【エッセイ】彼は「耳アカ」を食べている
私は「耳アカ」がすごく出る。
毎日毎日、お風呂上りに耳掃除をしていても、
翌日の朝には乾いて出てくる。
いっこうに無くならない耳アカ。
あまり奥の方をホジっては良くないらしいから、
手前の方を耳かきで「ホジホジ」している。
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小学生の頃、耳鼻科へ行った。
その時に耳アカを取ってもらったのだが、
私の耳は「耳アカが溜まりやすい」らしい。
耳の少し奥に小さい穴があり、
そこに溜まるということだった。
いまいちよくわからなかったが、
病気ではないらしい。
ただ、他人よりも「耳アカが溜まる」
というだけなのだ。
私は当初、それに対して特に不満はなかった。
たかが「耳アカ」が、他人よりも少し溜まりやすいだけなのだから、それくらいは我慢しなければならない。
しかし、耳かきで、溜まった耳アカを出していると、わずかながら不満を感じるようになる。
なんで私だけ耳アカが
「ボソボソ」出るのだろうか、と。
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以前、セックスをしたときに、
私の耳を舐めてくる男がいた。
「耳たぶ」から「耳奥」を「ベロベロ」と舐められた時、私はゾッとした。
なぜなら、その「耳アカ」を気にしていた事と、
さらに耳たぶに潰れたニキビができていたのだ。
もはや私は「耳を舐められて気持ちいい」とかそんな感情はなく、彼が耳アカと潰れたニキビを舐めてどういう反応をするのか、それだけが気になり、その後に続くプレイに関しては、上の空だった。
プレイが終わった後、彼は「耳を舐めるのが好きなんだよね」と言っていた。
私の耳アカや潰れたニキビが臭かったり汚い、という反応はなく少し胸を撫で下ろした。
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その彼とはもう会っておらず、
どこで何をしているのかわからない。
今考えるとその彼は、
いろんな女の耳を舐めていたのだろう。
私みたいな耳アカが多く出る人でなくとも、
誰でも少なからず0.001㎜くらいは、
耳の出入り口に耳アカが付着しているはずだ。
彼が口に含んだ耳アカは、
食道を通り胃へ流れていく。
そして胃液で「ゴオオオオ」と消化される。
彼の胃は、これまでどのくらいの耳アカを、
胃液で消化してきたのだろうか。
私が耳アカについて考えるときには、
彼の胃液の「頑張り」についても、
少なからず考えてしまう。
つづく。
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