【随筆】手を繋ぐ

手をつないで歩く人たちが羨ましく思えるのはなんでだろう。冬って特に。

買い物に行く途中で手を繋いで歩く若い男女を見かけた。なんとなく羨ましい。

そしてひとりで歩いている自分がやはりなんとなく寂しいような気がしてくる。

それがカップルであっても家族連れであっても友達同士であっても、手をつないで歩けるような仲になれるのは素晴らしいことだと思う。

手を繋ぐということは、片手が使えないとかそんな不便なんか通り越して、相手と繋がっていたいということ。そして外で手をつないで歩くということは、その相手と親密な関係であることを堂々と示す行為である。(と自分は勝手に思っている。)

手をつないで歩く人々には、繋がっていたいと思えるそんな相手が近くにいるのだ。あーなんとも羨ましい。

今日はもう三月も六日目を数えている。暦の上では春だがまだまだ寒い。

寒いときは寂しい。

猫が冬になるとやたらめったらに人の膝に乗っかってくるように、寒いときはきっと何か温かいものに寄り添いたくなるのだろう。

そんな時に手をつないで歩く人びとを見かけると、少しだけ心が揺れる。

いいなぁ。



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