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2024年に読んだマンガBEST30

というわけで年末恒例、一年の振り返りnoteです。

今年読んだマンガの中で特に印象に残ったお気に入りの30作品をランキング形式で紹介していきたいと思います。

▼ランキング概要

①2024年中に一冊以上単行本が出た作品が対象
(後述の殿堂入り作品は除く)
②「新規」「続刊」「完結」混合(若干新規優先)
③過去のランキング入り作品も特に縛りなし
④「好き」「すごい」「印象深い」の総合判断
⑤順位は適当ではないが絶対でもない
⑥書影は新規は1巻、続刊は最新巻のものを採用
⑦🏅=個別賞受賞作

▼参考(2023・2022・2021年のまとめ)

▼殿堂入り作品

・ハクメイとミコチ(樫木祐人)
・ひらやすみ(真造圭伍)
・スキップとローファー(高松美咲)
・転がる姉弟(森つぶみ)

ここで言う「殿堂入り作品」の定義は「連載中かつ言うまでもなく好きな作品」とし、無条件で上位にランクインする恐れがあるため、ランキングの公平性を保つべく除外します。おすすめなので是非読んでみてください。





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>それではいってみましょう!<
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30位 三拍子の娘(町田メロメ)

今年最終巻が出た、自立した三姉妹の軽やかな日常譚。失踪していた父が世界的な指揮者になって帰ってくるというトンデモエンドがまた良かったです。あくまでフィクションで、どこまでリズミカルな人生讃歌。おすすめです。


29位 ギミーアグリー(江ノ内愛)

何もかも中途半端な自分の人生を嘆く主人公・久々原亜久里は、些細なことがきっかけで並行世界に飛ばされ、7人の「自分」に出会う。醜い(ugly)自分を肯定(agree)する内省的な物語。このマンガを読んでいない世界の自分にもおすすめしたい一冊でした。


28位 カッパ少年紅介 昭和妖怪恋物語(Ikeda Akuri)

カッパの少年・紅介を中心に妖怪たちの多種多様な恋模様を描いたフルカラーコミック。掲載媒体的にあまり話題になっていなかった印象ですが、個人的にはかなりヒットしました。鉛筆のような線で描かれるキャラクターが可愛い。


27位 あくまでクジャクの話です。(小出もと貴)

人間社会の色恋沙汰など全て「生物学」で説明がつく。身も蓋も無い残酷な現実を突きつける新時代のラブコメディ。あくまでエンタメとして楽しむ作品ではありますが、生物界の摂理を前にした時、人間一人の恋の悩みなんてちっぽけなことなのかもしれない、と教えられます。


26位 魔々勇々(林快彦)

マルチバース「勇者vs魔王」。今年1巻が出て、今年最終巻が出た林快彦先生の初連載作。打ち切りになってしまったとは言え、精一杯の締めくくりで自分は好きでした。次回作にも期待せずにはいられません。


25位 午後の光線(南寝)

家庭環境に悩みながら自身の暴力性を自覚する淀井と、とあるきっかけでグロテスクなものに性的興奮を覚えるようになった村瀬。痛みを抱える二人の少年は、お互いのその痛みを見せ合い、関係を深めていく。これを読めた2024年で良かったと思います。


24位 佐橋くんのあやかし日和(三卜二三)

摩訶不思議な生き物たちが日常に溶け込む、どこかジブリチックで胡乱な世界観。初登場時のバズりと書店での品薄状態が印象深かった作品。一冊完結かと思いきや話題になったおかげでシリーズ化が決まったんでしたっけ?良きことです。


23位 あなたが私を変えたから(橋本ライドン)

橋本ライドン先生の作品に出会えたのも今年の大きな収穫。先生のスタイル的にこの作品は少し異端かもですが、はじめて手に取る一冊としては申し分ないハッピーエンドでした。終わり方があまりにも好き。


22位 棕櫚の木の下で(メグマイルランド)

佐賀に住む小学生男女が伸び伸びと、時に荒々しく、遊びながら世界と対峙していく宝物のようなボーイ・ミーツ・ガール。見るもの全てが煌めいて、毎日を全身で味わい尽くしていた少年時代が蘇ります。表情一つ一つ、頭の先から足の先までエネルギーに満ち溢れた筆致に注目です。


21位 室外機室 ちょめ短編集(ちょめ)🏅

【ベスト装丁賞】コミティア出身の注目作家・ちょめ先生による初単行本。心の深くへと入り込んでくるような、でもふっと全てを忘れてしまう白昼夢のような、不思議なマンガ体験ができました。装丁のセンスもバツグンに良い。


20位 ひとひとがみ日々(古山フウ)

山奥に暮らす人の姿を持った神々の、穏やかで危うい日常。オールタイムベストに『蟲師』が入る自分にとって、この作品を好きになるのは必然でした。物語にはどんどん影が落ちてきているので今後の展開も楽しみです。


19位 きみの横顔を見ていた(いちのへ留美)🏅

【ベスト少女漫画賞】今年も多くは読めなかった少女漫画の中でも、その完成度に唸った作品。登場人物それぞれが好きな人の横顔を見ている。ままならない恋をこんなにも淡く儚く描けるなんて。なんだろう。早くメディア化してもらっていいですか。


18位 恋とか夢とかてんてんてん(世良田波波)🏅

【ベストタイトル賞】好きな人を追いかけて東京から大阪へとやってきたフリーター・カイちゃんの痛々しい恋の物語。好きなものも好きな人も、それをただ好きでいることがどれだけ惨めで苦しいことか、そんなことを考えさせられます。タイトルの「、、、」がすごく良い。


17位 友人の式日 るぅ1mm短編集(るぅ1mm)

今年はるぅ1mm先生の単行本が沢山出た年だった気がします。中でもこの一冊は特にお気に入り。一応BLジャンルですが、甘い豆腐みたいな読み味なので誰にでもおすすめできます。(ちなみにるぅ1mm先生は何故かこのnoteアカウントをフォローしてくださっている。)


16位 写らナイんです(コノシマルカ)🏅

【ベストヒロイン賞】憑かれやすい男子高校生と除霊しちゃう女子高生の青春×ホラーコメディ。もう「橘みちる」というヒロインを生み出してくれただけでもお釣りが来るほど偉大な作品です。我らが光。ちゃんと霊が怖いところもすごい。


15位 姉のともだち(高瀬わか)🏅

【ベストはじめまして賞】自分の家に入り浸る姉の親友が可愛すぎる、目が離せない年の差ラブコメ。今年はじめて知った漫画家さんも多くいらっしゃいますが、高瀬わか先生はその中でも筆頭です。シンプルに顔面が最強なひーちゃんがただただ眼福。


14位 ドッグスレッド(野田サトル)

『ゴールデンカムイ』の野田サトル先生によるセルフリメイク作品。安定した作風で描かれるムサ苦しいほど熱いアイスホッケー部の、青春という名の地獄。挫折からの復活、仲間たちとの争奪、突きつけられる現実、のしかかる重圧。盤石の面白さがあります。


13位 森のドロップス 銀ねづ短編集(銀ねづ)

作者は現役高校生という驚きの動物ほのぼの短編集(ロボあり魔法少女あり)。これ年齢関係なく普通に自分好みだったのでチョイスさせてもらいました。ふわふわもちもちした動物たちが幸せそうに暮らしていて笑顔になれます。マンガ界の未来は明るい。


12位 みずぽろ(一色美穂・水口尚樹)

それぞれ長野と京都から東京の高校に進学した二人の長身細マッチョが超過酷なスポーツとして知られる「水球」を始めてしまう青春スポーツコメディ。基本的には小気味いいギャグが魅力ですが、しっかりスポ根もしていて二刀流の面白さ。個性豊かなキャラクターたちによるシュールな掛け合いを是非ご堪能ください。


11位 ありす、宇宙までも(売野機子)

宇宙飛行士を目指すセミリンガルの少女が孤高の天才少年と出会うことで己を知り、未来を切り拓いていくガール・ミーツ・ボーイ。売野機子先生最新作にして、最売れ確実と目される期待作です。今年は過去の短編種もちまちま読み始めました。引き続き読み進めていきます。


10位 呪文よ世界を覆せ(ニコ・ニコルソン)

「短歌」がテーマの人生成り上がり物語。個人的に今年は短歌や詩、ひいては「言葉」について考える機会の多い一年でした。マンガもやっぱり言葉一つ一つを紡ぐものだと思うから、この作品の「日本語の持つ美しさへの視線」みたいなものが好きです。


9位 塩田先生と雨井ちゃん(なかとかくみこ)

男性教師と女生徒が周りに秘密で付き合うというフィクションラブコメ。元々大好きな作品ではありましたが、今年出た6巻で描かれた二人の過去と塩田先生の激怒シーンが本当に大好きで、何度も読み返しては何度も泣いてしまう。「人が一生懸命書いたものをバカにするな!」ほんとそう。


8位 ななどなどなど(宇崎うそ)

今年の12月に約2年半ぶりの新刊となる第4巻が出た、次なるきららアニメ最有力候補にして、きららMAXが誇る超(なな)弩級最強マンガ。引きこもりお嬢様とハツラツヒューマノイド(アンドロイド)の愉快な日常コメディ。これはもう「読んでください」としか言えませんので、是非読んでみてください。


7位 しかし火事獅子歌詞可視化(問松居間)🏅

【ベスト短編賞】彗星の如く現れた超良作短編。謎のVtuberが作り出す楽曲をきっかけに繋がっていく人と人の縁。登場人物たちの健気な人柄と伏線が回収されていく快感が合わさり、気持ちいい読後感を生み出します。あまりマンガを読まない人にもおすすめしたい一冊。


6位 サチ録~サチの黙示録~(茶んた)

初登場は今年ではありませんが、今年みるみる好きになっていったクソガキ人間審判コメディ。もう人間サチ悪魔ボロス天使ランが紛れもない「家族」なんですよね。単なるギャグマンガとも言えますが、この幸せな日々がずっと続きますようにと思いながら読んでいます。


5位 レタイトナイト(香山哲)

敬愛する香山哲先生が「発酵」を重ねた末に満を持して発表したファンタジー大作。細部まで拘り抜かれた架空の世界を旅する小さき者たちの冒険…と呼ぶには些か地味な、地に足ついた「生活」の記録。誰しもが現実という名の物語の中で自分の人生を旅している。そんな気分に浸れるRPGコミックです。


4位 双影双書(舟本絵理歌)🏅

【ベストエンディング賞】今年最終回を迎えた宮廷浪漫。もはや偏愛していると言ってもいいレベルで舟本先生の作品を推していますが、やっぱり作品の下地にある「優しさと芯の強さ」に胸を打たれるんですよね。それが大袈裟ではなく、あくまでさりげなくキャラクターやストーリーに内包させているところが魅力です。


3位 放課後帰宅びより(松田舞)🥉

怪我でサッカーを辞めてしまった主人公・瞬は「帰宅」にロマンを見出すハイパー帰宅部の先輩・直帰ちゃんに連れられ、二人だけの放課後を過ごすことに。ロマンと青春が詰まったハートフルラブコメディ。

個人的には今のラブコメ界隈の中心にこの作品があります。距離感が近くてちょっと変わり者で小さくて可愛い先輩に振り回されたい人生だった…


2位 ふつうの軽音部(クワハリ・出内テツオ)🥈

普通の高校の普通の軽音部の普通の物語を描いたちょっと普通じゃないほど面白い、ジャンプ+の新たな柱。「学校の部活」という閉じられた人間関係の中で、主人公の「はとっち」こと鳩野ちひろは今日もギターを掻き鳴らす。

今年最も飛躍した作品の一つであることは言うまでもありませんが、まだまだこれからもっと遠くまで羽ばたいて行ける力を持った凄作です。そういう期待も込めての2位。


1位 ザ・キンクス(榎本俊二)🥇

榎本俊二先生がおくる凸凹家族・錦久きんく家の日常を描いたホームコメディ。これは今年一番好きで、一番すごいと思ったマンガの一つです。

繊細かつ大胆な展開が読んでいて本当に気持ちいい。挑戦的なのに懐かしくて、何と言うか、読むと「新しい自分」にさせてくれるような、そんな突き抜けた新鮮味があります。ベテランが描く新しいギャグの形。

『ザ・キンクス』2巻より






以上、2024年に読んだマンガBEST30でした。↑のサムネ用画像、集合写真みたいで良くないですか?『サチ録』が小さめなのがポイント☝

そして、栄えある(ない)1位に選ばれたのは『ザ・キンクス』でした。おめでとうございます。

2位の『ふつうの軽音部』と肉薄していましたが、「新鮮味」という観点でわずかに上回った感じでしょうか。…いやでもやっぱり『ふつうの軽音部』も捨てがたい。

毎年言っている(思っている)ことですが、順位はあくまで気分です。『いちばんいっぱい』の精神です。このランキングを考える時間がかけがえのない楽しいものになれば、それでいいのです。


さて、この「毎月note」を書き始めて今年で丸4年になりました。

自分が読んだ作品に対するせめてもの誠意を示したいという気持ちで毎月読んだ作品「すべて」について書き記していますが、我ながらようやっとると思います。

(技量とかはまだまだ伴っていませんし、わざわざインターネットでこんなクソ長noteを公開するのもどうなのか、誰かが読むのか、という自覚はあります。)

時に億劫に感じることもありますが、この「読んで書く」のサイクルが滞りなく回る読書量が自分にとってのベストだと思っているので、自分なりの拘りを持ちながら、来年もちびちびマンガを読んでいこうと思います。

12月単体のnoteも大晦日に公開予定です。


それでは皆様、メリークリスマス&よいお年を。

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