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日韓家族、真夏の関西へ
3週間の一時帰国を終え、戻ってきましたー!韓国へ。台風が関西に上陸し、帰りの便が欠航になりそうでヒヤヒヤしましたが、予定通り、無事飛び立つことができました。
韓国に戻ってすぐ手抜きできるよう、たっぷりと買い込んだレトルト食品のせいでしょうか。私のトランクは数キロ重量オーバーしており、超過料金を払う気満々でチェジュ航空のカウンターへ参りました。ところが、この日はなぜか超過料金について一切話が出てこないではありませんか。職員のお兄さんに尋ねたところ、「今日は結構です」とのこと。おもわず「え!いいんですか?今日だけ特別なんですか?」と聞き返してしまいました。理由は謎ですが、ありがたや〜!最後の1枚だった樋口一葉さんとお別れせずにすみ、助かりました。こんなことってあるんですね。
約2時間のフライトを経て到着したのは、久々の金浦空港。入国手続きの列には、日韓家族と思われる方たちが何組も並んでらっしゃいました。それにしても金浦空港はいいですね。仁川空港よりも規模が小さく、人が少ないので手続きが速い。私が利用したその翌日には、今を時めくK-popアイドルの“New Jeans”が金浦空港に現れたそうで、運良くその場に居合わせた方から興奮の声が届く…なんてこともありました。こじんまりしているからこその利点が多い、良き空港です。
ただ、ソウル以外の場所へタクシーで行く際は要注意。空港を出てすぐのタクシー乗り場に並んでいるのは、全部ソウル行きのタクシーなんだそうです。それを知らなかった私は、20数キロと15キロのトランクと、5〜6キロの手荷物を2つ、そしてわんぱく盛りの4歳児を連れてタクシー乗り場へ…。
「さあ、乗ってちょうだい」とばかりに近づいてきて、手招きするタクシーのおじさんに行き先を告げた瞬間。彼は首を横に振り、まさかの乗車拒否! ちびまるこちゃんの「ガーン」って顔、ご存じでしょうか? まさにあんな顔をして立ち尽くしていたところ、空港職員と思われる親切なおじさまが現れ、「あなたの街に行くタクシーは国内線の方で待機してるんですよ。電話したらすぐ来ますから」と番号を教えてくれました。ああ、捨てる神あれば拾う神あり。救世主おじさま、カムサハムニダ。
こんな感じでドタバタと家に戻ると、すぐ新学期がスタートしました。韓国の夏は短いのです。それに伴い、私も毎日出勤する日々。ところが、テキパキと動きたい気持ちとは裏腹に、日本で食べ過ぎて太った身体が重い、重い。気休めに始めた起き抜けのラジオ体操で、「いった~い!」と叫ぶ40過ぎの私に、4歳男児の冷ややかな視線が毎朝ブスブスと突き刺さります。
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海の向こうは仁川国際空港
さて、そんな中、先日久しぶりに音声配信を収録してみたんですが、今回聞いてくれた方たち(みんな顔見知り)から次々と感想が届き、嬉し恥ずかしさと同時に、「話すっていいなあ」と生まれて初めて思えたんですね。
これまでずっと、話すのが苦手だから書いて表現するしかないと思ってきたし、音声配信を始めた後、「こんなおしゃべり始めちゃって、私は一体何を目指してるんだろう?」と思うこともあったんですが。日本に帰って、ご無沙汰の友人たちや、信頼する人たちが楽しんでくれているということがわかり、聞いてくれている人の顔が見えたことで、「これからもっと楽しくできるかも」って、肩の力が抜けた感じなのです。
しゃべることに前向きになれたきっかけは、もう1つ。音声配信でも話しましたが、今、小説家の朝井リョウさんのトークを毎日聞いていることも影響していると思います。彼のしゃべりは面白すぎる!まさにラジオの申し子。彼のトークを聞いていると、私の中の眠っていた何かがグイグイと刺激され、すっごく誰かとおしゃべりしたくなるのが不思議。早速、エッセイ『時をかけるゆとり』も読んでみたんです。そしたら、何度もコーヒー吹き出しそうになったし。書くのもしゃべるのも面白いって、一体何者?!
そういえば彼、20代前半で『何者』という小説を書き、戦後史上最年少で直木賞を受賞していましたよね。小説は読みましたが、佐藤健主演で映画化されていたとは知らなかった…。何事も知れば知るほど、知らないことの多さに気づかされます。っていうか私、朝井リョウさんと同じ空間にいたことあったやん?!その昔東京で、朝井リョウさんと韓国の作家チョン•セランさんの対談を聞いたのでした。確かその後のインタビューにも立ち合ってましたのにね…。あの頃は真面目でシュッとした青年にしか見えず、彼の面白さに今頃気づいたんであります。
はい、つい前置きが長くなってしまいました(前置きやったんかい)。ここからは音声配信の内容に沿った、一時帰国中の写真をいくつか載せたいと思います。最後に音声配信のリンクを貼っているので、写真と共にお楽しみいただけると幸いです。
では、真夏の関西で焦げそうになりながら、台風やウイルスたちに翻弄されながら、パシャパシャと撮ってきた写真をどうぞー!
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亡き大石可久也先生は、描かれる絵も味わい深いですが、数々遺してこられた言葉が、また素敵なんです
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韓国移住後の6年間は、コロナ流行期間とも重なって、育児や家事、家族の病気•入院、介抱などで辛い時、頼れる人や場所がなく、一人で乗り越えないといけないことがあまりにも多かったですね。今振り返ると。そりゃあ疲れるわ!消えたくもなるわ!
だから、2023年の夏は食べたかったものを食べ、会いたかった人に会えて、「これまであんた、ようやってきたな」と、ご褒美をいただいたような時間でございました。友人や人生の先輩たちの話を聞いていると、辛かったのは自分だけじゃない、みんなそれぞれの場所でいろいろなことがあったんだな、と知ることもできましたしね。
貴重な時間をさいて会ってくださったみなさん、本当にありがとうございました!会えないからとメッセージやお手紙、贈り物まで送ってくれたみなさんも、カムサハムニダ!!久しぶりの友人知人に会ってゆっくり話せるようにと、子どもの面倒をみてくれた両親、弟にも感謝しています。
韓国は雨降りの月曜日。急に涼しくなってきました。秋が始まろうとしています(そして来月にはもう秋夕という名の、休めない連休が待っている…)。みなさん、どうかお元気で!
▼音声配信はこちら
《番組内容》
韓国人夫は4年ぶり、私と子どもは1年数か月ぶりの日本帰省。真夏の兵庫•大阪で行って良かった場所、久々の友人と再会するきっかけになった韓国絵本の話、帰省中に見た映画や読んだ本、韓国に戻ってからの近況など。/2023.08.24収録