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#サイエンス 記事まとめ

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noteに投稿されたサイエンスにまつわる記事をまとめていきます。
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記事一覧

2022年は「Web3」元年になる

「Web3(ウェブスリー)」という言葉をよく聞くようになりました。日本国内だけではなく、世界中のIT領域のトレンドキーワードになっています。テスラ・SpaceXのイーロン・マスクや元Twitter CEOのジャック・ドーシーが”Web3”に意見を述べたことも話題になりました。 2021年の流行語大賞ノミネートは「NFT(Non-fungible token)」でしたが、早くも「Web3」が2022年の流行語候補に名乗りを上げたかたちでしょうか。 そもそも「Web3」とは何

「イチ推し標本教えてください!」海獣学者の田島木綿子さんとめぐる国立科学博物館の標本庫ツアー♪

日本でも有数の規模と歴史を誇る、国立科学博物館。 いつも魅力的な展示が行われている上野本館では、巨大なシロナガスクジラが来館者を出迎えてくれています。 しかし実は、国立科学博物館に所属する研究者の方々の多くは、つくば市にある筑波研究施設で研究をされています。そしてこの筑波研究施設には、一般人がふだん立ち入ることのできない巨大な標本庫があるのです…。 晴天の日。正面に「国立科学博物館 自然史標本庫」が見えてきました! こちらが田島木綿子さん。国立科学博物館動物研究部で海の

【夏休みの自由研究に】子ども科学漫画『つかめ!#理科ダマン』で実験してみよう☆【試し読みできます】

いよいよ8月に突入。夏休みも2週間が過ぎようとしていますね。 世のお母さん、お父さん、おつかれさまです。 ガマンしなくてはいけないことが多い昨今、お子さんといっしょに夏休みを過ごすことの大変さ、とてもとてもよくわかります。 気軽に出かけられなかったり、自由に遊べなかったりする夏も2回目。 そして、お子さんの自由研究、悩みはつきまじ……。 今日は、家族みんなで笑って楽しめる、学習漫画をご紹介します。 「おならってどうしてくさいの?」 「月ってどうして形が変わるの?

科学館職員と電子顕微鏡を1時間貸し切りにして、子供たちが興味あるものを拡大観察しました。

浜松科学館では、今年4月に科学館職員とデジタルカメラ、電子顕微鏡を1組1時間貸し切りにして、子供たちが持ち込んだものを観察できるイベント「1倍から30,000倍まで!超拡大ラボ」を開催しました。 小中学生を対象に募集し、イベント当日に自分が拡大したい対象(試料)を持ってきてもらいました。持ち込まれた試料は、昆虫や植物から、お札や宝石、抜けた乳歯まで、正に千差万別。筆者も驚きの連続、とても刺激的な毎日でした。 子供たちの ・いつも見ているものの表面は拡大するとどんな感じ?

中国における大学院生への経済支援,共通機器整備,そして COVID-19研究の取り組みについて

この記事は、岩波書店「科学」2020年6月号に掲載された同名記事を編集部の許可の元、転載したものです。「科学」編集部のご厚意に感謝いたします。  中国上海の復旦大学生命科学学院に所属する服部素之と申します。生体分子の詳細な「かたち」にもとづきその仕組みを理解するという構造生物学の研究を専門としています。2015年に東京から上海に異動し,研究室を立ち上げました。本稿では,これまでの私の実体験を通して中国の研究現場の紹介,特に日本でも参考になると思われる「大学院生への経済支援」

2019年 ノーベル化学賞

今年のノーベル化学賞は「リチウムイオン電池の開発」 リチウムイオン電池の正極材料を開発したジョン・グッドイナフ氏。 電極材料に初めてリチウムを用い、リチウムイオン電池の仕組みを確立したスタンリー・ウィッティンガム氏。 その2氏の研究成果を活用・発展させ、市販のリチウムイオン電池を開発した吉野 彰氏。 以上の3氏に贈られました。 向かって左からジョン・グッドイナフ氏、スタンリー・ウィッティンガム氏、吉野彰氏(公式HPより引用 https://www.nobelprize.or

『 #はたらく細胞 』で人体の細胞数が37兆個なのには根拠がある

生物屋として今期注目のアニメ『はたらく細胞』がスタートしました。 少し感動したのは、オープニングの歌詞です。 37兆個の一人、次に会うのはいつかな また、第1話は次のナレーション(by 能登麻美子)から始まります。 人間の体の中には約37兆2000億個の細胞たちが、きょうも元気にはたらいている。 人間は60兆個の細胞からできている、と聞いたことのある方は多いと思います。なぜ本作では「37兆個」と激減しているのでしょうか。 60兆個の数字に根拠はなかったそもそも「人

言っとくけど、ほとんど失敗するからね

宇宙には、ダークマターとかダークエネルギーがあって、しかもそれが大部分を占めているらしい。 存在する物質やエネルギーの多くはその性質が解明されていないということでよいのだろうか。 物理学者や天文学者が長い時間をかけて解き明かしてきた、我々の身の回りにある物質やエネルギーは宇宙の一部にしかすぎなくて、まだまだ未知の領域が広がっている。 ボスを倒したら別の世界に飛ばされて裏ボスが出てくる、みたいなこの手の話は、科学の世界ではむしろ王道というか、ベタな展開だ。 生命科学で一例を挙

メカニズムの階層ごとに擬人化してみる?

細胞をひとりの人間に「擬人化」して、がんについて語る方法があるのならば、細胞の構成要素を擬人化してもよいと思う。 人間のゲノムには数万種類の「遺伝子」の情報が蓄えられており、それらの設計図を基にタンパク質が日々刻々と作られ、役目を終えて分解される。 また、タンパク質の中には酵素活性を持つものがたくさんあって、脂質など、細胞に必要な物質の合成や分解に関わっている。 脂質などもプレイヤーとして加えるのなら、ひとつの細胞はかなりの大企業だ。 簡単のため、プレイヤーをタンパク質に限

上階へ至る道

ひとりひとり個性があるように腫瘍もひとつひとつ性質が違うから、それに合わせて治療する。 患者の持つ遺伝子のバリエーションを調べ、それに合わせた薬剤を選択する。 個別医療という言葉を最近、特に耳にするようになって、耳にするたびこの流れの起源について考える。 思想的なものではなくて、どういう研究の積み重ねによって可能になったのかについて。 直接つながりのある研究をたどれば、大本は19世紀末に始まったウイルス学だと思う。 ウイルスは細胞の中でしか増えることができない。 おまけ

宇宙に時間はあるのか

 ベテルギウスことオリオン座α星は、地球から約 640 光年離れている。  つまり今夜空に見えるそれは、日本に室町幕府が誕生し、アジアに明やティムール帝国が興り、ヨーロッパでまだ天動説が信じられていた時代のそれだ。  冬の大三角の一角をなすこの赤い星は、近々超新星爆発を起こすのではと言われている。近々といっても「天文学的近々」で、10 年後かもしれないし、10 万年後かもしれない。  もしかしたら江戸時代にはもう爆発していて、その情報を「宇宙最速の飛脚」が 640

ブラックホールは蒸発して消える

光さえも脱出することのできない強力な重力を有するブラックホールは宇宙の中で永遠に存在し続けるのだろうか。一昔前まで、ブラックホールは周囲にあるものを飲み込んで、ひたすら質量を増やしていくものと考えられていました。 しかし、1974年にイギリスの理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士が「ホーキング放射」という衝撃的な理論を提唱しました。 ホーキング博士は極微の世界の物理法則である量子論(量子力学)の考えを、極大な世界であるブラックホールに当てはめて考えました。 量子論に

ヒグマはなぜ、山に登るのか。 #06

前回の記事更新から、早、1ヶ月。 毎回言ってますが、あっという間ですね。汗) さて今回は、久しぶりにクマのお話をしてみようと思います。 アンケート結果と、これからお話していきたいこと以前皆さんにご協力をお願いしたアンケートでは、 クマの話が聞きたいぞ、という結果が出ました。 ※ご協力、ありがとうございました! ヒグマに関しては、足で少しずつ知見を積み重ねてきた、僕にとってとても大切な情報や知識たちです。 …秘密にしていたいような気もするのですが 笑)、やっぱりクマのお話を

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分解して組み立てるまでがワンセット

アニメ・ゲーム関連の作詞家である畑亜貴さんと漫才師のサンキュータツオさんが『ただらじ』というラジオ番組を自主制作されていて、その中に『感情言語化研究所』というコーナーがある。 発注を受けて制作するアニソンと、自主制作の楽曲では、作詞の意味合いが異なる。 アニソンは作品の一部となることを前提に作られるわけだから、テーマや雰囲気は作品を反映していなければならない。 つまり作品のため、引いては視聴者を楽しませるために書いている。 それに対して自主制作では自分の書きたいものを書ける