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お正月の帰省後の雑感

 喉が痛い。実家から帰って来てからずっと。実家の空気は身体に合わないらしい。生まれてから高校を出るまで、ほとんどずっと、あの家で暮らしてきたのに。古い家らしく、その空気は少し埃っぽく、愛犬の振りまくフケと毛と愛嬌が舞っていた。
 私の住む北陸は、身体からカビが生えるかと思う程に湿気が多い。水の中を歩いているかのような、重く濃い空気。それと真反対なのが実家のある中部高地だ。生きているだけで干乾びていくようなカラカラの空気。さわやかで軽やかな風、懐かしく恋しく、忌々しい、故郷の空気だ。
 私のすこぶる弱い気管支には、故郷の空気も合わないらしい。カラカラの空気に舞う、スギやヒノキやその他の草たちの花粉を吸い込めば、たちまち咳き込み、喉が鳴る。北陸のどんよりと重い風は、花粉すらも閉じ込めるのだろうか、実家を出て、こちらに移り住んでからアレルギーも喘息もめっきり良くなった。
 悲しいかな、大好きな実家、愛犬、故郷、そのすべてが私には合わないらしい。お正月の帰省後の雑感。

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