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喉が痛い。実家から帰って来てからずっと。実家の空気は身体に合わないらしい。生まれてから…
手をつないで歩く人たちが羨ましく思えるのはなんでだろう。冬って特に。 買い物に行く途中で…
故郷は懐かしく、愛おしい。 けれども故郷に帰るたびに、その姿は少しずつ変わっていく。…
僕の指は汚い。短く、丸く、しわが目立つ。抜いても抜いても毛が生えてくる。爪なんてもうひ…
風になびくススキの穂が、西陽に反射してきらきらと光っている。夕暮れというには少し早い午…
薄暗い明け方の部屋でひとり、布団を被ったまま聴こえる雨音に耳をすませる日、気怠く心地よ…
空にぽっかりと浮かぶ上弦の月を透かして、薄い雲がゆっくりと流れていく。絹のベールを被ったようなしっとりと美しい月。どうしてこんなに綺麗なんだろう。 私が惨めな気分の時、あなたはいつも美しい。優しく、冷たく、遥か彼方から光っていて、地べたの醜悪な私を照らし出して行く。ズキズキと痛む心臓を手のひらで押さえて、それでもあなたを見つめている。 息を詰めたまま空を見上げていると、あなたを薄く包んでいた雲のベールが途切れ、無くなった。ぱっと目の前が明るくなり、胸の奥まで光が差し込ん
冬、13時を過ぎる頃。もう太陽は夕方の色をしている。空も空気も町並みも少し黄ばんで、1日…
美しいものを数えようと思った。 背後から、ただ忍び寄ってくる真っ黒な不安から逃げるよ…
西日に輝く稲穂の金色を美しいと思うのと同じ心で、貴方を憎いと思う。澄み渡る青色の夏空に…
僕のオンボロ車をゆっくり走らせる。フロントガラスに付いた細かい傷痕が、街灯の光を反射す…
冷たい雨が降ったり止んだり。さっきまで明るかった空がサッと曇り、薄暗い空から雨が落ちて…
曇り空と、青空と。私のいるところは影で、向こうは光。見上げた空に虹の橋がかかっている。…
