からだの寿命とこころの寿命
高野悦子「20歳の原点」
手を差し伸べられない。
見えなくていいものも見えていたのだろう。
他者を愛せたらよかったのか?
人のために生きられたらよかったのか?
八方塞がりさと、それ以上突き詰められぬ逃げ場のなさが身に染みて伝わる。つらい。
精神に年齢が追いつかなかったのか。
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からだの寿命と、精神の寿命は違うのだろう。
身体と同様に、精神もまた回復できないところまですり減り、衰弱してやがて死ぬ。
一度知ったことを、もう一度知る前に戻りたい。
もう一度、認知の形成からやりなおしたい。
その年齢に見合った精神を携えて生きていきたい。
画家は、一度上達すると二度と下手に描けなくなることを嘆くと言う。
一度染み付いた価値観を解き放つには、
どれだけの苦労が必要なのだろうか。
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