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介護予防ハイクについて

【介護予防ハイク】とは、介護予防とハイキングの造語です。

趣味のハイキング(山歩き)を自分のため、家族の介護予防のため、50代以上からはじめてみたい方などに向けて、山や自然を感じ楽しむためにおすすめの場所や、知っておきたいことなどをお届けする【介護予防ハイク】。

◎介護予防ハイクの定義

・歩行時間:3時間半以内
・難易度レベル
【レベル1:★☆☆☆☆】
 
お一人で歩くことが困難な方(介助が必要、車いす、杖歩行、歩行器歩行)

【レベル2:★★☆☆☆】
お一人で歩くことはできるが、歩行状態が少し不安定な方、認知症などで見守り歩行が必要な方

【レベル3:★★★☆☆】
普段からお一人で歩ける方、近所の散歩や買い物等を日常的にされている方、歩行は安定しているが認知症などで見守り歩行が必要な方

【レベル4:★★★★☆】
普段からお一人で歩ける方、近所の散歩や買い物や外出等を日常的にされている方、ウォーキングやハイキングをされて、多少体力に自信のある方

【レベル5:★★★★★】
普段からお一人で歩ける方、近所の散歩や買い物を日常的にされている方、日常的に、ハイキングや登山等、トレーニングをされて、体力に自信のある方

・3つ以上のおすすめポイントがあること

気まぐれな更新ですが、ご縁のあった方々の人生をちょっと豊かになるきっかけになれればと考えています。

【介護予防ハイク】を思いついたきっかけは、普段、山には行かない母の知り合いの方が、山にいってみたいとのことでオススメした入笠山に行かれ、認知症を患っているご家族と普段とは違う、大変楽しい時間を過ごされたとの話を聞いて、趣味のハイキング(山歩き)がいつの間にか自分や家族の介護予防になっているって、とても素敵なことなんじゃないかと思ったことです。

介護の仕事の中でも、高齢者(80歳代以上)の方が、自然の中を訪れたり、植物や花に触れると、手をたたいて喜ばれたり、大きく手を広げたり、瞳を潤ませたり、昔話をたくさんしてくださったりと、普段とは全く違うたくさんの感情、表情、行動がみられます。

「もっと元気なうちに大自然に触れておけばよかった」「大きな森につれていってほしいわ」「最後に、大自然の中で美味しい空気を吸いたいわ」「山にロープウェイで行けるなんてしらなかった」などのお話も伺う中で、【介護予防ハイク】は、できるだけ体が元気な内に早めに始めることも、大きなポイントなのではないかと感じました。

山や自然の中にいること、自然に触れることを純粋に楽しむこと、それは、五感を刺激し、癒し、認知症予防、リフレッシュ、ストレス解消、精神的な安定、すでに要介護状態にある方は、症状を悪化をさせない改善させることなど、多様な効果があるとされています。
また、ハイキングをすることで、人との交流が生まれたり、歩くことの身体活動等から、健康増進や介護予防効果が期待できるとされています。

科学的にも、登山・ハイキングは、平地でのウォーキングと比べて、心肺系にも筋骨格系にも、大きな運動刺激をあたえ、バランスのよい体力づくりができるとされています。
理想的な有酸素運動であり、脂肪や炭水化物を燃やして運動するため、肥満の予防や解消にも繋がるそうです。

山本正嘉先生の書籍「登山と身体の科学」によると、登山・ハイキングは、<運動強度が適度に高い × 運動時間が非常に長い =心配機能や筋力を改善する刺激が大きい、体脂肪の減量効果が大きい>とのことです。

●坂道の上り:心配機能の改善、遅筋繊維の強化、脂質代謝の改善
●気候・地形がもたらす効果:さまざまな環境刺激による健康増進の効果、不整地面での歩行による脳神経系の改善
●坂道の下り:筋と骨の強化、速筋繊維の強化、糖質代謝の改善

参考文献:山本正嘉「登山と身体の科学」講談社、2024年5月

私自身も、登山教室やツアーでの経験から、山に登る多くの方々(自分も含めて)の様々な思いや、楽しみ方、様々な失敗や経験から心身ともに逞しく成長される姿を知る機会に恵まれました。

自然の中で、自然を受け入れ、自然を深く知ろうとし、あのままの自分と向き合い、自分を知ることができる山歩き。

好奇心の行く先は、山を歩くことだけにとどまらず、山の歴史であったり、植物、山小屋時間、温泉・秘湯、山麓の観光に広がったりと、意外と山が好きな方は、体育会系の方ではなく文系の方が多いのも、うなずけます。

山歩きは、自分の呼吸を感じ、自分のコンディションを感じ、現在地や先のルートを考え、今自分の周りで起きている土や落ち葉の感触、森の香り、周りの景色、風の音、雨の音、鳥のさえずり、人の声などを感じならが、一番に歩くことに集中する状態になります。
心配事や悩み事を抱えていたえも、歩いていることに集中しているので、考えすぎたり善悪や評価をくだすことはありません。逆に自分を客観的に見つめることができたり、解決策が浮かんだりすることもあり、下山後ちょっとすっきりとすることも珍しくありません。

登山・ハイキングは、運動が苦手でもはじめることができます。
人との競争ではなく自分らしく楽しめるもので楽しみ方は自由自在、一生続けることができる趣味であり、経験を積むと楽しみが深まり、広がります。
心身の都合で、もし途中でお休み期間があったとしても、また始められる。
また、人とのつながりが生まれることも大きな魅力です。

登山や、ハイキングはきっと介護予防にはいいだろうなと漠然と考えていましたが、科学的にも立証されており、これからの高齢化社会の中で、これほどよい生涯スポーツはないのではないのではないかと思います。

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