一人異なり、一つとして同じものはありません。
また、手紙は単に要件や情報を伝えるだけでなく、書き手と受け手の間にあたたかで特別な繋がりを生むものです。
例えば、紙の質感や筆圧や筆跡、文字の崩れや太さ、大きさ。さらには匂いまでもが手紙そのものの一部となります。
手書きの文字の癖やリズム感は、書き手の感情や性格を直接的に感じさせますし、言葉遣いや語り口調、句読点の使い方などにも、人柄や個性が滲み出るものです。
ここに芸術性があり、言葉の選びかたや文体など、全てがその人特有の表現として積み重なることが、一つの作品のように感じられる理由ではないでしょうか。
さらに、手紙を書くという行為自体が、芸術の作品作りに似た、創造的なプロセスだと捉えることもできます。
書き手は、受け取る相手のことを考えながら、言葉を吟味し、感情や想いを表現します。
その過程は、絵を描いたり、曲を作ったりすることと同じような、深い自己表現だと思うのです。
さらには、手紙には時間と空間を超えて気持ちを伝える力があることも、芸術作品に通じる点です。
何度でも読み返すことのできる手紙は、読む度に感情を味わうことができますし、同じ文章を読んでも、読む時の状況や心境によって受け取る意味が変わることがあります。これも手紙ならではの奥深さですね。
こうした一つひとつの要素よって、手紙というのは、ただのコミュニケーション手段にとどまらない「作品」として、価値があるものといえるのではないでしょうか。
そしてそれが手紙の良さであり、人の心を動かす理由だと思うのです。
あなたも大切な人へ手紙を書いてみませんか?