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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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#邦楽

Little Glee Monster全アルバムレビュー

こんにちは、raqmです。 今日2024年10月29日、Little Glee Monsterはメジャーデビュー10周年を迎えました。その歴史を振り返る意味も込めて、全アルバムレビューを書きたいと思います。 私は6年程前の中学生の頃、Little Glee Monster(リトグリ)と出会いました。自分から音楽を聴くようになったのはこの時が初めてで、リトグリをきっかけに音楽が好きになりました。今では様々な音楽を聴いて音楽批評にも興味を持つ大学生になった訳ですが、リトグリの

【独断&偏見】サザンオールスターズ&桑田ソロ、アルバムランキング

江ノ島が見えてきた〜俺の実家はひたちなか〜 というわけで我が地元ひたちなか市にサザンオールスターズがやってきます!!! ぶっちゃけ最近のロッキンには変わり映えのしないいつメンばかりのラインナップに、蘇我移転とかで関心を無くしてたんですけど、サザンが来るならちょっと行くのもありかなって思った今日この頃。やっぱり地元ひたちなかで久しぶりのロッキンだし、それにこの機会を逃したらサザンなんていつ見れる?って話になるわけで。 そういうこともあって、これを機にサザンと桑田ソロ全部聴

「洋楽離れ」をデータから検証する:日本だけじゃない? 変わる音楽の世界地図

皆さんは最近「洋楽」を聴いていますか…? ここ数年、音楽業界では「日本の洋楽離れ」が話題になっているようです。 確かに、日本のヒットチャートを席巻しているのはほとんどが日本の音楽かもしれません。一見すると日本独自の現象のようにも思えます。ただ、データから世界を見てみると、少しちがった風景が浮かび上がってきます。 実は「洋楽離れ」は、日本だけの現象ではないようです。世界中で、いわゆる「洋楽」のヒット曲、特にアメリカのポップミュージックヒット曲の直接的な影響力が徐々に変化して

「地球儀」に見る米津玄師の献身と自信

運命的な宮﨑駿との巡り合い宮﨑駿10年ぶりとなる新作「君たちはどう生きるか」の封切りから約1ヶ月後のインタビューで今の心情をこう表現した米津玄師。 あまりに重いプレッシャーからの開放感と同時に、”光栄の最上級”の仕事が”終わってしまった”一抹の寂しさを感じているのかもしれない。 子供の頃から大きな影響を受け、心の師匠、父と仰ぐ巨匠との邂逅は、「Lemon」の大ヒットで”自分がやってきたことはここで終わりなんだとエンドロールが流れ始めた感じ”がしていたと言う米津を”まだまだ

藤井風のWORKIN'HARDでちょっと泣いた

 いきなりだが、正直に告白する。藤井風に対し少しだけ行き詰まりを感じていた。もっと言えば若干飽きてきていた。  デビューアルバム「HELP EVER HURT NEVER」から「Grace」まで、破格の才能をまざまざと見せつける楽曲と歌唱力、演奏力。さらにMVでの演技力やライブパフォーマンスも含めた総合的な表現力、どれをとっても異次元なのに。 スピッてない曲が聴きたい! 藤井風の既発曲は、サウンドのバリエーションは多彩だがメッセージは一貫していた。どれも煩悩や執着との闘い

全員で辿り着いた《叶うはずないあの日の夢》の大舞台。UVERworld、初の日産スタジアム公演2デイズを振り返る。

【7/29(土)〜30(日) UVERworld @ 日産スタジアム】 全ては、今から半年以上前、2022年12月21日に敢行された横浜アリーナ公演「TAKUYA∞生誕祭」から始まった。その日の公演においては、あらかじめライブの最後に重大発表があることが明かされており、そしてその予告通り、2023年7月に初となる日産スタジアム公演を2日間にわたり行うことが発表された。バンド史上最大規模の会場でのワンマンライブ、しかも2日目は男性限定ライブ「男祭り」としての開催である。まさに

2023年上半期、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

ライター活動を始めた2018年の年末から、「僕の心を震わせた〜ベスト10」と題した邦楽・映画の年間ランキングを発表し、2019年の年末からは洋楽を含めた3つのランキングを発表し続けてきた。また、2019年からは、その年の中間報告として、毎年6月末頃に上半期のベスト10をまとめてきた。 今年からは、スケジュールなどの兼ね合いで、上半期のランキングをまとめるのをストップして年末の年間ランキングのみ発表する形にしようと考えていたけれど、やはり、邦楽のみ、どうにか時間を作って上半期

《今君が"そこ"にいることを 僕は忘れないから》 BUMP OF CHICKEN、「be there」ツアーファイナル公演を振り返る。

【5/28(日) BUMP OF CHICKEN @ さいたまスーパーアリーナ】 BUMP OF CHICKENにとって、そして僕たち一人ひとりのリスナーにとって、ライブとは何か。先に結論から書いてしまえば、この日の公演は、その問いに対する確信をお互いに深め合うような、あまりにも輝かしい時間・空間となった。 僕自身、今まで数え切れないほどBUMPのライブを観てきたけれど、その本質が、これほどまでに深く鮮やかに浮き彫りになったのは、今回のツアーが初めてだったかもしれない。も

【QOL爆上げ】なんとなく家宝にしたいとっておきの名盤

特別なスープをあしたにかけーる 橋はLike a Bridge Over Trouble Water♪ どうも○代目です。 最近ストリーミングサービスの普及とかもあって、アルバムよりもプレイリストで音楽を聴く文化がトレンドになりつつありますが、やっぱりアルバムという一つのフォーマットって芸術作品としてアーティストのこだわりとか滲み出る人柄とかが垣間見えて面白いんですよね。 ちょっと前からレコードブームが流行り始めて、わざわざ手間のかかるプレイヤーで聴いたり、インテリアと

YOASOBIさん「アイドル」の記録的人気をリツイートネットワークから可視化してみる

赤坂アカさん原作、横槍メンゴさん作画の漫画のアニメーション化作品『推しの子』のオープニング主題歌『アイドル』が、配信開始数日で再生/視聴回数を伸ばし、各種記録を更新しつつあるようです。 YOASOBIさんの人気が広がるメカニズムについては当研究室でも、2022年12月のジャカルタ公演に関するTiwtterデータを元にしたネットワーク分析を行ったことがあります。 このときは「ファンダム」という観点から非常に興味深い現象が観察されたのですが、今回はどうでしょうか? そこでY

米津玄師「LADY」カタルシスと開放

米津玄師「LADY」のMVを見て驚いた。 これはなんだ。 すっかり開放されているではないか。 まるで黒天使(米津玄師ファンに怒られませんように)がカタルシスによって漂白され、白天使に転生したようだ。 https://youtu.be/DdF-u3fe5pg 米津玄師といえば間違いなくJ-pop界のトップランナーであり、期待値以上の数字を叩き出すヒットメーカーである。タイアップ作品や様々なアーティストとの交流、コラボ作品も多くありながら、どこか孤高の詩人のような雰囲気も漂

YouTubeデータで「世界各国のヒットチャート流動性」を視覚化してみる...日本は平均より上

YouTubeは日本で最もメジャーな音楽メディア 今年の2月9日に、Spotifyの一年分のチャートデータを元に、世界各国のヒットチャート流動性を分析しました。 その結果に関する考察は、同じデータセットから行った世界各国のヒットチャート類似度の分析をしたnoteでも言及させていただきました。 Spotifyデータからみるかぎり、日本のヒットチャートの流動性は72ヶ国中、下から3番目に低かったのですが、それはあくまで「日本のSpotifyユーザーのリスニング行動が示す傾向

For Tracy Hydeの解散を考える/セカイから世界へ

トレイシー・ハイドという子役が出演した1971年のイギリス映画『小さな恋のメロディ』を初めて観たのはFor Tracy Hydeの大傑作アルバム『New Young City』(2019)を聴いてしばらく経った後だった。当時の年間ベストアルバムにも選んだバンド名に関連してる人物の映画なのだから、さぞこのバンドの根源に繋がる作品だろうと思っていたが、観終わった後にバンド名の由来はWondermintsの楽曲「Tracy Hide」から取られていたと知って少々脱力してしまった。映

藤井風 LAAT大阪 ライブレポート2023/2/7 大阪城ホール

パナスタでのライブから、はや4カ月。 昨年末の紅白歌合戦出場をはじめ、ネットメディアでのあれこれを経て、藤井風はどのように変容しただろう。 いつだって想像の遥か上を行く彼のことだ。サナギが蝶になるかの如く進化しているに違いない。期待に胸を膨らませて開演を待った。 「それでは、」 ストリングスの荘厳な音色が響き渡る中、藤井風が自転車に乗ってアリーナ後方の通路から登場した。 「わぁ…」と控えめに上がる歓声と拍手。藤井風は笑顔を振りまきながら、センターステージの外周をグルグルと