人類以外の生命体の声を認識できるまで -長いヒトリノ夜-
フィクション小説としてお楽しみください
人類以外の生命体の声を認識できるまで -長いヒトリノ夜-
◆あの不思議な未来体験はなに?
あの不思議な未来体験は何だったのだろう?
当時の私は死んだ祖母が私のことを心配して見せてくれたんだと思っていたが、
十数年後のある日、タイムラインを行き来するというアニメを見た
それ以来、あれは死んだタイムラインにいる自分とつながって、その怨念が あなたまでここには来ないで と
伝えてくれたんじゃないかと思う
◆彼のミライ
あの日から、私は彼と別れることを決意した
今までは何度もよりを戻してしまっていたけれど
相手のためにも自分のためにもそれが最善だと信じた
自分の半身とまで思っていた相手と
好きなままで別れるのは相当キツかったけど
行き着く先があれしかないのなら...
今の二人のままだとあれ以外にイメージが出来なくて
決心は固まった
相手の幸せも願って
私の依存心に付き合わせてはいけないんだ
このままだと2人で依存の沼に溺れ続けるだけだ
別れたらきっと不幸なのは1人で済むだろうから
彼を想ってるからこそ去ることは
きっと伝わらないだろう
でも、それで良いんだ
これが私にとって精いっぱい愛するということだから…
1年後に共通の知り合いから彼は結婚したと聞いた
◆ヒトリノ夜がはじまり…つづく…
まだ暗闇の真っ只中にいる中での彼の結婚の報告は相当キツかった
けれど、これでよかったんじゃないかと思った
結婚するってことはある程度関係がまとまったからだと思うから
先に地上にイチあがりされちゃったな…
私は自分自身を立て直さなきゃいけない
そうでないと、きっとこの先誰を見つけても
あんなふうになるか、付き合う手前で終わるだろう…
まず初めにしたことは
実家暮らしをやめることだった
家を探し、自分のお給料で住めるだけの家賃の家
なんてボロいんだろう
6畳一間にキッチン、ベッド、家具、トイレはユニットバス
カーテンをして湯船の中でシャワーで洗い、カーテンの隣が便器だ
彼の一人暮らしの家とは比べ物にならないクオリティ...
家族と折り合いがうまくいかないときに
逃げるみたいにして転がり込んだ
まさに依存的だな...
◆やりたいことをはっきりと言えてなかったであろう今まで
その小さい部屋へ引っ越すときに
色んなことがあった
親はもちろん親戚にもお世話になり
友達、上司、先輩にもお世話になり
一緒に家具を買いに行って運んだり、家を掃除したり
部屋選びを手伝ってくれたり、ご飯をもって泊まりに来てくれたり
私は自分は誰も助けてくれないんだって
ずっと拗ねていたけれど
こんなにも助けてくれる人がいたんだって
わかってくれる人がいたんだって
少し恥ずかしくなったくらいだ
私のやりたいことを
ちゃんと応援してくれる人が
周りにはいるんだ
ってことに気がついて
心から感謝できた
そして、ずっと折り合いが悪かった家族にも
少しだけ ごめんなさい という気持ちが湧いた
もしかしたら今までは
本気で自分のやりたい!を表明できてなかっただけなのかなって
思ったりもした
◆特に親に対してどのようなときに本気の感謝がわくのか初めてわかった
よく感謝しろとか感謝が大事とか言われるけど、心の底から感謝できるようになると 少し人間としての器が変わった
変われたように思う
それまではその言葉が嫌いで鼻で笑っていたけれど
漸く神髄にたどり着けそうだ
感謝が大切だからと頭でする感謝と 心の底からの感謝は全然違う
今回は自分のやりたいこと、自立を応援してもらえたことが
心の底からの感謝につながった
子どもは自立を周りの大人に応援してもらえたとき
個として 一人の人間として 認められたとき
心から感謝できるんだと思った
今回の私みたいに、自分で家を出ていきたくて
出ていく過程を応援してもらうことや
一人暮らしの応援だけでなく
やりたいことを応援してもらえる
わかってもらえることも
それに等しいと思った
やりたいことを やる
というのは自立への過程だからだ
やりたいこと はその人の中からしか湧いてこないもの
親や先生や友達兄弟、周りの誰かに指図されてするものじゃぁない
ようするに、やりたいことは
その人にとっての
個人としての
その人にしかない
特色 個性 アイデンティティ なのだ
それを応援してくれることは つまり
その人そのものを認めることになる
私も子供ができたら
やりたいことを応援してあげられる度量のある親にならなきゃ
そんな前向きな意見が出る日もあった
◆まだまだ続くヒトリノ夜-夜と閃き-
どんなに初めての感謝が湧き起ころうと
そんな簡単には人は変わらないらしい…
相も変わらずヒトリノ夜のキツさはこたえるし
布団の中でも単純に寒い寂しい辛い
誰かに温めてほしい…
人にすがりたい気持ちは消えないままだった
そんな中、一人暮らしを始めて半年くらいかな?
ふと思った
この感情を懐柔する術が何かあるはずだって
私は大人になってから神話にはまって
古事記を面白いと思って読んだりしていた
そんななか、日本の神々が人間以上に人間だったことは
ものすごく印象的だった
日本の神々が破壊と創造をするみたいに
包丁が使い方次第で結果が異なるみたいに
あのエネルギーもただのエネルギーだとしたら
もしかしたら!
その発想にいたって
字本は生み出されたのだ
自室兼アトリエとなった
狭い狭い6畳
だぁれもいないからこそ
誰にも遠慮せずに創作できる
そのことがまた
創作すること 一人暮らしを始めたことに
意味を持たせてくれた
孤独が少しだけ薄まる
きっと
一人暮らしを始めてなかったらこの発想にいたっても
通り過ぎて終わっていただろう
あの頃はまだ人の目がこわくて怖くて
だから
自分の感情を現したアートを家族のエネルギーを感じる建屋では
落ち着いて描けないし、他のエネルギーが気になるわ で
思いついても万が一見られた時のことを思うと恥ずかしくて
恥ずかしくて出来やしなかったと思う
こうして、彼と別れてから
狭い部屋の片隅で私の人生の第2章が始まる