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2024年9月に読んだマンガの記録

9月に読んだマンガを記録していきます。
今月からタイトルを変えてみました。

先月までの記録はこちらから▼

※以下ネタバレあり
※Amazonリンクはアフィリエイトリンクではありません


転がる姉弟 6 / 森つぶみ(小学館クリエイティブ/ヒーローズ)

9月一番楽しみにしていた新刊。姉のみなとと弟の光志郎、姉弟になった二人の愉快な日常を描くホームコメディーの大傑作。進路に悩むみなとは修学旅行へ、一方自由奔放な光志郎は学習発表会と、秋の学校行事が盛り上がる第6巻。

光志郎の日々の全てがあまりにもユーモラスで、いつか忘れてしまいそうな些細な日常をコミカルに切り取ったかと思えば、みなとのパートでは不安や葛藤、友人・家族との関係をも柔らかく描き出す。じんわりと心がふやけていく。この作品でしか味わえない心地だなあ、としみじみ思う。

イスジマの回・竜ですの回・カチョッの回で和み、みなとの夢の回で思わず泣き笑い、踊り出す。最高だぜぇ〜!!今一番読まれてほしいマンガです。


【新】午後の光線 / 南寝(KADOKAWA)

母親と母親の恋人との関係に悩みながら自身の暴力性を自覚する淀井。トラウマが原因でグロテスクなものに性的興奮を覚えるようになった村瀬。お互いの持つの”痛み”を知り、ささやかに生々しく関係を深めていく二人の仄暗い青春。そこに光は差すのか。

同人誌の商業版だそうで、衝撃のBLでした。世の中には読んだ後、読む前の自分には戻れないと強く感じる作品がいくつかありますが、これもその部類かもしれない。自分の真っ暗な世界を照らしてくれたたった一人の光る君へ捧げる詩。


ザ・キンクス 2 / 榎本俊二(講談社)

1巻から話題沸騰のファミリーコメディー、待望の2巻。

金久家の日常には、小さな小さな奇跡や発見が散りばめられていて、ページを捲る度に自分の皮がペリペリと剥がされていくような、生まれ変わっていくような感覚になる。すごい。

父母姉弟、みんな顔も性格も全然似てないけど、その凸凹っぷりが見事に嵌った時の快感たるや。こんなに新鮮な読後感を味わえるマンガが世の中にはあるんだ、と嬉しくなる。騙されたと思って読んでみてほしい。


【新】クイックオバケの動かない漫画 / クイックオバケ(トゥーヴァージンズ)

主にXでGIFマンガを投稿しているクイックオバケさんの「動かないマンガ」をまとめた初作品集。路草で連載していたみたいですね。連載開始!となって1話だけ読んでコミックの発売を心待ちにしていたので読めて嬉しいです。何を隠そう、クイックオバケラヴァ―なので。

内容は不思議な夜を彷徨うオバケの寄り添い系エッセイ。変な世界観好きには堪らない一冊でした。孤独な夜を越えた先にだけ迎えられる朝がある。

未来には一生追いつけないけど、ゆっくり歩いていこうじゃないか、と前向きな気持ちになれました。


【完】大丈夫倶楽部 8 / 井上まい(レベルファイブ)

モトカワさんこと元・芦川さんとの再会を果たした現・芦川さん。会って話して湯に浸かって思い出の指輪を渡してまた会う約束を交わす。それぞれがそれぞれの人生を歩んでいく中で、もねもまた自分の「大丈夫」を踏み締める。

『大丈夫倶楽部』としての物語はここでおしまい。最後の終わり方良かったねぇ。まさに「SF(少し不思議)」を見事に描き切ってくれたと思う。実に変なマンガで大好きです。これからも、きっとずっと大丈夫!


【新】ハヴィラ戦記 1 / みのすけ(集英社)

奄美群島で発見された小人・蝶人ハヴィラッチュ。その大きさ以外は人間と変わらない絶滅危惧種の生物たちは、人間の手によって保護・管理され、交配するツガイをも決められる。蝶人の青年・忍野はツガイであるマイに想いを寄せているものの、二人の関係は上手くいっていない様子。そんなある日、彼らの世界が覆る大事件が起きる。

ほのぼのとしたタッチでエグい世界観を描く意欲作。自由を望み外の世界を目指すか、餌生物として箱庭で生涯を送るか、ハヴィラッチュたちの理想と願いが渦巻く戦いの記録。


【新】私たちのブルーアワー 上・下 / ハトリアヤコ(KADOKAWA)

職場で後輩を怒鳴ってしまったさなえは、自分の中にある怒りの感情に戸惑い、部屋から出られなくなってしまう。そんな時、亡くなった祖母の友人が管理するアパートに半ば強制的に連行され、様々な境遇の若者たちと共同生活を送ることに。しかしそこにはなんと怒鳴った相手である吉村もいて…

自分や他人の受け入れられない部分との向き合い方を描いた「お暇系アンガーマネジメントコミック」。上下巻でスッキリと纏まっていて面白かったです。劇的なことは起こらないけど、くじら荘に少しだけ不思議なところがあって、それがまたさなえの人物像のリアルさを際立たせていて良かった。

作中のモデルは兵庫県の塩屋。明石海峡大橋の袂の町で、坂から見える景色の描写も印象的でした。作者の思い入れのある町の情景が浮かび上がってくるような作品、好きです。


【新】さらば、漫画よ 上 / 高見奈緒(イーストプレス)

異常気象で壊滅的な酷暑が続く東京。小学3年生の少年・皆蔵みなぞうは、両親の離婚と父親の再婚という家庭環境に戸惑っていた。そんな彼が救いを求めるのは、世界的にヒットしている人気漫画『モクモクマン』。

しかしその作者・獅子王ししおもまた、最愛の妻を亡くした心の穴を埋められずにいた。彼らの想いが紡いでいく、混沌とした世界の行方とは。漫画は孤独を救えるか――。

タイトルに惹かれて読んでみました。想像していたものよりもっとポストアポカリプスっぽいSF的側面もあって意外だったけど面白かったです。少年とおじさん、漫画を通して繋がる二人の「祈り」の物語。


【新】南緯六〇度線の約束 1 / うめ(小沢高広・妹尾朝子)(小学館)

戦後日本。軍の人体実験施設から脱走し、家族との再会を願う兄弟・アジンとドゥヴァの正体は「特殊耐寒強化人間」という獣人だった。二人ぼっちの”イヌ”兄弟は、国境なき南緯60度以南の地・南極を目指す。

うめ先生方の新作は、南極観測隊に同行した樺太犬・タロとジロの史実をベースとして重厚ヒストリカルSF。ずっと描きたかった題材ということで、力の入った引き込まれる1巻でした。


ルリドラゴン 2 /眞藤雅興(集英社)

約2年ぶりの新刊。おかえりという気持ち。この2年間、誰も忘れることなく待ち侘びていたであろうことは本当にすごいこと思う。「次にくる〜」には流石にもうランクインしなくていいけど。

帯電状態になってしまったことを母に伝え、二人でスポッチャで汗を流すルリ。ルリ母、ドラゴンと子を成しただけのことはあるな…という型に収まらない強者感がある。

クラスに馴染むタイミングを逃したルリを、大勢のクラスメイトが受け入れてくれる中、一人だけあからさまに拒絶する前田さんという生徒。理由は「他人に無関心だから」だと言う。

教室という箱の中で人間関係を築いていく上で、「ルリが人間とドラゴンのハーフであること」が重要ではなく、あくまで個々人の相性によって好き嫌いが別れていくのが素朴で良かった。

前田さん、相手を観察して嫌いなところを直接伝えて自分を考えを改めて謝れるってなかなかの強者。誠実さの裏返しというか、スキ振りカンストした状態というか、高校生らしさには些か欠けているとは言え立派だ。ちょっと性格には難あるかもだけど。

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【新】まめとむぎ 1 / 谷口菜津子(双葉社)

ファッション誌編集としてキャリアを描いていた麦は、社内不倫がバレて辞職。腐り切った日々を過ごしていた彼女はある日、思い出の居酒屋にふと立ち寄ると、客足ゼロの発酵食品居酒屋へと代替わりしていた。そこの店主・マメは愛嬌と発酵食への愛はあるものの、店舗経営に関してはテンでダメ。そんな二人の女性が出会い、お店と人生を”再発酵”させていく。

平行連載中の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」を受賞した谷口菜津子先生の新作。なんというか、良い食い意地の張り方をしているな〜と毎回思わされます。人間に必要不可欠な「食」の傍に生まれる物語を掬い上げるのが上手。

今作のテーマの一つが「悪いことをした人は一生幸せになってはいけないのか」というご自身の疑問と向き合うことらしく、身から出た錆ではあるものの、麦が発酵した先にどんな人生が待っているのか、今後も要注目です。


【新】ブラパト! ブランドパトロール 本日も異常なし! 1 / かっぴー・大久保ヒロミ(秋田書店)

東京のイベント会社で働くOLのカナは、長年の夢だったハイブランド「ブライト」の名作バッグ「フォーキン」を買うために意を決して店を訪れるも、それはお金を出せば買える代物ではなかったという衝撃の現実を突き付けられる。

かくして、湧き上がる自身の物欲を満たすべく、ブランド(ブライト)パトロール(在庫状況を確かめるため店舗に通い詰めること)の日々が始まったのだった…!

自分もバリバリに物欲高い方だから共感できるかと思ったらそんな生半可な世界の話ではなかった。実際にエルメスのバッグの在庫状況を監視する「エルパト」なる人たちもいるそうですね… 知らない世界だ。でもここまでなるとなんかもう需給のバランスが崩壊しているだけな気もする。


【完】霧尾ファンクラブ 6 / 地球のお魚ぽんちゃん(実業之日本社)

霧尾くんの闇に触れてしまった藍美と波は、後悔の念に苛まれながらそれでも彼に寄り添おうと想い立つ。閉ざしてしまった霧尾くんの心の扉を開けたのは、一途な気持ちを詰め込んだラブソング『涙なめなめソング』だった。

「波→藍美→霧尾」の関係を程良い(過剰な)キモさでもって最後まで描き切ってくれてありがとう。ちゃんと一丁前に感動する締め方で良かった。天国で望もモリモリ頑張っているよ。

実写ドラマ&アニメの企画も進行中、さらにはスピンオフも短期連載とのことでめでたい。


【完】ようこそ!FACT(東京S区第2支部)へ 4 / 魚豊(小学館)

Xデー当日。満を持して行動に移す先生と渡辺。もちろん望む結果に繋がることもなく計画は失敗に終わるが、それすらも「陰謀」として結論付ける先生に対して、渡辺は遂に精神的脱却を図る。

この世界に「運命」など存在しない。全てが「偶然」の重なりによって「結果」のみが並べられていく。飯山さんに出会い、陰謀論に齧り付き、吐き出し、告白し、玉砕。この結果だけに意味がある。天晴れだよ渡辺。

『チ。』のアニメも楽しみです。


【完】クロシオカレント 3 / こかむも(KADOKAWA)

摩訶不思議高知群像劇完結。あとがきにも書かれていた通り「物語の起きない群像劇」で、ブツ切りの”こかむもワールド”が水平線の彼方まで広がっていました。

いやでもめちゃくちゃ面白かったー。けどこれ他人には全然薦められないなー。この面白さは読んだ人の中にだけ残っていけばいいなー。ぶっちゃけこかむもさんの絵はかなり性的な部類に入る(クロシオカレントは健全な作品です)


【完】この復讐にギャルはいらない 4 / まの瀬(白泉社)

残念ながら打ち切りとなってしまったそうですが、新宮さんの正体と本心が描かれたのでヨシでしょう。基本的に新宮さんが有能すぎて橿原が復讐者にしては受け身すぎたかもしれない。

それでも「殺し屋の少年に優しいギャル」というキャラクターのパワーはやっぱり高かったし、それだけで物語として回っていたと思う。活きの良い小ネタも好きだったの、次回作でもこのノリを大事にしてほしいです。

恋とか夢とかてんてんてん 2 / 世良田波波(マガジンハウス)

高円寺くんを追いかけて大阪までやって来たカイちゃん。二人だけのデートで夢のような時間を過ごすも、「自分は彼に何も与えられない」「彼からも何も与えられない」という拭い切れない虚無感を抱く。今にも砕け散ってしまいそうな一人の女性の、あまりにも醜くて惨めで痛ましい恋の物語。

1巻に引き続き、身体の内側から何かが蹴破って出て来そうなマンガだった。カイちゃんが走った先に何があるのか、走った道を彼女自身が振り返る日は来るのか。せめて読者である自分だけでも彼女の姿を目に焼き付けたいと思う。


恋文と13歳の女優 5 / じゃが(芳文社)

子役の文乃とマネージャーの文。文は芸能事務所に中途入社する前、TVの制作会社でADとして忙しない毎日を送っていた。期待を裏切られ、摩耗していく日々の中、一人のグラビアアイドル・あかり(Iカップ)と知り合う。

文乃ほぼ出番なしの文過去編。元々仕事への情熱もあり要領も良かった文が今のようなドライになったのはこの過去編が関係しているんだろう。それにしてもIカップってすごいな…


ふつうの軽音部 3 / クワハリ・出内テツオ(集英社)

祝「次にくるマンガ大賞2024Webマンガ部門」第1位!予想通りと言えば予想通りだけどすごい。おめでとうございます。

鷹見と別れ、軽音部も辞めようとしていた彩目を、自分らのバンドに引き入れようと動くハトノたち。全ては厘の計画通りに進む中、鷹見の心無い言葉にキレたハトノが彩目に真正面から歌で想いを伝える。大道さんのアシストが光った名シーンは必見。

鳩野ちひろ、幸山厘、内田桃、そして藤井彩目が加わり、ガールズバンド「はーとぶれいく」として文化祭ライブに向けてひっそりと動き出すが果たして…!

はとっちを神と崇める厘ちゃんが、その神が神たる所以を理解して最大限に運用しているのが強すぎる。でもその厘ちゃんをもギャフンと言わせる空前絶後のパフォーマンスをはとっちには期待したい。あと仲間になった彩目ちゃんがどうしようもなく可愛い。一番好きなキャラ。

タワレココラボのピックもゲットできてよかった。


株式会社マジルミエ 13 / 岩田雪花・青木裕(集英社)

大規模魔法の規制緩和とアリスシステムの推進、岐路に立つ魔団連会議の場で、行方を暗ましていた鎌倉が霞ヶ関に「災害怪異」を解き放つ。16年前の悲劇を繰り返させまいと、重本のマジルミエ社は古賀のアスト社傘下に入る形で手を取り合い対抗する。

16年前に重本と古賀が味わった絶望と、水面下で追い求めてきた希望の光が身を結ぶか。「アリスシステム」の名前の由来とか重本社長の魔法少女コスの真意とか、熱い展開が続いて面白い。

10月からのアニメも楽しみです!


ウィッチウォッチ 18 / 篠原健太(集英社)

ちびニコは幼稚園を卒園し小学校へ入学。ミハルもモイちゃんたちと同じ翌檜高校へ入学。モイちゃんの父とも繋がっている怪しげ(味方っぽい)担任の先生とかも登場して、何かある風な雰囲気だけ醸し出して育児と青春の日々は続く。

そして漸く発表されたアニメ化!正直「やっとか」といったところ。スケダンよりだいぶわちゃわちゃしていて騒がしい画になりそうで期待です。


氷の城壁 13 / 阿賀沢紅茶(集英社)

晴れてカップルになったミナトとこゆんの関係は良好。もう思う存分いちゃついてほしい。一方の美姫は、ヨータに想いを告げる決意をするも空回り、ヨータも身の程を弁え萎縮してしまう。

間違えるかもしれない。望みすぎると困らせるかもしれない。それでいいじゃないですか。間違って困って困らせればいいじゃないですか。そんな二人だからこそ築ける関係があると思うんよ!(謎の読者目線)

次巻、最終巻!(1月発売と少し先)(描き下ろし期待)


サチ録 ~サチの黙示録~ 3 / 茶んた(集英社)

手違いでブラックベリーに登ることとなったサチたち。神様のおかげで事なきを得るも、とんでもない遠足となりましたとさ。他、前回の人間審判で人類代表となった少年やボロスの参観日など盛り沢山の3巻だった。ちびボロスの可愛さよ。

Ⓒ茶んた(集英社)/3巻収録第25話より

基本的にボロスのキャラクター造形が作中トップレベルで秀逸だし、サチ・ランとのバランスも最高。正直、もっと評価されていいと思う作品。ジャンプ+内では一定の地位を確立できてるのかな?第27話「己が道を行け!」とかお腹がねじ切れるくらい笑った。

ボロス録 本当に可愛い
Ⓒ茶んた(集英社)/3巻収録おまけより


逃げ上手の若君 17 / 松井優征(集英社)

土岐頼遠の圧倒的な力技の前に苦戦する時行だったが、北畠顕家の豪華絢爛な攻撃によりこれを打破。京へと進軍する一行の前に現れたのは、尊氏の執事・高師直らと、足利に寝返った時行のかつての師・吹雪だった。

止めどない野心によって冷たく豹変した彼の姿に圧倒されたこと、連戦による疲れが祟ったこと、そして何よりかつての仲間を気遣う優しさが災いし、時行は破れてしまう。

二重スパイみたいな展開を期待していたけど、吹雪との戦いは避けられなかったか。吉野で加わった公家の軍が顕家と時行の軍の士気を濁らせそうだし、雫は神力が限界突破するし面白い。アニメも良い出来で嬉しい。


あかね噺 13 / 末永裕樹・馬上鷹将(集英社)

志ぐま一門の一番弟子・まいける兄さんの真打昇格試験は、阿良川四天王が一人、全生師匠の悪質な根回しにより最悪な空気の中進む。兄弟子の破門騒動以降、客が”見たい”芸と自分が”見せたい”芸を徹底的に分けてきたまいけるが見せる、”あの日”からの因縁を断ち切る「ケジメ」の人情噺。

あかねの父親の破門騒動から始まった話なのでここで一気にカタルシスが感じられて気持ち良かった。作中珍しい「明確な悪者」の全生師匠の悔し泣きも上手く演出されていた感。

ただ、これもうあかねやることなくない?このままやっても父親の件がちょっとクドくなってきてしまう気がしなくもないので、何か新しい壁が欲しいところ。


ゴーストフィクサーズ 2 / 田中靖規(集英社)

人体を透明化させるゴースト【未確認飛行にうってつけの日】は、ただ対象を消すだけではなく、その人物の記憶も現実での痕跡もその「存在感」全てを消去するという最大警戒レベルの改変率を持つゴーストだった。

大きな校正任務を成し遂げたひふみと最果は、御厨ヶ丘ニュータウン唯一のファミレスで校正機構の雨宮と、今回の件のその後とそもそも何故この町でだけゴーストが現れるのかについて話していた。そんな中突如、店の出入口に「このファミレスから出れば死ぬ」と書かれた張り紙が出現する…

二つの校正ケースの完了までが収録されていて満足度の高い2巻だった。敵対勢力の重要人物も登場して物語の方向性もハッキリとしてきた感じ。

ゲーム好きな田中先生の嗜好が色濃く反映され且つジャンプ系らしい作品に仕上がっているな、と思います。


かげきしょうじょ!! 15 / 斉木久美子(白泉社)

100期生の最後の大舞台である文化祭の演目リプリング』の指導のためにやってきた『リプリング』の作者、故・駒木根信平氏の実娘・水野信美。指導者として心許ない部分はありながらも、遂に決まった配役を受け教室は盛り上がる。そんな中、覚悟を決めたさらさは長い癖っ毛をバッサリと切り落として皆の前に現れるのだった。

後半は番外編として『リプリング』そのものを収録。斉木先生の過去の読み切りのセルフリライトみたいです。普通に物語として面白かった。


弱虫ペダル 91 / 渡辺航(秋田書店)

九州・門司を出発したプロトンから飛び出したスプリンターたちは、「グリーンゼッケン」を懸けてしのぎを削る。総北の”チームSS”こと鏑木&段竹と箱学の銅橋。去年のリベンジを誓う鏑木は段竹と協力し、銅橋と互角の走りを見せるが、後方からもう一人の男、群馬陵成・雉が追いついてきた…!

因縁の対決に割って入る「自由自在」を体現するかのような走りを見せる雉。MTBレース出身の彼はロードレースの常識を尽く覆す。目指すはファーストリザルトライン。ここに、読む空気はない。


今日から始める幼なじみ 11 / 帯屋ミドリ(新潮社)

3年生へと進級し、無事同じクラスになった擬似幼なじみの楓と航平の前に現れた新たな幼なじみはコテコテの夫婦系幼なじみだった。なんですか、これ。

進路にも悩む時期が差し迫る中、航平の姉・帆波の友人たちと函館へ旅行に行くことになった二人を待つ次なる幼なじみイベントとは…!?


いとこのこ 2 / いぬちく(KADOKAWA)

夏休みの間、叔父の家で過ごす中学生・望は、褐色元気っ娘従妹の爽との微妙な距離感の日々を送っていた。そこにジュニアアイドルをしているという望の妹・葵も後追いで帰省してきて、より一層カオスに。

しかも、知らぬ間に望の転校が親によって勝手に決められており、夏休み後も帰省は延長することを伝えられ落ち込む望。…そんなことある?これはおとんが100悪い。

色々噛み合わなくて危うくてドギマギする良いラブコメです。本当に一歩間違うと成人向けに成りかねないけどな!


R15+じゃダメですか? 8 / 谷口轟・裏谷なぎ(講談社)

文化祭が終わり、ラブコメの波動を感じたと思ったら実際の映画制作の企画現場に参加することになった冬峰くん。いやラブコメどうした?というか映画観て!という気持ちが募る中、物語は天羽さん母の過去編へ。

…これは所謂「迷走」というやつなのではなかろうか?


舞妓さんちのまかないさん 27 / 小山愛子(小学館)

舞妓を卒業し、芸妓として生きていくことを決めたつる駒さん姉さんの有終の美と新たな門出。そして市にやってきた幼なじみの仕込みさんコンビの初々しさ。次なるステップを目指す健太の自己研鑽の日々。

時間の流れ、人の流れが描かれる中でも変わらず台所でみんなを待つキヨちゃんという人の偉大さというか、特異さというか、そういう”変わらない人”がいてくれるありがたさに救われる瞬間が、人生にはあると思うんだ。


天才魔女の魔力枯れ 4 / 辻島もと(小学館)

魔力を使い果たしてしまった元・天才魔女の先生とそんな先生に好意を寄せる弟子のラブコメディー。先生も自分の弟子への好意を自覚してより一層積極的にアプローチ。魔力の復活にもこの恋のエネルギーが作用しそうということでもう全身全霊でイチャイチャしていくことに!いいぞ!

魔力復活のために色々やってきたけど、ここでお互いの好意が関係していく流れ、普通に上手いなと感心した。くっつく気配はまだないけども。


雷雷雷 3 / ヨシアキ(小学館)

スミレへ執着する謎の少女・コハルの登場と害獣形態を(一応)支配下に置くことに成功したスミレの波乱万丈の裏で傾き出すライデン社とR.R社の力関係。宇宙規模の物語へと突き進んで行っていてワクワクヒヤヒヤです。

電子派だけど、紙版の装丁もカッコよくて良いな〜。


生まれ変わるなら犬がいい 3 / 堤葎子(徳間書店)

犬のフリをしながら飼われる青年と犬と思い込んで飼う少女の物語に変化が。

飼い犬シルクがシルクでないと徐々に訝し始めた少女は、失踪した本物のシルクを探し再び森を徘徊するように。家を空けたままの父への恐怖心も拭い切れず体調を崩した彼女を見かねた青年は、人間の女性の変装をして看病するという暴挙に出るも、彼女への無償の愛情と自身の無力感を痛感する。

そして遂に夢から覚めたように目の前の見知らぬ人間を”それ”だと認識してしまう時が訪れ、次巻へ。破滅の未来しか見えないのが辛い。


黄泉のツガイ 8 / 荒川弘(スクウェア・エニックス)

東村家、影森家に次ぐ第三勢力・西ノ森家が本格的に暗躍。影森内部の裏切者・アキオの処分を巡ってまたしても血が流れることに。家族とは何か。血縁は呪いか、救いか。

登場人物も増えて一度相関図を整理したいところだけど、中心にユルとアサがいることは変わらないのでそこまで大混乱ってほどでもないと思う。芸術的な筋肉キャラが出てきたので、今後の活躍が楽しみ。


魔女のエデン 4 / ゆめじ(KADOKAWA)

エデンを目指して旅を続けるピリーは、とあるアムルで元兵士で現・異端者(魔女側の人間)の老人と出会う。老人は過去に魔女が残した美しき土地を自身の思い出と共に大切に守り続けていると言う。

やはり絵力(えぢから)は圧倒的でそれだけで引き込まれる。敵のハゲのデザインはちょっと微妙だけど、もの言わさず見開きのパワーで捻じ伏せる感じ。ラストの引きも良かったです。


盤上のオリオン 3 / 新川直司(講談社)

彼方に敗れた月は再戦を求めて最短で女流棋士を目指す。一方、祖父への手向けとして名人への道を志すことを決意し再び棋界へと復帰した夕飛。遥か彼方の高みへと続く二人の茨の道は、黄金の道へと繋がるか――。

それぞれがそれぞれの目標を定める熱い3巻だった。読んでるこっちが恥ずかしくなるくらいクサい台詞回しが最高です。これが読みたかった。


尾守つみきと奇日常。 3 / 森下みゆ(小学館)

「次にくるマンガ大賞」3位獲得の今注目の異種間コミュニケーションラブコメ。今回も個々の特性がもたらす優しい相互作用に癒されました。

つみきさんに狂わされたい学生時代だった… でも蛇園さんの生真面目さに付き合いながら馬美さんに刺されつつキバちゃんに溺れたいかも。みんな魅力的で可愛い。男子の方がちょっと面倒くさい奴多いのもなんかいい。


ダイヤモンドの功罪 7 / 平井大橋(集英社)

一年で足立フェニックスを退団することを条件に、全力で野球に取り組むことを決意したアヤは、U12のチームメイトだったナツオと対決することに。

エースのマヨさんを差し置いて無双するも、その腕がまた少しずつ周囲の人間たちを変えていく。一体何が正しいのか、どうすれば自分も周りも同じように楽しめるか。存在しない答えを求めてもがき続けるアヤの矛盾する願いは続く。


ウマ娘 シンデレラグレイ 16 / 久住太陽・杉浦理史ほか(集英社)

悪役ヒールの役を買ってまで宣戦布告を叩きつけてきたスーパークリークとの勝負に、”らしくない”先行策を取ったオグリキャップ。連戦の疲労も祟ってか、失速していくオグリを横目に冷静にゴールラインを目指すクリークを、しかしイナリワンが捲る。

勝利を手繰り寄せたたった一つの単純で、当たり前で、とうの昔に手にしていた感覚。群雄割拠の永世三強編、完結。

失意の底に沈むオグリは、現役最終年となる激動の1990年シーズンへと進む。「怪物」から「神」へ。アニメ化も決まって嬉しい。やっとだよ!


ウマ娘 プリティーダービー スターブロッサム 3 / 保谷伸・文殊咲ほか(集英社)

世代最強のナリタブライアンへ挑戦すべく、数多のウマ娘たちが日々走り続ける。

日本ダービーに照準を合わせるサクラローレルは初めての重賞となる青葉賞へ出走することに。ライバルの奇策の前に埋もれかけるも、自分の強みを出せるたった一つのコースを見出す。

挑戦をやめない。ライバルよりも、昨日の自分よりも強くなるために。


COSMOS 4 / 田村隆平(小学館)

こちらも「次にくる〜」で上位に食い込んできた今注目の人情(?)SF。

水森の妹・さくらが同じ高校に入学。1巻の最初の事件で登場した相澤の弟と同じクラス・同じ部活(吹奏楽部)になるというラブの予感も見せつつ、物語は「笛吹き男パイド・パイパー」事件について急展開。亜空間の中に隠れる研究施設を襲撃して次巻へと続く。

妹ちゃんが今後危険に巻き込まれないことを祈りつつ、ギャルの鉄先輩(表紙)の悲しい展開が確定で辛い。


百合にはさまる男は死ねばいい!? 6 / 蓬餅(LINE Digital Frontier)

東関東大会へ向けたオーディションで1stの座を奪還した片桐。しかしオーディションでミスをしてしまったにも1stに合格したことに戸惑う。そんな片桐を2ndとして支えられることを喜ぶ相川。そして片桐と吹くことを夢見ていた吉田の涙。

LINEマンガでの連載は終了したものの、どうやらタイトルを変え連載を継続する?とのこと。既に150話以上描かれていて(6巻時点で78話まで収録)まだあと半分くらいあるの凄い。熱量が凄い。


ぷにるはかわいいスライム 6 通常版・特装版 / まえだくん(小学館)

アニメも楽しみなかわいいぷにるのかわいいマンガ。展開の起点として毎回アリスが便利すぎる。ちなみに一応ジュレ編ではあるけどジュレはあまり絡んできません。

水着回もあるぞ!ジョジョーッ!!
Ⓒまえだくん(小学館)/6巻収録第46話より


フールナイト 9 / 安田佳澄(小学館)

九大博士に接触した唯一の転花院職員として、トーシローの転花手術を背術をしたという人物を訪ねるヨミコ。一方、転花院内でも様々な思惑が交錯し始め、”セントラル”の人物たちとの水面下の抗争が勃発する。

次第に息が詰まるように暗転していく世界では、誰もが光を求めて踠きながら道を探る。


契約しましょ おつかれさま女子、世話焼き悪魔と暮らす 1~2 / 橋本ライドン(KADOKAWA)

橋本ライドン先生過去作その1。趣味なし時間なしの独身社畜OLの日辻良子は、マッチングアプリで出会った世話焼きの悪魔のアデルと契約して同居生活をすることに。ほのぼの日常百合。


妹・サブスクリプション / 橋本ライドン(講談社)

橋本ライドン先生過去作その2。しっかり者の社会人・みゆきは、溺愛する妹・今日子を都度交換しながら一緒に暮らしている。「レプリカント」と呼ばれる代替家族サブスクリプションサービスの是非が問われる社会を背景に描かれる、狂ってしまった姉と妹の物語。

かわいい絵柄と4コマ形式でかなりエグ味のあるSFだった。ラストの後味の悪さまで筋金入りのエグさ。おすすめ姉妹百合(?)ホラーです。


酒と鬼は二合まで 5~6 / 羽柴実里・zinbei(小学館)

4巻まではスクエニ系で連載していて5巻から小学館系に移籍して装い新たに再出発!(電子のみ)…というところまでは把握していたものの、新刊通知も別作品扱いで切れていて発売を見落としていました。不覚。

今までは酒呑童子(鬼)の末裔たちが登場していたけど、酒呑童子を討伐した頼光四天王(人間)の末裔たちも登場してなかなか賑やかになってきた。その中心にいるナオリが全方位にタラシ体質を発揮していて「こ、こいつ〜」となる。

↑マンガUP!(スクウェア・エニックス)連載ver.
※現在は購入不可
↑やらやかスピリッツ(小学館)連載ver.


かんぺきな街 / 売野機子(新書館)

先月『ありす、宇宙までも』が出た売野機子先生の強化期間として、今月から過去作を(一冊完結作や短編集を中心に)少しずつ読んでいくことにしました。トップバッターは『かんぺきな街(2016 )』。

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後記(記事タイトルの変更)

以上、9月に読んだマンガでした。

今月は何と言っても『転がる姉弟』です。去年遅ればせながら読んで、やっと新刊の発売日を迎えられました。喜ばしいことです。『ザ・キンクス』も最高だった。今はホームコメディーが個人的に熱いのかも。サムネには入っていませんが『サチ録』もそういう系統。

『クイックオバケの動かない漫画』も良かったですね。これはもうただ単にファンとして嬉しかったです。スマホの待ち受けはもうずっとクイックオバケさんのイラスト。

新作は相変わらず数は読めまていませんが、読んだものはどれも面白かった。『南緯六〇度線の約束』『午後の光線』『私たちのブルーアワー』『ハヴィラ戦記』『さらば、漫画よ』『まめとむぎ』など、どれもおすすめです。


さて、冒頭でも触れましたが、今月からこの月末noteのタイトルを思い切って「○年○月に読んだマンガの記録」というよりストレートなものに変更してみました。

「本棚」も好きだったけどね。ちょっと意味分からなかったしね。でもじゃあどうしよう、ということで。全部が全部「感想」ではないし、「おすすめ」したいものばかりでもないし、「まとめ」とかでもいいけど、ちょっとしっくりこないし、やっぱり「記録」かな、と。

私の好きな漫画家さんの日記に「自分は安心して忘れるためにマンガを描いている」「マンガを描くことは記憶の外部化の一環」という旨のことが書かれていました。

これ良いなと思って。そして自分の感覚と似ているなとも思ったんです。

以前に書いた「思い出なんかいらん論」という記事でも少し触れたことがありますが、自分の中に置いておきたくないんですよね。諸々のことを。忘れちゃうし。

なのでこの場に「記録」していきたいと思います。中身の形式は今のところ変える予定はありません。原則月末更新で、読んだもの全て残していきます。

ただ、「”本棚”という概念が好き」というスタンスと、「自分が理想とする本棚を追い求めること」は諦めていません。今後も地道に続けていきます。

そんな感じで来月もまたマンガを読みましょう。

※「翌月の新刊購入リスト」の記事更新は先月で終了となりました。短い間でしたが、ありがとうございました。

代わりに分けわからん戯言noteを書きました。


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