今こそおすすめの韓国小説と、考えさせられた話題映画2作
1月17日の今日は、阪神淡路大震災が起こった日です。1995年当時、私は兵庫県内の学校に通う中学生で、自宅は神戸から電車で30分ほど離れた場所にありました。あの朝、大きな怪獣がわが家を掴み、左右に大きく揺らしている夢を見たのだと思いきや、目を開けてもまだけたたましい音と共に家が揺れ、父と母が階段を駆け上がりながら私と弟の名を叫んでいました。
その後、進学先の広島で芸予地震が起こり、一人暮らしの部屋で慌ててコタツの中に潜り込みました。編入先の札幌では大型台風がやってきて、通っていた大学構内のポプラ並木はなぎ倒され、家のガス・電気・水がすべてストップ。2日ほど大学に避難しました。
そうやって大小の自然災害を経験するたび、自分の無力さを感じながらも、結局はまた文明の利器に頼りきった生活に戻っていく…。でも頭の片隅ではいつも「これでいいのだろうか?」という思いが渦巻いていました。
パソコンで文章を書き、紙面を作る。印刷所ですり上げた新聞や雑誌が読者の元に届く。だけど、電気が使えなくなったら、電子機器が壊れたら、たちまちストップしてしまう自分の仕事って何なんだろう?お金が何の意味もなさないものになった時、食べるものすら自ら作りだすことができない自分って何とひ弱なんだろう、と。
30代前半で会社を辞め「半農半ライター」と名乗り出した時、周りの人には唐突に見えたかもしれませんが、私は自分の無力さをただ嘆くだけでなく、生きるためにできることを1つでも増やし、学んだことを人に伝えていきたいという思いでした。その流れで韓国にたどり着いた結果、再び文明の利器に頼りきった生活を送らざるを得なくなり、今に至るわけですが…。
韓国社会は日本以上にデジタル化が進み、携帯がなければ生活のすべてに支障をきたす仕組みになっています。また、これまで「韓国では大きな地震は起こらない」と言われてきたからか、高層マンションが乱立。20〜30年前に誕生したソウル近郊のニュータウンは建物が老朽化し、出入りするたび耐震性に不安を覚えます。
「この国で自然災害が起こったらどうなってしまうのだろう?」。そんな思いが浮かんでは怖くなり、目をそむけてきましたが、昨年その問いに答えてくれるような映画が韓国で公開されました。イ•ビョンホン主演の『コンクリートユートピア』。今年初めて収録した音声配信の中でご紹介しています。
▼音声配信はこちら
《番組内容》
韓国で過ごす年末年始も8回目。12~1月の出来事を振り返りながら、今読めて良かったと思った韓国小説や、日本で現在公開中の韓国映画『コンクリート・ユートピア』、これから日本公開となるアメリカ映画『オッペンハイマー』についての感想等をお話ししています。/2024.01.16収録
★音声でお伝えしきれない韓国の風景などは、YouTubeのショート動画でお楽しみください^^
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