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【随筆】悲しみについて

 西日に輝く稲穂の金色を美しいと思うのと同じ心で、貴方を憎いと思う。澄み渡る青色の夏空に奪われた筈の心は、何故かまた私の中にあって、こうして悲しみや憎しみに燃えている。愛や友情や信念や、この世の美しいものたちについて、君と語ったこの唇から憎しみが溢れ出すことが悲しくて悲しくて。荒れる冬の海の美しさに、涙を流したい。勘違いしないでください。私が泣いているのは、ただそういうことのためなのです。


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