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「良い香りのシャンプーですね」

東京には、驚くほど多くの美容室が存在しています。

僕は、毎回、違う美容室に行きます。

初回だけ、安くパーマをかけてくれる美容院をアプリで探しているからです。

最近、美容師の女性と会話するのが、楽しくてしょうがないです。

もはや、髪切るよりも、美容師の女性との一期一会の会話を楽しみに

美容室へ行っている自分がいます。

今回はそのことについて書きたいです。

なぜ、みんな美容師と話したくないのか

美容師との会話が苦手だという人は、意外と多いのではないでしょうか?

僕も、前までは、美容師との会話がすごく、苦手でした。

あくまでも、自分は「髪を切りに行ってる」ので、

美容師と「会話をしに行ってるわけでない」という感覚があったからです。

より深く、この苦手の原因を探っていくと

「あまり、自分のことを聞かれたくないから」

という答えにたどり着きました。

極力、美容師の前で、自分を出したくないのです。

僕は、前から、美容師に仕事を聞かれると、「映像関係の仕事」と答えるようにしています。

芸人になる前に、一年、映像関係のバイトをしていたので、

その知識で何とか美容師からの質問に答えられるからです。

正直に「芸人です」と答えないのは

そこから話が膨らんでしまいそうだし、

たくさん質問されるのも嫌だし、

自分からアピールした、みたいになって、

「面白く振る舞わなくちゃいけないのか?」

「髪型を面白く注文しなくてはならないのか?」

と、いろいろ考えてしまうからです。

要は、自分のパーソナルな部分を初対面の人と共有したくないのです。

ちなみに相方の、ばくすずきも、慶応の3年生というのを、もう5年以上使ってるそうです。

ふつうに除籍です。

美容師と会話することが苦手な人の多くは

みんな、自分を開示するのに抵抗感があるのだと思います。

なので、みんな、痒いところあるけど、言えないのではないでしょうか?

なぜ、美容師と会話することにしたのか

去年の話です。

いつもどおり、美容師に「映像関係です」と嘘をついて鏡の前に座っていました。

最低限の、要望を伝え、無言で、パーマ液を浴びせられていました。

パーマをかけるときは、待ち時間が長いので、暇を持て余すことが多いです。

すると、隣の席に、20歳くらいの、日焼けした青年が座ってきました。

その、青年は店内に響くほどに大きな声で、自分について美容師に語り始めました。

「ボク、日本全国、回ってきたんです!すごくないですか!」と、脈絡もなく話が始まりました。

美容師に、極力、自己開示をしたくない、僕からすれば、

こんな人もいるのかと、正直、驚きました。

しかし、よーく、話を聞いていくと

どうも、青年は自慢がしたいだけで、

美容師の男性とうまく会話がかみ合っていかないのです。

美容師が「え、特によかったのは、何県なの?」ときくと、

青年は「石川が良かったですね。石川の美術館がよくて」と答えていました。

僕は、これをきいて、素直に「へえ、美術館がいいのか」と驚きました。

ふつう、日本全国回ったら、絶景やら、名物やら、あとは、旅の苦労話を話すかと思ったからです。

美容師も、僕と同じで、意外な答えに戸惑っていた様子でした。

美容師も「へえ、美術館なんだ」と当たり障りない返答をしていました。

すると青年は、いきなり、石川の美術館の良さを熱く語り始めました。

ここからが、地獄でした。

青年の話が、まあ、面白くない。

熱はあるけど、空回りしている感覚。

彼がひとりで熱くなって、その熱暴走したタービンがどこにも連動していない感じです。

そもそも、「アート」を「言葉」だけで、伝えるのってすごく難しいと思います。

身振り手振りや動きがあれば、もう少し、伝わったかもしれません。

しかし、青年は、ポンチョをかぶせられ、手を封じられ、

鏡の前に、同じ姿勢でいることを義務付けられています。

大きな声で、口だけが動く、浅黒い、はにわ、みたいでした。

彼のアートの話は、きっと、美術館が好きな人でも、吐き気がするほど、自分に酔ってる感じでした。

彼の稚拙な話術は新宿の雑居ビル8階に、むなしく響いていました。

相手に楽しんでもらう会話というよりは、自分のことを伝えたいだけのストラックアウトです。

美容師は、彼の美術館の話が、あまりにも面白くないので、

自分でもついていける、話にしたいと考えたようでした。

美容師は「石川だと、海近いから、おいしいもの、食べたんじゃない?」と会話の舵を切りました。

すると、青年は「食べ物?」とキョトンとした顔をしました。

美容師はさらに「ほら!海鮮丼とか!いろいろあるじゃん!」と話を広げようと試みました。

しかし、青年は、ムッとした様子で

あ、ぼく、ご飯にお金使うくらいなら、美術館とかの、そういう入場料とかにお金つかいたいんで!だから、ご飯は大体、マックとか、コンビニとかなんです!

と言いはなった。

僕は、その青年のその態度に、笑いをこらえながら

こいつ、超いてえー」と思った。

「人と違うことを考えるのはいいけど、それを押し付けちゃだめだよ」と心の中で思いました。

典型的な「自分探しに夢中で、自分以外を見失ってしまった人」です。

しかし、美容師は、めげずに会話を盛り上げようとしました。

え!?なんで、おいしいもの食べないの!?いっぱいあるじゃん!もったいないよ!!

と大きなリアクションを取ったのです。

旅の目的は、人それぞれだから、美容師のこの発言も、押し付ける発言ではあります。

しかし、一般的にみんなが知りたいことが会話になるので、悪気はありません。

しかし、どうやら、この発言が

青年の青いポンチョの裏地にある逆鱗に触れたようでした。

青年は、語気を強めて、

ごはんとかじゃないんです。おかしいです。今回、全国回って、僕は知ったんです。日本はすごく小さいんです。世界はもっと大きいんです。だから、日本はだめなんです。ぼくは、コロナが明けたら、海外も回ってみたいんです!日本は小さい島国だから!!

と、これからの野望を、美容室で声高に宣言しました。

美容師は、ハサミの持ち手くらいポカンと

口を楕円形に開いていました。

なぜ、ご飯の話から、青年の世界進出の話になったのか皆目、見当もつかない様子でした。

僕は、この会話を聞いていて、思いました。

美容師と会話の練習をする施設があれば、こんな不幸な事故は起きない!と。

それで、家に帰って、「会話練習のための美容室」のネタを書きました。

そのとき思ったのです。

今回はたまたま、面白い客がいたから、ネタの設定を思いついたけど

もしかしたら、美容室は髪を切るだけじゃなく、もっと何かを得られる場所なのかもしれないと。

お笑いだけじゃない、ネタに繋がるのでは!?

美容室は、可能性を秘めたユートピア(理想郷)なのでは?と。

そこから、もっと美容室を全力で楽しもうと考えました。

そうして、美容師と積極的に会話することを決めました。

美容師との会話

最初は、全く、うまくいかなかったです。

そもそも、頻繁に髪を切らないので、機会は少ないわけです。

うまくいかないことの方が多いし、緊張しました。

試行錯誤して

どうしたら、美容師と会話が盛り上がるのかと、悩んでいくと、

あることに気づきました。

美容師に「自己開示する必要はない」ということです。

こっちは、そもそも、初対面の人に自己開示するのが苦手です。

あんまり聞かれたくないです。

そして、ネタを作ったり、会話を楽しむということは、むしろ、美容師の話を聞く必要があるわけです。

となると、必然的にこちらから、美容師に、たくさん質問するべきなのです。


ここに、気づいてから、美容室でいろいろ試していきました。

最初は、美容師なら、男性でも、女性でも、担当してくれる美容師にいろいろ質問してみました。

すると、男性と、女性で会話が全然違うことに気が付きました。

結論をいうと、初対面の男性美容師との会話は盛り上がりません。

何度か、通って顔見知りになれば、会話は盛り上がると思いますが

初対面で、男性美容師との会話は、基本盛り上がりません。

一度だけ、全身タトゥーだらけの美容師男性と、タトゥーの話で盛り上がったことがあるだけです。

なんの柄のタトゥーが気に入ってるのか、きいたりしたときです。

彼は腕が落書き帳くらいタトゥーが入ってる、同い年の美容師でした。

手の甲の★が素敵でした。

それに対して、女性美容師は初対面でも、

タトゥーなしでも、会話がめちゃくちゃ盛り上がります。

これを学ぶのに、1年くらいかかりました。

男性は、仕事に関する、技術的な話は饒舌に話しますが、

それ以外の雑談は、基本的に盛り上がらないです。

例えば、「おすすめのワックスありますか?」だったり、「シャンプーありますか?」「ヘアオイルはいつ塗ればいいですか?」

などの、仕事にかかわる質問には、たくさん答えてくれます。

むしろ、聞いてないことまで答えてくれます。

「某メーカーのシャンプーは、広告費に90パーセントかけてるから、中身が粗悪なのに、CMバンバンやってるから、みんなかっちゃうんだよ。きをつけて。」

とか、そういう裏話を教えてもらったこともあります。

これも、まあ、いいのですが、僕としては

知識」「情報」の交換ではなく、心が躍る「コミュニケーション」がとりたいわけです。

ぼくは「知識の共有」ではなく「場の共有」がしたいのです。

これは、人間の生物学的な違いを考えるとわかるのですが、

原始時代の人類では、

男は「狩猟」

女は「コミュニティを守ることや採集」という役割で暮らしていました。

男は、生きるため、家族や仲間のために、獲物を仕留めなければなりません。

なので、男にとっての会話とは、どうすれば結果を出せるのか(獲物を仕留められるのか)などの話が中心になります。

すると、必然的に、男の会話は「知識」「情報」のやりとりになるわけです。

それに対して、女性は「感覚の共有」に特化しています。

「情報」というよりは、「感情」に寄り添ってくれます。

女性は円滑なコミュニケーションで、集落の雰囲気を作ったり、

男の狩りを待ちながら、育児をしていました。

共同作業や共同生活をするためには、場の空気が重要です。

コミュニティから離反する者を出さないためには、必然的に、コミュニケーションが必要なのです。

しかも、採集では、食べられる草や、木の実を「色」で見分けていたようです。

なので、現在でも、女性の方が、男性より、多くの色を識別できるという研究結果もあります。

つまり、生物学的に女性は「場を共有する能力」と「見た目に関する意識」が高いといえます。

なので、女性の美容師さんとの会話はめちゃくちゃ盛り上がるわけです。

基本、僕は、美容師の女性の髪を誉めます。

素敵だと思うからです。

これは、お世辞とかではなく、本当に似合ってる人が多いからです。

気にしたことがある人は少ないかもしれませんが、美容師の女性の髪は本当に整えられていて、きれいな方が多いです。

よく考えればわかるのですが、美容師になるほどですから、自分の髪にこだわりがすごくあるわけです。

色であったり、長さであったり、スタイルであったり、美容師としての彼女たちのプライドが、可視化されているわけです。

しかも、女性の方が、色を見る感性が鋭いわけです。

色に関するこだわりも強いのです。

そういう、とっかかりから、どんどん、彼女たちのパーソナルな話を聞いていくと、面白いことを知れたりします。

最近、面白かった話を書きます。

女性美容師との会話

半年前の話です。

対応してくれた、女性の美容師さんは、ストラップのついたスマホケースを首から、ショルダーバッグのように下げていました。

よーく見ると、その透明なスマホケースの背面に、チェキがはいっていました。

そこには、青い髪のアイドル?らしき男の姿がありました。

これは、もう、普通に気になりますし、会話の糸口として申し分ないわけです。

「あのー、おねえさん。そのスマホの裏の写真って、なんですか?」質問するポンチョ男。

「え?!」と驚く美容師。

「さっきから、ずーっと気になってて、推しのアイドルですか?」

すると、美容師さんはニコニコになり、

「これ、バンドです。好きなバンドなんです」と教えてくれました。

青い髪で1人なのに!?と驚き「え、バンドですか?」と聞き返すと

美容師は「彼、V系バンドのボーカルなんです!」と目がキラキラしてました。

チェキを見せてもらうと、メイクをがっつりした細身の青髪のイケメンがそこにいました。

僕は、ビジュアル系バンドを全く知らないので、

たくさん質問をして、V系バンドの魅力を存分に語ってもらうことにしました。

すると、いろいろ勉強になりました。

「池袋はV系バンドの聖地」
「V系は単純に、バンドと距離が近いから楽しい」
「一緒にふりつけを踊ったりするのが楽しい」
「感覚では、地下アイドルとV系バンドは似ている」
「彼女は高校生で、V系沼にはまって、今に至る」

などなど。たくさん、語ってくれました。

もう、途中、完全に作業の手が止まって、語りメインになってましたが、

そこも含めて、「場を共有する」心躍るコミュニケーションができているので、

僕は満足でした。

彼女は、昔は、SNSで知らない人と一緒にライブに行く約束をしていたらしいです。

しかし、今は「なんであんなことしてたのだろう」と、過去の自分の怖いもの知らずを恥じていました。

「今は、高校生くらいの若い子たちが怖いんです」と嘆いていました。

「若さが違うんです、、、」と遠い目をする美容師。

彼女は23歳でした。

もう面白いです。

若さを恐れる、若い彼女は最近、

女子高生に最前列を譲り、歴戦の老兵の気持ちで、

後ろの方でライブを楽しむようになってきたそうです。

最初は、前列への未練があったけれど、

すぐに

「後ろも後ろで、めちゃくちゃ楽しいことに気づいたんです!」

と彼女は目を輝かせていました。

最高です。かわいいです。面白いです。

美容師との会話②

最近だと、単独ライブの1週間前に、髪を切りに行きました。

その時は,髪を切ってくれるのは男性の美容師でした。

ただ、シャンプーをしてくれたのは、若い女性の美容師でした。

シャンプー台に案内されて

その女性の美容師にシャンプーをされながら、僕はこう思いました。

今までの人生で一番丁寧なシャンプーだ、、、

まじで、一つ一つの動きが、丁寧なんです。

彼女の、仕事に対する熱意が伝わってきました。

ああ、どうにかこの気持ちを、女性美容師に伝えたいと思いました。

ただ、美容師に「シャンプー上手ですね」というのは、

言うならば、当たり前の話です。

それが仕事ですから。

「料理人に料理得意なんですね。」と言うのと一緒で、

下手したら、ムッとさせる危険性もあるわけです。

そこで、僕は、本題に入る前に、違う話からはいることにしました。

ちょうど、リラックスするようなシャンプーのいい香りがしていたので

良い香りのシャンプーですね」と伝えました。

「え?」と、戸惑う女性美容師。

僕はひるまずに、「これ、めちゃいい匂いですけど、なんの香りですかー?」と続けました。

すると、彼女は「え、あ、これは柑橘系です。」と教えてくれました。

ぼくは「ああー!言われてみれば、完全に柑橘系ですわ。ああ、恥ずかしい!!柑橘系好きなのに、分からないの。こんないい香りなのにー!」と言いました。

笑う女性美容師。

笑ってくれたので、そこから会話が続きます。

「お姉さんは、一日多いとき、何人くらいシャンプーするんですか?」

「え?」と、また、戸惑う女性。

「いや、お姉さんのシャンプーがすごい丁寧だから、これを、一日たくさん人にやってるのすごいと思って!」

すると彼女は申し訳なさそうに

「いや、あの、わたし、4月に入社したばかりで、、、」と、言いました。

「え!?」目隠しのガーゼがズレ落ちる男。

美容師にガーゼの位置を直されながら

「え、じゃあ、まだ、あんまり、シャンプーしてない?」ときくと

彼女は「はい。3人目です、、、。」と答えました。

「3人目!?」と、かなりびっくりしました。

と、同時に僕は思いました。

素晴らしい!エクセレント!ブラボー!!!

筆舌に尽くしがたいよ!おねえさん!

彼女は入社して、3週間です。

不安もストレスもたくさんあったはずです。

学生に戻りたいと、そのあとの会話で彼女は言っていました。

美容師になったはいいものの、まだ、お客さんを任せてもらえません。

いわば、下積みです。雑務が多いわけです。

それでも、彼女は、今、自分のできる仕事を

一生懸命、やってるわけですよ。

その結果、僕は、

人生で一番丁寧なシャンプー」と出会えたわけです。

そんな彼女に対して

ぼくは「最高です。本当に、丁寧なシャンプーです。本当にありがとうございます。」と伝えました。

すると彼女は声のトーンが一つ上がり、

「いえ、そんな。こちらこそありがとうございます。」と、さらに指に繊細な力が加わりました。

ああ、これが、美容室という名の、ユートピアだ」そう、身体で感じながら

その後の彼女との会話が弾んでいきました。

そして、美容師の就活の話になりました。

面白かったのが、

美容師の履歴書の写真問題です。

4月入社の彼女に「美容師は就活のとき、髪色とかどうするの?スーツとか着るの?」ときいてみたところ

彼女は「私は、髪はピンクでメイクもがっつりで面接受けました!」と答えました。

僕は驚きました。新しい価値観に触れた感じです。外国の全く違う文化に触れた感じです。

僕は、全く就活をしたことありません。

僕の就活のイメージは、没個性の中で、どれだけ自分を表現するのかの戦いという感じです。

彼女は「実は、私も、就活するとき不安だったんです。だから、専門学校の先生に、これでいいのかって聞いたんです。」と続けました。

僕は「やっぱそうだよね!先生はなんて答えたの?」とききました。

先生は「それでいいの!むしろ、自分の好きな服着て、アクセサリーも化粧もして、個性をアピールするべきなのよ!」と言ってたそうです。

僕は「美容師おもしれえええ!!!!」と大笑いしました。

リュークが人間に対して思う気持ちに似てました。

日本の就活は、同じようなスーツ、同じような髪色・髪型の、同じ条件下で、自分の個性を表現します。

それが当たり前です。

よく考えると、これは変な話だし、かなりの縛りプレーだと思います。

うまく就活が行かず、病む人多いのもわかります。

自分とは何かわからなくなるからです。

僕は勝手に、就活が「嘘つき合戦」というイメージがあります。

「美容師の就活」の話を通して、「就活」についてより考えました。

美容師は全身を、好きで固めて、個性を表現します。

つまり、「飾ることで、飾らないわけ」です。

嘘がないわけです。

対して、普通の就活は

「飾らないから、飾ってしまう」わけです。

ただ、この美容師の就活は「美容師」になりたい人たちが集まるので、成立すると思います。

普通の就活では、無理だと思います。

いろんな企業を受ける学生を大量に判断するには、

みんな同じ条件の、画一化した就活が効率的だと思います。

しかし、僕は、やっぱり、これからの時代は

いかに自分を表現するかが大事だと思います。

最近、人間にしかできないことはなにかと、

「A・I」の進化により、盛んに議論されてます。

僕は、人間にしかできないこととは

「好きなもの」「好きなこと」で「自分(個性)」を表現して、

それを他人と分かち合うことだと思います。

それが人間の「喜び」だと思います。

そんなことを、この会話から考えていました。

丁寧に泡を流し終えた19歳の美容師は、

流れる、ぬるま湯の元栓を締めて


だから、日本はだめなんですよね」と笑いながら、僕の髪を丁寧に拭きはじめました。

なんか、すごく、しびれました。

「美容室来てよかったーーー!!」

すごいものを共有した感じがしました。

独りよがりに「石川の美術館の魅力」を語ってた青年とは

日本をダメだと思う視点」が全く違うわけです。

ただ、あの時は「イタイ」と思った、青年にも、個性はあります。

なので、彼には、もっと「場を共有」する喜びを知ってほしいと思いました。

僕の髪の水気をとり終わると、彼女は

「段差、気を付けてください」といいながら、僕を鏡の前に座らせました。

そして、丁寧に、ドライヤーで髪を乾かしてくれました。

そして、男性美容師が来るまでの時間、肩を揉んでくれました。

その肩もみが、まあ、上手でした。

僕は「あなたがいるなら、日本は最高だよ」と心から思いました。

そして、男性美容師に髪を切ってもらいました。

そのあと、2回目のシャンプーがありました。

正直、パーマかけてないから、2回目のシャンプーはいらないなと思いました。

しかし、彼女の丁寧なシャンプーをこの短時間で2回も受けられる幸運を嬉しく思いました。

そして、2回目のシャンプーも、自分の仕事を全うする彼女。

先ほど同様、すごく丁寧なシャンプーでした。

帰り道、僕の頭の中では

チャットモンチーの「シャングリラ」がリピートされてました。

ご満悦で、家路につきました。

そんな僕には、この丁寧な2回のシャンプーを経て

ある変化が起きました。

その日から、

単独ライブの日まで、ずっと、ずっと


頭が、かゆかったです。

僕は、丁寧すぎる2回のシャンプーで、

本来、頭皮に必要な脂まで、

ごっそり取られてしまったようでした、、、。

かゆくてかゆくて、しょうがない!!

やられたーーー!!!!!!

褒め過ぎたーーーー!!!!

丁寧すぎたーーー!!!!!

はい。

彼女の丁寧な仕事は、このNoteにも

丁寧なオチをつけてくれました。

ありがとう19歳のお姉さん!!!

読んでくれた方、心からありがとうございます。

長くなってすみません。

また、美容師女性との会話が盛り上がったら、書きますね。

















自分から、積極的に話しかけることで、「髪を切る」目的以上の楽しさと面白さを見出している。

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