個人を守るために必要な支援と対策 第5章:相互連携の必要性 ⑦
確かに、幼少期から才能の有無や人脈で付き合う相手を決めるというのは社会に出た時にはあまり望ましくない部分であり、これらの人と交流する事で学ぶことは多いが、失うものも多い。
私が危惧しているのは“これらの経験則に基づく特定価値観の形成”だ。
これは“自分の方が○○より頭が良いから”や“あなたはこういう人とは付き合えないでしょ”など自分の方があたかも立場が上である事や相手を卑下することで優越感を感じやすくなるため、相手が困ってしまった時にエスカレートしやすくなってしまうのだ。
これは私自身も経験があるが、日本社会には“年功序列”というピラミッドが存在しているが、このピラミッドと同じで“カースト”という同じ年齢でも上下関係が構築される現象がある。
そのため、これらの要因が起きたとしてもこの要因についてきちんと議論することや起きたトラブルについてどのように対応する事で相手を傷つけない、相手を理解し、相手の違うところを認め合うという基本的な人間関係を構築する為に必要な価値観を教えることが大事だと思う。
そして、家族の多様化による教育機会の喪失や知識習得のばらつき、幼少期からの社会における家系のパワーバランスの不一致など個人的な部分に着目されるよりも全体のイメージで個人に着目される傾向が強いため、個人がどのように頑張ったとしても親や親戚など家系を知っている周囲の人から見ると、「○○さんのお子さんなのに○○が出来てない」や「○○さんのお子さんは良く周りに突っかかってくる」などその親や親戚との比較や“○○さんの家だから~であるべき”という心理が先入観と共に相手の価値観として構築されることになり、その考え方が基準となって相手を評価することが一般化し、これらの評価を受けることが定常化する事で本人にとっては“コミュニティ・ロックアウト”(=地域からの追放)や“コミュニティ・オーバー・イマジネーション・コントロール”(地域における過剰な印象操作)などが年功序列のような風潮が色濃く残りかつ居住年齢が高い地域もしくは周囲との関係性が薄い地域に顕著に現れやすい傾向がある。
これらの要因が複数発生することで、若い世代は“拘束されたくない”ということで進学や就職を機に家を出る人が増えてしまうのだ。
また、子どもの時からいろいろと良くしてもらってきた人であっても成長する度に距離感を見直すなど物事の考え方が変わるように、相互理解を進める上で相手に対する評価も変わる。
だからこそ、年代相応の連携が取れるような体制構築と相互連携の強化が将来的な人材育成における個別価値の向上と個別価値観の多様性が望めると思う。
大人が子どもの出来ない、我慢してしまうことを見過ごさず、安心と信頼を与えることで子どもはハードルが下がっていく。
相互連携は人材育成や子育てにおいて大事な事だ。