上石田の宿のコンセプトと気を使った事
「上石田のおうち」は1棟貸しの宿ですが、宿を始めるにあたり、かみさんの考えがありました。「1泊だけではなく、長期滞在できる宿泊施設を作りたい」というものです。特に家族が一緒に泊まれる宿というのがコンセプトで、これはコロナ禍のパンデミックの中で、家族の会食でも旅先では分断されてしまうことや、外でマスクをしておしゃべりも控える状況の中、旅に出た際は宿の中くらいはリラックスできる場所にしたいという思いから生まれました。
家族連れで宿泊できる宿として、両親と小中学生のお子さん2名の4名まで同料金で泊まれる宿を提供しています。さらに、キッチンも完備しており、旅先で料理を楽しんでいただけるようになっています。地元の味を楽しむためには、料理道具だけでなく基本的な調味料が整っていないと、旅先での料理は大変ですよね。
私たちの宿は食事を提供しませんが、宿泊者が自分で調理したくなるように工夫しています。単なる簡易的なキッチンではなく、普段の晩ごはんが作れるキッチンを目指しました。
料理道具と設備
普通の一軒家に必要な基本的な道具を揃え、コンロは安全面を考慮してIHコンロにしました。3口タイプのコンロ、炊飯器、電気ポット、コーヒーメーカーも完備しています。
さらに、誰でも本格的なエスプレッソが楽しめるように、ネスプレッソマシーンも導入しました。
とはいえ、これらはリサイクルショップで見繕ったものです。どこのゲストハウスでも同じかもしれませんが、宿を始める決心をしてからは、リサイクルショップ巡りが日常の一部となり、あれがいい、これがいいと設備を決めていきました。基本的に新品で購入したのは、布団、リネン類、親子ベッド、鍋、フライパン、調理の小道具やグラス、マグカップ類はIKEAやニトリを愛用しています。
冷蔵庫、電子レンジ、大型コタツテーブル(布団はニトリ)、洗濯機、本棚、掃除機、アイロン、ドライヤー、炊飯器、IHコンロ、ボードゲーム、座椅子、文机、自転車など、さまざまなものをリサイクルショップで用意しました。
ヴィーガン認証と調味料へのこだわり
実は「上石田のおうち」では、ヴィーガン対応の調味料を揃えています。もちろんヴィーガンでない調味料もありますが、ヴィーガンのお客様でも安心して宿泊して調理を楽しんでいただけるようにしました。かみさんは学生の頃から「生活クラブ生協」の組合員で、添加物の少ない調味料を使いたいタイプの人間です。私の果樹園の果物も「生活クラブ」に出荷しているので、宿の調味料も「生活クラブ」で揃えたい!という思いがありましたが、生協の商品を常に欠品なく揃えるのは難しいことが分かり、ヴィーガン対応の調味料で揃えることに決めました。
調べてみると、日本ヴィーガン協会ではヴィーガン対応の宿泊施設を認定していることが分かり、すぐに問い合わせをしました。そして、ヴィーガン対応の調味料を揃えている宿として無事ヴィーガン認証を取得しました。
この写真に写っている中で、ヴィーガンでないものとしては。
マヨネーズ(卵を使用)万能つゆ(酵母エキスにサバ由来の出汁成分使用)の二つですね。宿ではヴィーガンの方向けにリクエストがあった場合、ヴィーガン対応の豆乳マヨネーズと、シイタケ出汁の素を用意します。
トイレタリー用品と食器
松山油脂さんは、富士山の麓に石鹸工場を持っていますので、地元のシャンプーメーカーと言えるでしょう。こちらの松山油脂さんから別ブランドとして発展し現在別会社ですが関連会社としてMarks&Webさんがありますがこちらの方が知名度は高いんじゃないかと思います。
また、食器についてはプラスチックを使わず、日本の磁器や木製品を選んでいます。日本の宿に泊まるなら、やはり日本の伝統的な食器を使っていただきたいと思っています。
ただし、IKEAで見かけるデザインが気に入ることもあり、その際にはデザイン性を重視して選ぶこともあります。壊されるのが心配だからプラスチックの食器を使うわけではなく、ちゃんとした食器ならちゃんと扱ってくれるだろうという信頼のもとで選んでいます。
お子様連れのお客様からは、「子供用の危険でない食器も揃えて欲しい」との要望もあり、その点にも配慮しています。
季節感を楽しむ掛け軸
宿を始めたことで、季節に合わせた掛け軸を飾りたいと思い、掛け軸の収集にはまっています。海外の宿では絵画を飾ることが一般的ですが、和室には掛け軸を飾ることで季節感を楽しむことができます。美術品ではなく、気に入った絵柄のものをリサイクルショップや小道具屋さんで集めています。
「上石田のおうち」の和室の床の間部分は実際にはウォークインクローゼットだったのですが、本物の床の間ではないにもかかわらず、その雰囲気を出すために飾り付けをしています。
こうして、消防署の検査が始まる前に、宿の備品を着々と整えていったのでした。