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2025年1月に読んだ『マンガの記録』
新年あけましておめでとうございました。
2025年1月に読んだマンガについてまとめていきます。ちまちま書いていたら2万字を超えてしまった…
⚠️下記の目次から各作品へ飛べます(ネタバレあり)
⚠️Amazonリンクはアフィリエイトリンクではありません
今月の10冊+α
【完】佐々田は友達(3)
まさかの完結。最終3巻では、高校での思い出作りとしてみんなでショート映画の撮影したり、高橋が生徒会長選に立候補して惜敗したり、そして未来が描かれていたりする。
良かった。めちゃくちゃ良かった。佐々田が一時期不登校になって、最終話の同窓会でもみんながみんな覚えているわけではないという展開で、でも時間を共有した人たちだけがニヤッとできる、あの頃確かに存在した何かを友情と呼ぶのであれば佐々田は友達だったし、今も友達なんだと思う。
何より、そんな佐々田自身がずっと自分のまま大人になっていってくれたことが嬉しかった。
【完】女の体をゆるすまで(上・下)
『佐々田は友達』のスタニング沢村先生の別名義(ペス山ポピー)での過去作。
アシスタント自体に受けた性被害と向き合い続けた過程を、現在に至るまでに出会った人たちとのエピソードと共に綴った上下巻。
『佐々田は友達』読了後に作品に対する解像度を上げたくて読んだ。自分は「当人にとって封印しておいていいこと」引っ張り出して描く形式のエッセイがちょっと苦手で、故に佐々田連載時に「スタニング沢村=ペス山ポピー」と知ってからも手には取れずにいた。
内容については敢えて深く触れないが、紆余曲折がありながらも時間をかけて「外の世界と繋がること」を選び抜いて現在に至り、その集大成として『佐々田は友達』という作品を描いたんだろうか、と勝手に考えたりした。一本別記事を書いてるのでこちらもよければどうぞ↓
ハクメイとミコチ(13)
毎年1月恒例のお楽しみ。今年も各話の内容と感想を手短に書き記しておきます。
●第99話【窮屈な夜】
蜂蜜館のコンジュの部屋へと遊びに来たハクメイとミコチは、思いがけず日が暮れてしまい一泊することに。普段、森の奥でのびのびと生活している二人にとって蜂蜜館は少々窮屈で。それでも住人たちの雰囲気に当てられて楽しい夜を過ごすのだった。相変わらず晩をお菓子で済ませがちなコンジュの食生活がすごく親近感湧いて好き。
●第100話【美容師と劇団員】
旧友カーネリアンの頼みで、とある小劇団のスタイリングを任されてしまったジャダ。専門外の舞台仕事にはじめは戸惑うも、それぞれの役者の要望を聞き入れながら自分だけの仕事を全うする。演目がカオスすぎてそっちも気になった。
●第101話【思い出せない店】
閉店してしまった小料理屋を発見したハクメイとミコチ。かつて何度か足を運んだそのお店の料理をどうしても思い出せない二人は、湧き上がる食欲と闘いながら記憶の糸口を辿る。飲食店って身近な存在だからこそ不意に一生行けなくなったりする一期一会感があって寂しいけど面白い。
●第102話【司書と青空図書館】
マキナタの図書館で一年に一度開催される「青空図書館」。いつも以上に張り切る司書のキアンは、愛おしい本たちとの出会いと別れに一喜一憂しながら、愛書家たちとの交流を楽しむ。そんな彼を無自覚に絶望の淵に追いやるのはまたしてもハクメイなのだった。ハクメイのキアンに対する博識無双ぶりほんと好き。
●第103話【水甕と姉弟】
蜂蜜館の最古参であるシュンカと旋毛丸。ほぼ同時期に蜂蜜館の住人となった二人は、いつしか姉と弟のような関係を築き、今では腐れ縁の仲。シュンカのバー「いかさまハルツ」の店先に置いてあった水甕を酔って割ってしまった旋毛丸は姉の力仕事に半ば強制的に付き合わされることに。蜂蜜館という独特な環境下で育まれた義姉弟の絆。時の流れを感じられて微笑ましかった。
●第104話【菱とお裾分け】
センはたまたま収穫した「菱の実」を、たまたま出くわした「呑戸屋」の妹ミマリにお裾分けしたいとお茶に誘う。が、センはまだしも快活なミマリも意外にも引っ込み思案で、二人の会話は微妙に嚙み合わない。思いがけない助け舟を出してくれたのはたまたま訪ねてきたセンの親友コンジュとミマリの姉シナトだった。菱の実食べてみたいな。
●第105話【作り置きと昼飯】
行商から昆布と鰯を丸々一尾購入したハクメイとミコチ。自分たちの身体より遥かに大きな食材を熟練の手捌きで次々と作り置きを並べていく。大仕事を終え、今度は昼食の準備にも取り掛かるミコチ大活躍のお話。台詞をほとんど排除した説明語りのみの構成で面白かった。この世界における「米」の存在の奥深さにも興味を唆られた。
●第106話【ひとりきりの時間】
泊り仕事で一日家を空けることとなったハクメイ。久しぶりに一人きりの休日を過ごすミコチの粛々とした時間の使い方とは。いつも隣にいてくれる存在がふといなくなった時に持て余す”自分のだけのいつもの時間”。一人でも楽しいけど、二人ならもっと楽しい。
●第107話【牛の大きさ(前編)】
「海外で牛の行進順路が予想より大きく外れ家屋に被害が出た」というニュースを知ったイワシは「牛」を一目見ようと図書館で情報を集めていた。偶然出会したハクメイとミコチは、ハクメイが旅人時代に見た「牛の如く巨大な建築物」を見に行こうとイワシを誘うのだった。イワシが無自覚に抱いた探究心に心打たれたハクメイの言動が印象的。
●第108話【牛の大きさ(後編)】
はぐれ牛の噂を頼りに生の牛を遠目でも見ようと赴く一向は、旅人の道標を目印に離小島へと辿り着く。望遠鏡越しに牛の姿を目撃したイワシが身をもって思い知る牛の「大きさ」と心の底から湧き上がる衝動正体。「ハクミコ世界のルール」にも迫るような前後編。イワシには旅人の素質がある。
牛の回すごかったなぁ。鳥肌立った。所謂「擬人化された動物社会に於ける食肉事情」についても少し考えさせられる話だった。「海外」という概念もあるんだな。普段あまり意識しない「神(描き手)の視点」から物語を覗き込むような感覚で新鮮だった。あとは全体的にミコチ成分多めで私得でした。
【新】シルク・フロス・ボート
自分のせいでクラスメートの鹿児島魚子を死なせてしまったという少女・宮島ひかるは、蚕の姫「ひいさま」と、謎の大学生・小川あさひに出会う。「ひいさま」はひかるの願いを全て叶える代わりに蚕を育ててほしいと言う。養蚕を通してそれぞれが向き合う生と死の物語。
『夏・ユートピアノ』のほそやゆきの先生の初の長編連載作品。面白かったです。冒頭ちょっと意味が分からないまま読んでしまっていて、段々と話の筋が見えてくる読み味が気持ちよく、読み直すほどにより色濃く作品の輪郭が浮かび上がってくるような面白さだった。
日本の養蚕業発祥とされる「金色姫伝説」に準えた部分もあるとかないとかで養蚕描写も細かい。キャラクターデザイン協力のasoiさんの特別寄稿も必見です。魚子のデザインは刺さる人にはブッ刺さるはず(ブッ刺さった人の感想)
【新】本なら売るほど(1)
脱サラして古本屋を引き継いだ主人公が営む「十月堂」。その小さな古本屋には今日も様々な愛書家(?)たちが訪れる。ハルタの新鋭による【本】にまつわるエピソードを綴ったオムニバス。
【一途な読書家女子高生の話】と【本が読めない本好きが書斎を作る話】が特に好きだった。「読書」って本来心地良くて有益なだけじゃなくて、腹立ったり傷ついたりつまらなくて冷めたり、そういうことが往々にして起こり得るから面白い。マンガもきっと同じ。
本を愛し、本に人生を変えられたすべての人へ。
— ハルタ (@hartamanga) January 15, 2025
1/9#本なら売るほど #ハルタ試し読み pic.twitter.com/arJZAavUFS
ハルタ公式の試し読み投稿がバズって書店では品薄状態になっているそうです。(初日で紙で買っていたので高みの見物)
【完】天才魔女の魔力枯れ(5)
小麦くんとのイチャイチャによって魔力を取り戻した天才魔女ナユはもう止まらなかった。イチャイチャすればするほど魔力は溜まり、その魔法を世のため人のために使ってはまたイチャイチャして回復。まさにイチャイチャ永久機関。全能感と多幸感に満ち溢れた素晴らしい最終巻。
10巻でも20巻でも続いてくれという気持ちだけど、この先は一般誌では厳しいかもしれない。正直、この巻も見方によってはかなりえっちだった。辻島もと先生の次回作にも期待大です。
『天才魔女の魔力枯れ』最終5巻発売されました!
— 辻島もと (@tuji_sima_motto) January 11, 2025
巻末にささやかなエピローグ漫画(2p)が載っております!
よろしくお願いいたします! pic.twitter.com/1qwZy3SZBV
【新】サンキューピッチ(1)
『ハイパーインフレーション』の住吉九先生の新作。横浜の高校野球部の間で、夜な夜な「3球勝負」を持ちかけてくる怪しい人物の噂が出回る。横浜霜葩高校のキャプテン・小堀へいたは、その人物を同じ学校の桐山不折だと見抜き勝負を受けるが、彼はなんと怪我とイップスにより「1日3球しか全力投球できない」というガラスのピッチャーだった。
シンプルかつクセ強な設定を敷きつつ、それをコントロールする頭脳派キャッチャーや説明役兼監督代行の頼りになる部長、軸となる豆腐メンタルエース、掻き乱し役兼飛び道具となり得る素人後輩など、魅力的なキャラクターを多数並べながら、予測不能なストーリーを展開する。相変わらず天才の所業。(意外と)野球描写も真摯に描いて◎
もう既に向こう5巻分くらいの表紙は描けてそう。というか最終回までのプロットも当然出来上がってそう。
【新】午前二時は食卓で(1)
死してなお、ご飯を作り続ける母の幽霊に悩まされていた怖がりなギャル・真理亜が出会ったのは、人形のような見た目の幽霊少女・タマミ。食卓に並ぶ料理を食べることで母を成仏させた彼女に対して、一緒に暮らすことを提案した真理亜が抱いた感情は、単なる「親切心」ではないようで…。
怖いところはしっかり怖い幽霊少女とのホラー百合(百合ホラー?)。生前のタマミの過去が壮絶そう。「食べる」という行為も一つのカギになっていきそうな雰囲気。最近はこういう「親しみやすさ」と「怖さ」を両立させたホラーの新形態が確立されてきた気がする。(ガチな作品を読まないだけかもだが)
【新】魔男のイチ(1)
魔法が「生物」として存在し、それに対抗できるのは女性のみとされる世界。狩人として山に生きる主人公・イチは、特級の魔法「キング・ウロロ」の試練を"男であるが故に"クリアしてしまう。「魔"女"」ならぬ「魔"男"」として魔法狩りの任務を課されることとなった生粋の野生児による魔法ファンタジー。
チャンピオンの看板作家・西修先生と悲しき過去を持つ宇佐崎しろ先生がタッグを組んだジャンプ渾身の大型新作。和久井健先生といい、どんどん他誌から引き抜いていくジャンプの強さよ。(面白ければ全然良いと思います)
ただ、連載開始時はちょっとそういう色眼鏡をかけて読んでいたところもあって「ふ〜ん」って感じだった。が、まとめて読むと流石に面白い。自由奔放なイチの「死対死」の精神に筋が通っていて気持ちいい。
【新】じんちく以外(1)
『団地ともお』で有名な小田扉先生の新作ショートショート。今月は2冊も小田扉先生の新作が出るという大盤振る舞いでした。特に好きだった方から紹介させてください。
1冊目は座敷童子や雪男、ケルベロス、カッパ、ランプの魔人などなど「”人畜無害”な”人畜以外”」が登場するほんのり優しい傑作ショートショート。
「人畜以外」と言うだけあって、出てくるキャラクターが大体みんないい奴で和む。でもしっかりシュールな毒気も漂うような、そんな丁度いい一冊。
【新】たたかいのきろく
2冊目(発売日はこちらが先)のテーマはズバリ「戦い」。マンションの棟同士の諍いからGPSアプリゲームの裏技バトル、架空の植物「ジンメンソウ」の生存本能など、ありとあらゆる「たたかいのきろく」を収録した短編集。
創業家一家の家庭内闘争を描いた【確執!創業家!】が秀逸で好き。「世界は争いに満ちている」という皮肉を面白おかしく殺伐と切り出す、ベテランの成せる見せ方だなと思った。
【新】SPEAK(1)
内弁慶で目立ちたがり屋のかおる、真面目で甘え下手な秋、負けず嫌いな純。付かず離れずな関係の3人の日常会話を覗き見る、雄弁詭弁駄弁コメディ。
コミティアで発表してきたシリーズが商業連載化した作品。正直、読者を選ぶタイプの作風ではあるけど、自分はこういうの大好き。『理科』の回は特に良かった。サイン会も行きたかった〜〜
新規&完結
【新】読切集『恋』『情』『変』『生』
ジャンプラ10周年を記念して4つのジャンル別で出た読切集。毎月とまでは言わんので四半期に1冊くらいは出してもいいと思う。4冊の中だと『変』が一番好きかな。あと『恋』に【二番目の運命】が収録されていないのはやっぱりおかしい(幌山あき先生の短編集早く出てくれ)
【新】MOGAKU(1)
父を亡くし、母も交通事故で重傷を負ってしまった四兄妹の長男・一成は、家族を支えたい一心で「競輪選手」になることを誓う。日々の新聞配達で培った脚力を武器に養成学校の門を叩いた少年の泥臭い夢物語。
週チャンの新たな自転車マンガ。タイトルがシンプルでかっこいい。家族を想う気持ちだけで結果が全ての世界に飛び込むその無鉄砲さが、少年をどこまで連れていくのか。もちろん甘くはないが、夢は見ないと叶わない。もがくしかいない。
【新】青の秘密
「10代」がテーマのハルタ作家陣によるアンソロジー。青少年たちのアオい日々を切り取ったような初々しくて甘酸っぱい収録ラインナップの数々。
取り繕ってばかりの美少女が放送部のクラスメイトに誘われ校内ラジオのパーソナリティを務める【箱に響く】(天野実樹)、港町に住む魔女のようなおばあちゃん・オリビアとの日々を描く【オリビアのいる世界】(山本ルンルン)、取引先の佐藤さんに恋したけど、相手はどうやら自動音声AIのようで…【愛とずぶぬれ】(古田青葉)、亡くなった親友のSNSアカウントを削除する話【約束に暮れる】(山田果苗)とかが好きだった。
【新】邪神の弁当屋さん(1)
実りと死を司る邪神・ソランジュは、自身の存在が原因で南北間の国家戦争を引き起こした"罰"として無期限の謹慎処分を受け、人間界で「レイニー」という少女として弁当屋を営むことに。人間界での細やかな毎日の中で、人々と関わるレイニーは今日も弁当のおかずを考える。
神と人間の距離が近い世界での神様の謹慎生活を描く、ちょっと変わったほのぼの優しいダークファンタジー。神であった頃は見えなかった人間社会の営みと自身のこれまでの歩みを重ねながら、黙々と弁当箱におかずを詰めるように毎日を思い出で埋めていく。
”神”視点でゆ〜っくりと進む空気感がまず好きだった。そもそもソランジュが何か罪を犯したんかこれ?という導入だったので、スタートからいまいちのめり込めなかったし、なんで禊ぎで弁当?と、まだまだ評価するに足らない部分が多かったけど、これから徐々に描かれていくんだろう。シンプルな線も好き。
【新】ヴィトロ・アニマ
試験管から生まれた人造生命体「ヴィトロ・アニマ」。それらは使役動物として、愛玩動物として、伴侶動物として、鑑賞動物としてヒトと共に生きていた。
ヴィトロ・アニマ専門の対応機関に所属するハチは犬由来のヴィトロだが、鼻の効きがちょっと悪い落ちこぼれ。ハンドラー(相棒)のレオンに手綱を引かれ今日も現場に出向するが…。
郷本先生の1冊完結の新作。正直もっと深く味わいたかったけど、このゴチャゴチャした感じも好き。基本ほのぼのテイストだけど、ヒトとヴィトロの間にある埋められない溝のようなものにも触れられていた。そもそもヴィトロの誕生背景がなんかもう闇深い。
【新】憧れのメイドさんはタバコが似合う(1)(2)
『ポラリスは消えない』の嶋水えけ先生の新作。裏路地で見かけた一服中のメイドさんに心を奪われた平凡な女子高生・藤崎スウは、意を決してそのメイド喫茶に帰宅(入店)したものの、成り行きでメイドとして働くことに。憧れの人とタバコで繋がる百合コメディ。
1・2巻同時発売。前作よりとっつきやすいテーマで読みやすかった。「タバコ」は最近マンガの小道具として流行っているんだろうか。恋愛的な話になるかもしれないしならないかもしれないけど、今後も楽しみにしたい。
【新】ブルーアーカイブ公式4コマ ぶるーあーかいぶっ!(1)
先日4周年を迎えた大人気ゲーム『ブルーアーカイブ』のXにて連載中の公式4コマ『ぶるーあーかいぶっ!』が待望の単行本化。作画の純粋な不純物先生によるデフォルメされたキャラクターたちの魅力が詰まった一冊になっています。
純粋な不純物先生はコミケの本も買ったほど大好きなので、漸く手に取れる形になって嬉しい限り。店舗特典は迷った末、アニメイトのにしました✌️
【完】ヴィランの学校(3)
極道の学校のトップを目指す麒麟児の麒麟寺を描くギャグコメディ、だったがあえなく打ち切りに…。ここまでブツ切りの打ち切りも珍しいというか、もはや清々しい。『ババババ』の方が忙しくてこっちまで手が回らなくなったのかなと邪推してしまう。
腐ったヤクザの学校を潰すべく四天王が反旗を翻すのに対して、あくまでヤクザの学校のトップとして主人公が対立する、という熱い流れの兆しが見えただけに惜しかった。
【完】ジーンブライド(4)
自身の出生の秘密と秀光館学園の本当の姿を知った依知、彼女と同姓同名同顔の壱。彼女たちを待ち受ける結末とは。フェミニズムSFの完結巻。
この世界は結局どこまで行っても地獄。自分の納得できる地獄を選ぶしかない。ただ、その「選ぶ」ことができたという小さな前進を描いた終わり方だった。個人的には1巻冒頭の雰囲気からちょっと壮大な方向に行き過ぎていた印象で、あまりのめり込めなかったかも。
【完】私の胎の中の化け物(6)
自身の奥底から溢れ出す”悪意”に身を任せる少女・千夏。他人の人生や友人関係、己の生死さえも彼女にとっては破壊衝動を満たすだけの玩具に過ぎない。そんな化け物の「最後の遊び」の結末は…。
完結巻。文字通り興醒めするような終わり方でちょっと肩透かしを喰らった感はあったけど、それもまた千夏らしいというか。今日もどこかで悪を囁いているんだろう、という締め括り方で良かったかもしれない。
周囲の人たちの声としては暁良の台詞が全てだろうか。「自分の醜い感情に忠実に生きられるほど、現実を手放そうとは思えない」。蓋をしながら目を逸らしながら明日を生きていかなければならないのだ。
【完】おとなりリトルウィッチ(3)
イギリスからやってきた小さな魔法使いの女の子には大いなる魔法の可能性が秘められていた。ペネロペの姉・マリオンも日本へやって来て姉妹対決に発展。最後は相撲を取って(?)ハッピーエンド。
残念ながら打ち切りエンド。さくらが実は魔法使いの血筋?才能?で覚醒して〜みたいなところまで辿り着けず終わってしまって何とも言えない。連載お疲れ様でした。
【完】生まれ変わるなら犬がいい(4)
自分が本当は人間であるということが飼い主の少女にバレてしまった青年は家を飛び出した。少女も本当は分かっていた。愛した飼い犬のシルクも、唯一の肉親である父親も既にこの世にはいないということを。出会うべきではなかった一人と一匹の偽りの愛の物語。完結巻。
始めから上手くいくわけのなかった関係は最終的に破綻し、お互いもう二度と出会うことはない。でもこの時間には意味があったと思いたい。青年は愛されることと愛することを知り、少女は喪失を受け入れ前を向く。生まれ変わる先は選べないけど、これから自分の人生を歩いて行ってほしい。
【完】バットゥータ先生のグルメアンナイト(3)
地理学者のバットゥータ先生と奴隷のリタは、各地のグルメを堪能しながら中東を周遊中。道中、マルコ・ポーロとの出会いやアラエディンの死を経て、無事インドへと辿り着く。バットゥータ先生はインドで法官として皇帝の元で働き、リタもコーラン教室のアシスタントという仕事に就く。5年後、リタは自分で自分を買い戻し「自由」を手に入れて物語は幕を閉じる。
リタ視点の構成だったので、一応体裁は保てていたけど、やっぱり打ち切りエンドではあったのかな。ユルいノリが好みだったのでもう少し読んでいたかった、というのが本音です。連載お疲れ様でした。
続刊&既刊
ふつうの軽音部(5)
後夜祭ライブのトリを飾るたまき先輩たちのバンド「性的カスタマーズ」。ありふれた普通の日々を送る少女は「音楽」という鎧を纏い、鬱憤を晴らすかのように叫ぶ。ダサくて痛くて馬鹿馬鹿しい軽音部での毎日が、どうしようもなく大好きで、他者と衝突し自己嫌悪に陥りながらも、それでも振り返った時に「やりきったー!」と笑えるようなものでありますようにと叫ぶ。
そんな一人の少女の勇姿を目の当たりにした後輩たちの身に宿るそれぞれの想いが次の物語を奏でていく。
たまき先輩編完全収録と新体制への移行を描く勢い止まらぬ第5巻。喜田くんの人間性を心の底から尊敬する。新体制には不安しかないけど、はとっちのやることは変わらんので日々精進してほしいところ。
「ジターバグ」を使用した公式PVも公開中!🎸
ひまてん!(2)
叶さんとのデート(仮)もありつつ、美野の事務所の後輩であるグラドルのカンナが登場。第3のヒロインの登場に殿一はどうなる!?…こともなく平常運転の頼りになる家政夫っぷり。
やっぱり少年誌ラブコメは「男主人公の人柄」がかなり重要なので、その点では本作は鬱陶しさが全くなく今のところ安心しかない。かと言って漂白された空っぽなキャラでもなく、家事で周りの役に立とうという気概がちゃんと描かれていて好印象。女性を支えたり立てたりしようとするシーンは(良い意味で)時代だなぁと思う。
ダンダダン(18)
ズマの過去が辛すぎて辛い。『ダンダダン』はキャラクターの「悲しい過去」を描くベクトルがどれも似通っている気がしてどうもなぁ…と思う時がある。いや説得力としては申し分ないんだけど、そんなん辛いに決まってんじゃんという重い過去を並べられて心を抉られるのがどうもな…って。
株式会社マジルミエ(15)
アスト社傘下に入ったマジルミエ社内に訪れるそれぞれの転機。闇森くんの結婚、槙野さんの異動、赤坂さんの魔総研への出戻り、来たる「魔法少女民営化二十周年記念式典」へ向けて各々が自分の身の振り方を考え始める。
会社とは「変わる」もの。そこで働く社員一人一人にキャリアがあり人生がある。寂しいけど、「お仕事モノ」としてそこを真摯に描いているのは好感が持てる。まぁどうせ式典がメチャメチャになるんだろうけど、作品としてのそこで一区切りになるのかね。
\▌株式会社マジルミエ▌/
— 株式会社マジルミエ【公式】 (@MagilumiereLtd) December 20, 2024
˗ˏˋ🎉第2期制作決定‼🎉ˎˊ˗
☆★━━━━━━━━━★☆
祝🎊TVアニメ第2期制作決定💼
青木 裕先生描きおろしの
第2期制作決定ビジュアルを公開🪄https://t.co/DPeGJFABq4
引き続き『#株式会社マジルミエ』の
応援よろしくお願いします🧹#マジルミエ pic.twitter.com/ifO9JfX7xM
アニメ2期もおめでとうございます。ただすみません、1期の途中でリタイアしてしまいました。(原作読者あるある)
クソ女に幸あれ(5)
入れ替わりラブコメ5巻。直が所属するサークルで学祭向けに撮影する映画に、演者として参加することとなった檸檬(とサポートの来花)。依然として菜摘先輩だけ蚊帳の外だけど、海合宿で進展しそう、か?
水着回収録というだけで買いです。絵柄はバツグンに好みなので良い眺めでした。良い感じにデフォルメされたキャラって描くの難しいと思うのですごい。映画の役に重ね合わせる形で三角関係に動きがあるんだろうけど、やっぱり「入れ替わり」要素はなくていい気がするんだ。
ウィッチウォッチ(20)
遂に20巻到達。いつものわちゃわちゃから少しだけニコについての「予言」について進展あり。モリヒトたちのクラスの担任・不知火久遠が関わった魔女と鬼たちの過去の戦いが語られる。
生徒会長キャラといい、明らかにギャグマンガのキャラクターとして生み出されたキャラがシリアスなこと言っても感情移入できないから設計ミス感が半端ない。ネム、モモチ、チャミーの回もっとください(わかりやすい願望)
アニメは4月から連続2クールで放送開始とのこと。
アマチュアビジランテ(2)
「殺しの才能」に目覚めた素人殺し屋おじさんによるヤクザ壊滅物語。埠頭での大虐殺を経て、組長の息子の隠れ家である田舎のタワマンへと向かうことになった尾城を待つ「生活」と「次なる刺客」とは。
基本的に主人公の強さの理由が「覚醒」オンリーなので、なんとなく釈然としない気がしなくもない。もう完全にダークヒーローものである。ヤクザ側にも「悪役の美学」みたいなのがあればもっといいなと思う。
弱虫ペダル(93)特装版
インターハイ1日目の山を見据える坂道と山岳。お互いチームメイトの献身もあり、重荷から解放され、真剣勝負の舞台が整った。それは「山岳賞」なんて称号のためではなく、疲労して消耗して出し尽くした限界の先にある勝ち負けだけを求める高純度の殴り合い。何人たりとも介入し得ない二人だけの世界。
心躍る。最高だ。こんなバトルを1日目から拝めるなんて。何度も出てきた「純度」というワードも良かった。勝ち負けにとことん拘りながら勝ち負けはもはや重要ではないという矛盾。至極単純で高次元。お互いが「自転車に乗る本質」を確かめ合うような、そんな二人の勝負から目が離せない巻だった。
(なんか特装版も出ていたのでそっちを買いました。)
弱虫ペダル SPARE BIKE(14)
「福富寿一:オリジン」の巻。中2の時に走り幅跳びの記録会を3連続ファウルの記録なしで終え、そのまま自分で決めたことだからと早期引退し、父や兄の影響で自転車競技へ転向。しかしその先でも自分の弱さが悲劇を呼ぶ。
福富さんの「弱さと強さの二面性」はとても魅力的なので地味に好きなキャラの一人。新開との出会いから自転車にハマっていく流れも運命的だった。未来はいつも思いがけないところから拓けていく。
R15+じゃダメですか?(9)
小さな事務所で女優の卵として活動していた天羽母(あかり)は、芸能界の闇を見ながらも親友の犠牲の上で足掻いていたことに絶望する。自分を映画を始めとしたエンタメから遠ざけてきた母の真意を知った天羽さん(秋音)もまた涙を流す。
今や業界で権力を持つ人物となったあかりの女優時代の事務所社長が秋音に接触して間接的にあかりへの報復を目論むも冬峰がこれを阻止。しかしその代償はあまりにも大きく、彼が志す映画業界への道が断たれることに。
弱さを見せる秋音と冬峰が急接近…という流れだけど、風呂敷を広げすぎた感が否めなくていまいち感情移入できない。社長さんが悪いことをしているわけでも別にないしなぁ… とにかくみんなで映画を観ればいいんじゃないですかね(投げ遣り)
今日から始める幼なじみ(12)
「カップル」の上位存在として「幼なじみ」の関係を貫く中学生男女のラブコメももう貫禄すら感じる12巻。「ビアンカ・フローラ問題」にも触れていて笑った。そりゃ楓は「ビアンカ」を支持するだろうね。あと、帯屋ミドリ先生って勝手に女性だと思っていたら男性だったのが地味に驚き。
Void:No.Nine -9番目のウツロ-(3)
世界滅亡後300年の世界で遺物回収のアルバイトをする人たちの物語。割とわらわらと登場人物が出てきてそれぞれの過去を描くので、全体のストーリーはなかなか見えてこないかも。打ち切り秒読みとのことなので、どうにか続いてほしいです。
ひとひとがみ日々(3)
人の姿を持つ神々の穏やかで仄暗い毎日。記憶を無くしたミツカド山の石の神・イシの元へ、かつて袂を分かったフタツカド山の神から遣いがやって来る。再び始まる両山間の交流。ミツカド山に落ちる影、そして謎多き菊の神・キクの存在。
イシの記憶とキクの正体が大きく関わってきそう。忘れられゆく山々の神々たち。土地に根付いた人間の営みが彼らを再び形作るか。
東大の三姉妹(2)
東大の姉3人(1人は現役)と東大に落ちた弟の4人姉弟で暮らす家にマレーシアから母が帰還。どうやら自身の終活として遺産分与についての話し合いの場を設けたいらしい。一方、長女の世利子は精子バンクで子を授かりながら、初恋相手の高校時代の教師・岸里との交際へ進展していく。
長女・次女/三女・長男で父親違いの複雑な姉弟関係にも関わらずみんな仲良し。しかしいつまでも一緒というわけにはいかない。母の遺産分与を機会にそれぞれの生活を見つけていくべきだと読者目線では思う。上ふたりはもういい歳だし。
あと、マレーシア在住の関西弁おかんがかなりキツめの性格でしんどかった。海外在住のくせにあそこまでコテコテの関西弁のまま居続けられるあたり、相当我が強い。
ソアラと魔物の家(5)
キリクたちの過去編続き。ドワーフ国と人間軍の間で起こった醜い争いの顛末。使う人の笑顔のためを思って作り上げた道具で人が死ぬ。血で血を争う戦争に知らず知らずに加担し、「役に立つ」ということの真意を知ったキリクは、自責の念に駆られ国を出る。そして外の世界で待っていたのは「魔物たちの”家”を造り平和を築く」という志を持つ、のちの師匠・華俵。運命の出会いだった。
「道具」は使う人によってその意味を変えるという話。キリクの目つきが変わっていく様が辛かった。物語は現代へと戻り、師匠探しの旅が再開。次は空を統べるドラゴンの家造りか。
非合法ロマンス(2)
少年時代に抱かれた女医との関係を断ち切れない大学教授が主人公の非合法的なロマンスストーリー。主人公が家を失ったシングルマザーの元カノを自宅に招き入れるとかいうヤバいことをやっていて引いた。いやまぁ関係者がいいならいいんだけど、基本的に登場人物の行動原理が(許嫁や母親との関係に悩む女子大生を除いて)終始理解不能。
このままどうなっていくんだ…と思っていたら次巻で完結だそうで、あまり振るわなかったのか元から短期連載だったのかわかりませんが、どう締めるのか楽しみです。今のところ誰も幸せにならなさそう。というか実のところまだほとんど何も始まっていない。
メリー・ウィッチーズ・ライフ ~ベルルバジルの3人の未亡人~(3)
未亡人の魔女・ゾーイは同じ境遇の友人・シィシカ、黄金虫のイライザと意気投合し、3人で「夫の復活」を目指して修行中。3巻では自身の呪い?に襲われ怪我を負った村の灯台守・クレイのお見舞いとして街へ繰り出す3人娘とクレイの過去が描かれる。
ゾーイの夫・クライブと兄弟のように育ったクレイが抱える闇の深さをゾーイは知らない。ベルルバジルに渦巻く不穏な影の数々はまだ謎だらけだけど、夫の復活がよくないことだけは分かる。
割とずっとダークファンタジーでそっちに気が行きがちなのを抑えて暫くはワチャワチャを楽しみながら読めばいいかなと思っている。そうして不意に不穏さに刺されたい。
鶏と卵(3)
「未来から来た」という自称息子の慧と共に自分の産みの母を探す鳴海。慶の働きで母親(響子)と接触する鳴海だったが、自分を捨てた頃から変わらずに”何も捨て切れずに生きてきた”彼女の姿を見て、自身の無関心さを知る。
捨てられ虐げられ続けてきた過去を捨て、その過程で出会った”大切な人”たちとの未来を選び取ることを決心した鳴海。そして迫る「慶が生まれる日」。
鳴海の蟠りが一旦清算され、慶の出自についての謎に迫る。鳴海が身籠る気配はなく、代わりに鳴海の実妹である詩帆がパートナーとの間に子を授かった。これが意味することは果たして…。面白くなってきた!
女装男子はスカートを脱ぎたい!(2)
大好きな女の子・たまちゃん(珠子)に求められる女子になりきる女装男子の主人公・ういちゃん(宇一郎)は今日もスカートを履き続ける。2巻では珠子に憧れる男子・鬼木くんが”女装して”宇一郎とライバル関係になるという男同士の熱い(?)戦いが描かれる。
女装男子が増える展開は予想していなかったけど、二人とも女装はしつつもちゃんと男心を持ち合わせているのがまた複雑で面白いところ。ちょっとたまちゃんがナニかと好き勝手ヤりすぎなので目にモノ見せてあげてほしいですね…(ボロンッ)
COSMOS(5)
各マンガ賞ランクイン、マンガ大賞2025にもノミネートされた今注目の対宇宙人保険会社のSFヒューマンドラマ。子供の人身売買を行う「笛吹男」のアジトに乗り込んだCOSMOSメンバーたち。ソプラノ先輩の誘拐された弟の行方も気になるところだけど、水町の持つ能力の全容と、穂村課長ら「ネクスト」と呼ばれる存在についての秘密とは…?
今回も面白くて一瞬で読み終わってしまった。良いマンガって「あ、もう終わり?」ってなるくらいあっという間に読めてしまうんだ。勢い止まらぬ作品です。
ハヴィラ戦記(2)
奄美半島に発見された「蝶人」と呼ばれる小人たち。人間の管理される保護区を飛び出し、解放区を目指すことを決めた忍野とマイを待ち受けていたのは想像をはるかに上回る残酷な世界。
そこでは野生動物はもちろん、蝶人同士の中でも派閥が存在し殺し合い奪い合う。解放区へと発つ希望の船を目指して歩みを進める一向だったが、度重なる試練が忍野とマイを引き離してしまうのだった。
殺伐。とにかく殺伐。しんどい。当然と言えば当然だけど、小さくてもやっていることは人間と同じ。実際の奄美の文化監修とかも入っていて民俗学的な面白さもある。
無事、解放区へと辿り着けるのか、辿り着いた先に待つものは一体何か。あと真田さぁ…気持ちは分かるけど自分の意思で外へ出た以上他責思考はあかんよ。
雷雷雷(4)
平穏な生活を送るスミレたちが住む街の上空に突如として出現した謎の飛行物体。ライデン社とR.R社合同作戦が発動されるやいなや、スミレたちは物体内部へと招き入れられ、スミレを求める宇宙人らしき生命体と接触。この生命体、どうやらスミレを改造した張本人のようだが…?
謎が謎なままとにかく戦闘戦闘破壊破壊というデストロイ展開が続く。スミレに秘められた力の真実とは。宇宙生命体の目的とは。麻雀の回が良かった(?)
みちかとまり(3)
お祓いを受け、みちかとの記憶を全て忘れてしまったまり。そのまま中学2年生になったまりの前に再び現れたみちかは、「顔」の交換を願い出る。まりの顔を手に入れた中学校に入り込み、とんでもない行動に出るのだった。
人になるか神になるかが曖昧な存在のみちかと、そのみちかを人にするか神にするかの選択権を持つ普通の女の子のまりのお話なわけだけど、地獄絵図のような3巻だった。割とずっとこんな感じだけど。帯文の「目玉ほじくり出し系ご近所摩訶不思議アドベンチャー」って斬新しすぎるよ…
青春爆走!(2)
売春容疑で逮捕された兄が残した豪邸と大金を使っていけないことをしようと企む高校生たちの暴走する青春譚。
パパ活に勤しむカスミのカバンに多部さんが良かれと思って入れた800万円が原因で、まるおとカスミが口論となり、仲裁に入ったタクトが刺される。ヤバすぎんだろこのガキ共。そもそも、主人公・まるおのアイデンティティが崩壊しているので、兄のものでしか友人たちと繋がれないと思い込んでいるのが悪い。兄・シュンヤとの面会の機会を得たまるおは彼に何を伝えるのか。
研そうげん先生、成人向け漫画畑出身故に性描写の見せ方が上手くて惚れ惚れする。正直、登場人物全員クズなので大人がもっとちゃんと見てあげてという気持ちが拭えないけど続きも気になるところです。
キミと越えて恋になる(8)
人間嫌いのノアに積極的に話しかける鳴美と静真の英ツインズ。ノアは鬱陶しがりながらも二人の誠実さに少しずつ心を開いていくが、ある日、街中で中学時代自分を虐めていた人たちの集団に遭遇し連れていかれる鳴美を目撃する。
「人間は強い」と思って生きてきたけど違った。強くない人間も隣にいた。自分に寄り添ってくれる人間のことを見捨てるのは、自分を獣人を傷つけてきた人間と同じではないのか。逡巡するノアに対して万理は語りかける。「どんな自分が好きか」と。
ちょっとクサいけど王道展開で大満足。いじめっこ犯罪集団が普通にまぁまぁエグい人らで悲しかったぜ。体育祭やお泊まり会もつつがなく終わり、遂にアニメ化も決定!ますます絶好調な作品になってきているが、結構えっちなのでどうなるのか心配である。
かしこい男は恋しかしない(3)
恋愛脳すぎる高学歴男子高校生・大沢正直は今日も恋しかしない。
ネカマがバレて成り行きでちほねの兄に挨拶に行ったり、鉄録会(東大受験指導専門塾、現実にあるのは鉄"緑"会)で大学生講師の年上女性にアプローチをかけたり、文化祭で青春撲滅委員会なる組織の片棒を担いだりと大忙し。一体いつ勉強しているんだ…
ちほねちゃんがいる時点で圧倒的勝ち組なのにそんな躍起になって恋愛しなくても、という感想は野暮です。
スーパーの裏でヤニ吸うふたり(6)特装版
いや分かる。みんなが思いやりをもって他人と接していることは分かる。お互いの言葉に救われたことも分かる。それでも、山田さんは自分の存在を偽っていて意中の相手に近づいて、佐々木さんはどれだけ目の前の人の本質を見抜こうとせずに温い言葉を並べる。この関係がどうして誠実性に欠けていると思えてしまうんだ…「いやそういう話だから」で片付くことだけど、なんかモヤモヤする…
足首怪我からの浴衣で正体バレのフラグ立っていたのに一切合切何もなかったのは流石にどうかと思う。いやじゃあ思わせぶりな展開にすな。
特装版を買うほどにはちゃんと読んで向き合いたい気持ちがあるけど、今は苦しい。次巻の展開次第では評価を改めたい。
セシルの女王(8)
長きに渡るヘンリー8世の治世は遂に終わりの時を迎える。新たな王位に就いた長子・エドワードだったが、幼き王をハードフォード伯は当然放っておかなかった。前王が残したエドワードを守る仕組みは瞬く間に解体されていき、エリザベスとセシルが計画した王太后の摂政化も失敗に終わる。時代は次なる混沌へと向かおうとしていた。
暴君であり名君でもあったヘンリー8世という強大な存在ですら一瞬で過去となっていく宮廷。諸行無常。力関係に変化はありながらも状況的には何も変わっていなくて、苦しい。
ガールズ・アット・ジ・エッジ(2)
とある風俗で一人のボーイが殺された。そして姿を消した4人のピンサロ嬢と1人のボーイ。誰が、何故、殺したのか。
皆が胸の内に人生への諦めと怒りの感情を同居さていて、目の前で起こっている殺人という異質な状況にぶつけている感じ。リンカ若そうなのに冷静で怖いよ。
2年1組 うちのクラスの女子がヤバい(1)(2)
女子だけが思春期の一定期間に使える「思春期性女子突発型多様可塑的無用念力」通称「無用力」。それは、相手の皮一枚が透けて見えたり、髪の毛から花が咲いたりといった制御の効かない変な力。そんな能力が発現した女子が集められた「1組」には、普通に男子もいて、今日もそれぞれの青春を謳歌している。
衿沢世衣子先生が描く感情ごちゃ混ぜ青春ストーリー。教室の中で折り重なる人間関係が心地良い。1年生編より明確に「先生」の存在が描かれているのは敢えてなのかな。アニメ化とかしてほしいです。
1年1組 うちのクラスの女子がヤバい
連載中の『2年1組』へと繋がる『1年1組』。過去の講談社刊の3巻分を1冊に再編集した形になっていて500ページ以上ある(紙で買ったので手が痛くなった)。イライラすると手がイカみたいになる扇花さんが特に好き。
花は咲く、修羅の如く(8)
【1月からアニメが始まった作品①】NHK杯京都予選の結果発表。良子先輩は落ちて自分は3位、瑞希先輩は優勝と、喜びと悲しみと戸惑いが混在する花奈だったが、大会編は一区切りとなり、初めての体育祭に胸を躍らせる。そして、自分と西園寺修羅との血縁関係について瑞希先輩に打ち明けるのだった。
え、花奈と修羅って実姉妹だったの!?あ、へぇ〜〜〜(知らんかった)(初出し?)(にしてはなんかスルッと情報出てきたからビックリした)物語冒頭から修羅修羅言いつつ全然絡んでこなかったから全国大会でやっとこの辺りの話も進みそう。
SHISHAMOのOP、シンプルでいいですね。ただ、瑞希先輩の目が若干怖い。もっと樹里ちゃん(シャニマス)みたいな感じを想像していたので。
メダリスト(12)
【1月からアニメが始まった作品②】JGPFを目指して海外大会で着実に経験を積む結束いのりと、家族としての時間を共にしてきた鴗鳥家を離れ、さらなる強さを求めて東京のクラブへの移籍を決意する狼嵜光。氷上に生きる二人の少女は全日本ジュニアで再びを雌雄を決することに。
超絶プッシュで始まったアニメも良いけど、やっぱり原作も熱い。今回は8割くらい光の話だったな。元孤児の光にとって鴗鳥家で受け取ったものの大きさは、本人が感じていたよりもっとずっと大きかった。彼女はさらに強くなる。
そして波乱の幕開けとなった全日本ジュニア。氷の上に絶対はない。いのりの演技が始まる。
メダリスト 公式ファンブック
アニメスタートに合わせて初のファンブックも発売。各キャラのつるまいかだ先生による裏話的な情報は必見です。理凰って人気キャラだったんだなー。
プロモーションとしては正解なんだろうけど、「米津玄師」を全面に押し出し過ぎていて、ED担当のアーティストがなんかちょっと可哀想だなと思った。自分はEDの方が好みです。
沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる(1)(2)
【1月からアニメが始まった作品③】東京から沖縄に引っ越して来た主人公の照秋は入学初日に話しかけてくれた女の子・喜屋武さんのことを好きになるも、「うちなーぐち(沖縄弁)」が訛りすぎていて何と言っているのか理解できず、クラスメイトの比嘉さんに通訳してもらう日々。そんな比嘉さんも照秋のことが気になっていて…。沖縄愛に満ち溢れた三角関係ラブコメ。
アニメの出来がとても良かったので無料公開分の2巻までを読了。今のところ喜屋武さんに恋愛感情は芽生えていないので只管に比嘉さんが可愛い。沖縄のゆったりとした雰囲気が上手く表現されていて和みます。
HYのこのOPほんと大好き。
この会社に好きな人がいます(1)〜(3)
【1月からアニメが始まった作品④】製菓会社に勤める経理部の真直と企画部の結衣は同期入社で犬猿の仲…だが周囲に秘密で付き合っていてプライベートではラブラブ、というアラサー男女のオフィスラブコメ。
原作は既に全15巻完結済みで、アニメ・原作共に絵が超綺麗。「オフィスラブ否定派」なので今まで読んでこなかったけど、無料分を読んでまんまとハマりました(単純)。まぁでもアニメ見終わってから原作読めばいいかな、完結までやりそうだし。
ロンリープラネット
今月の売野機子。初の短編連載作と1話完結の短編を収録した過去作。
見た目だけが取り柄の青年・常盤一郎は、超人気占い師の姉・トキワ未来に勘違いされてしまったことをキッカケに、占いを求めて連日押し寄せる客の相手をすることに。登場人物たちそれぞれがたった一人で孤独な宇宙を旅しているような、ままならない人間関係を描く表題作【ロンリープラネット】
最近、両親の様子がどこかおかしい。そんなことに気付いた小学生の枇杷子は、家族に隠された大きな秘密を知ることになる… 【その子ください】
過去作品を読む度、全部面白くてしみじみすごい。すっかり売野機子作品の虜になっております。
痩我慢の説
『フリースタイル』の年末恒例企画「このマンガを読め!2025」にて1位を獲得した作品。藤枝静男氏による同名原作(芥川賞の候補にもなったことがあるそう)を敬愛する川藤徳重先生が劇画調でコミカライズ。
太平洋戦争終結後、静岡の片田舎で開業医となった青木は、夫婦二人暮らしの生活の中で、東京から度々家出してくる天真爛漫な姪・ホナミからいつも刺激を貰っていた。そんなある日、ふとホナミに将来を尋ねると、彼女の口から「獣医になりたい」という言葉が返ってきた。姪の夢を応援する叔父を中心に、当時の風景を映し出したように生き生きと描いた一冊完結作品。
原作は未読ですが、青木の一人称が「僕」のことろを「私」に変更していたり、原作には登場しない犬のベティが良い味出していたり、ホナミの造形がオードリー・ヘプバーンっぽかったり、色々趣向が凝らされているみたいです。スルスルと読めて面白かった。
蝉法師 訳アリ坊主三人衆、嫁探しの珍道中
SNSで繋がっている方(ニケさん)の2024年ベスト作品。短命な昆虫として知られる「蝉(セミ)」の一生を独自の解釈で描いた異色作。
地中でその生涯の殆どを過ごし、最後の最後に地上に出て子孫を残して死ぬという蝉の一生。その雄を「念仏を唱え続ける法師」として、雌を「法師を見定めて番になることを申し込む尼」として擬人化させる。出会いも別れも生も死も、その全てを慈しむように命を燃やして声を上げ続けるという生き様。すごい作品だった。なんだか蝉の声が恋しくなった。
一点だけ言うとすれば、サブタイトルは不要かな。
パリッコの都酒伝説ファイル(1)
酒ライターであるパリッコとギャグ漫画家コンビ・ルノアール兄弟がタッグを組んだ実録酒エッセイ。酒にまつわる様々な謎「都”酒”伝説」を解明していく漫画。
こちらもSNSで繋がっている方(BIG LOVE(台紙)さん)の2024年ベストの一つということで、昨夏から積んでいたのを漸く読んだ。まぁ良くも悪くも「酒エッセイ」。お酒好きならもっと楽しめたかな…
【完】キスアンドクライ(1)(2)
『メダリスト』アニメ放送記念として「フィギュアスケート」が題材の作品を色々読んでみようという自主企画。その1。
事故に遭い、1年間眠り続けていた橘龍希。寝覚めるとフィギュアスケートに関する記憶だけを失っていた天才フィギュアスケーターが再びリンクに立つ。
残念ながら超打ち切り作品だった。主人公のキャラ付けもいまいち定まっていないまま、敵やライバルも中途半端なまま終了。ただ、競技描写には鬼気迫るものがあった。
因みに「キス・アンド・クライ」とは、フィギュアスケートで競技後、選手と コーチ が採点結果の発表を待つためにリンク 脇に設置された待機場所のこと。
【完】氷上のクラウン(1)~(3)
その2。『ガールクラッシュ』が絶賛連載中のタマヤ碧先生の前作。4回転アクセルを跳ぶことを夢見る熱血スケート少年の優馬は、幼馴染でサラブレットの堅実スケート少女・いぶきと切磋琢磨の日々を送る…!というフィギュアスケート漫画。
短命な作品となってしまったけど、先生特有ののびのびとした筆致が「フィギュアスケート」と相性抜群で、雄弁に語りかけてくるかのような演技シーンには目を見張るものがあった。
ヒロインが亡き母の姿を主人公に重ねる心理描写も穏やかながら名作の片鱗を見せられて好き。『ガールクラッシュ』がバカ売れしてこっちをセルフリメイクする世界線があってほしいなと妄想してしまう。
【完】僕のヒーローアカデミア(21)~(42)
文化祭編あたりで読み止めてしまってから早6年半。お正月休みを利用して未読分を漸く読み終えた。アメコミへの多大なリスペクトが作品の下地(というか結構全体的)にあって、そこに堀越先生のスーパー画力が合わさり、ド派手かつ繊細に「ヒーロー論」が描き出されていた(ように思う)。大傑作。
ガッとまとめて読んだのもあって「好きなシーン」を挙げるのは難しいけど、「ヒーローが辛い時、誰がヒーローを守ってあげられるだろう」という視座はすごく好きだった。あとかっちゃんが大人気な理由もよく分かった。でも一番好きなのは葉隠さんや切島くんやホークスとかかな。
学生の頃にジャンプ好きの友人(生粋の堀越先生ファン)に面白いのが始まったぞ!と教えられ、彼の家でジャンプ本紙を読ませてもらい、すぐ1巻を買いに走った思い出。そこから10年あまりが経ち、去年の夏に作品が完結。12月に最終巻が出たヒロアカ。一緒に完走はできなかったけど、これが自分の「距離感」と思うと、えも言われぬ感情がこみ上げてくる。読めて本当に良かった。
編集後記
というわけで2025年最初の月末まとめ、1月に読んだマンガたちでした🌅
今月は言わずもがな『ハクメイとミコチ』の月だったわけですが、『サンキューピッチ』『魔男のイチ』『本なら売るほど』『午前二時は食卓で』『シルク・フロス・ボート』など、新作にも多く出会えた豊作ラインナップだった。
その反面、完結作品(特に打ち切りっぽい終わり方の作品)も多かった印象で、新年早々幸先が良いんだか悪いんだかよく分からん月だったかも。
完結作品の中だと中でも『佐々田は友達』は特におすすめしたい。
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今月の上旬に「今年やりたい10のこと」という今年の所信表明的なものを書いたのですが、この中でも書いている通り、今年から「記録」というアプリを導入してみた。これがなかなか良い具合。詳しくは↓にて。
年を跨いでなお、記事のタイトル・デザインで相変わらず迷走しておりますが、とりあえず「2025年○月に読んだ『マンガの記録』」でいきます。コロコロ変えるのだけはダメだと思うので当分これで。
あと、マイナーチェンジとして「作者名・出版社名」を割愛。どちらも大事な情報だけど、なんか全体的に画面がごちゃごちゃするので、致し方なく。
ウダウダ言うてますが、所詮は自己満足の領域なので、自分の好きなようにやっていくのが一番。今年もその自意識を忘れずに”読んで”、”書いて”いこう。
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今年も一年よろしくお願いします▲