154.幸せは自分で創るもの、楽しみは創り出せるもの、だから思うとおりに歩めばいいのよ!
「思う通りに歩めばいいのよ」92歳のターシャ
きれいに歳をとりたい……
これは男性も同じ、ヨレヨレ爺さん、シワクチャ婆さんになんてなりたくもない、そう考えている人は多いはずです。
しかし、人にはだれもが寿命というものもあります。
人生の半分を過ぎてしまえばどんなに嫌がっても、あなたも婆さん爺さんの仲間入り。でも、結局そんなことは他人の評価にすぎないものです。問題は自分の人生をどれだけ楽しんでいるか? どれだけ充実しているかが美しい人生、美しい歳のとり方といえるのかもしれません。
ターシャ・デューダーって知っていますか?
ターシャは91歳の女性で、たった1人で森の中で楽しみながら生活している人です。
この歳で1人森の中で暮らすことは現実にはとても不都合なことも多いでしょう。ターシャの生活、暮らしぶりを、もし羨ましいと思うのは、きっと、彼女が長い間に夢を描き望み、ようやく手に入れた生涯に心から感謝し、日々すべてに変わることのない愛情をもって接し、心から楽しんでいることを多くの人が感じることができるからかもしれません。
ターシャ・デューダーは1915年にボストンで生まれ、職業は画家、作家、デザイナー、仕立屋さん、料理人、そして本格的な庭師といえるほど多くの仕事(生活)をしながら人生を楽しんでいる女性です。
彼女はバーモント州の森の中を約2年かけて自らデザインした家に愛するコーギ犬をはじめ多くの動物たちと暮らしています。
1830年代のニューイングランド式庭園を受け継ぎ、約30万坪におよぶ庭には、ターシャが丹誠を尽くした季節の花々が咲きみだれ、冬には二メートル近い雪がすべてを覆います。
ターシャは長年の夢を叶えたこの土地のことを「この世の楽園」と呼び、夜明けとともに起き、動物や植物の世話をし、食事をつくり、使い込んだ道具で絵を描き、機を織り、ドレスやぬいぐるみを縫い、日々感謝しながら生き抜いています。
ターシャのユニークなところは、人嫌いで山にこもっているわけでも、都会の生活に疲れて自然の中にいるのではないところが実に魅力的なところです。
ターシャ・デューダーは25歳のときに、はじめて描いた絵本『パンプキン・ムーン・シャイン』を出版し、今までに約80冊以上の挿絵や絵本を描き続け、仕事でなくとも紙さえあれば手を動かし続けてスケッチをしています。
わたしが個人的にすきな作品は1999年メディア・ファクトリーから出版され、食野雅子訳『コーギビルの村まつり』です。
登場するのはすべてコーギ犬やウサギ、猫やヤギ、豚やアヒルなどの動物が中心で、コーギ犬が村まつりの最大のイベント「ヤギレース」に出場し、新記録を出して優勝します。このときのコーギ犬の表情にはたまらないものがあります。
また、8匹のとぼけたコーギ犬が正面を向いて並んでいる場面は、あまりの可愛らしさに涙が出てきます。
実際にターシャはこのコーギ犬と生活を共にし、このわんちゃんが好きで好きでたまらないというのがこの絵から伝わってきます。
この絵の特徴は、8匹の笑顔のコーギ犬が並んでいるわけですから、それぞれの表情やしぐさに変化を与える場合が多いのですが、ターシャの描くコーギ犬は、どれもきちんとお座りをして特に飾り気があるわけではありませんが、ただ笑っているのです。
そして、どの犬も幸せそうです。ここまで見ると、本当に心から愛していないとそこまでは描けないだろうと思えるくらい、愛を感じさせてくれます。
2005年8月31日、ターシャの丹精を込めた庭や、花々、ターシャの生活がNHKのハイビジョンで放送され、多くの人たちがテレビにくぎづけになってしまいました。ターシャの自給自足の生活様式や美しい野の花に囲まれた庭。ターシャのそばにいつもピッタリと寄り添うコーギ犬。そして四季を通した映像が写し出されたのです。NHKにはその後、問い合わせが殺到。現在はDVDで一般書店で販売されていますが、あまりにも美しい映像に多くの人たちは驚きを隠せません。
「ターシャ・デューダ」静かな水野物語 出版社 : KADOKAWA (2017/12/15)発行より。
NHKで放送されたタイトルは「喜びは創りだすもの〜ターシャ・デューダ四季の庭」これはターシャの一年間の生活をドキュメンタリーでまとめたものです。
ターシャの父親はヨットの設計者、母親は肖像画家でした。9歳のとき両親が離婚し、親戚に預けられてしまいます。23歳のときに結婚し、ニューハンプーシャーへ。二男二女に恵まれますが、43歳のときに離婚し、4人のこどもたちを一人で育て上げます。
そして、こどもたちが全員独立したとき、56歳のターシャはバーモント州の山奥に18世紀風の農家を建てて、約30万坪(東京ドームの20倍) の美しい庭の手入れをしながら一人暮らしを始めます。当時、なんと91歳。農家は息子たちが手造りで建てたものです。ターシャのことを心配してか、長男夫婦、孫夫婦はターシャのそばに住んでいます。
「離婚はしましたけど、結婚してよかったと、もちろん思っています。いい時期もあったし、4人のこどもたちに恵まれたし、家族を養わなければならなかったおかげで、活発な生活ができたのですから」
「人生を後もどりしてやり直すことは、
誰にもできません。もしやり直せたとしても、
わたしはやり直したいとは思いません。
その人生が今より良くなる保証は、
どこにもないのですもの。」
ターシャは3歳のときに、グラハム・ベルの庭の黄色のバラ(ロサ・コーゴニス)を見たときから、花の魅力に目覚めたという。
当時のターシャが好きだった話は、グラハム・ベルがポケットに入れたルピナスの種を行く先々にまいたため、アメリカ中にルピナスの花がいっぱいになったという話です。
もともとターシャは堅苦しいガーデンは好きではないといいます。だからターシャの庭には雑草と呼ばれる草花もたくさん植えてあります。
ターシャの庭は、何もない荒涼とした荒れ地をデイジーとルドベキヤの野の花で埋め尽くします。
このようにターシャの人生は決して平穏な生活をしてきたわけではないことに気がつきます。
1915年生まれ、20世紀のアメリカを代表する絵本作家の一人ターシャ・チューダーの、1970年初版の作品。数あるターシャの絵本の中でも、特に人気の高いシリーズ。, アメリカのとある村 “コーギビル”での一番の楽しみは、毎年開かれる村まつり。中でも一番人気なのが、ヤギレース!
「わたしは、ロマンチストなの。
この性格は、現実的なわたしと矛盾することもあるけど、これまでなんとか折り合いをつけてきたわ。ロマンチストは、心が自由で、何ごとも最大限に楽しめるの。ロマンチストになることは、人生を楽しむ現実的な方法といえるかもしれないわね。」
絵を描いて生活し、花を植えて楽しんでとターシャのことを知らない人たちは結果だけ見て判断してしまいますが、自分の好きな仕事をし、こどもたちを守り、育て上げ、56歳で山の中の生活に入る。このことは、ターシャのチャレンジ・スピリットと考えられないでしょうか。
努力、努力、忍耐、我慢の積み重ねと、大きな、大いなるターシャの夢が、ここまでさせてしまっているのではないでしょうか?
「わたしは、社会通念よりも自分の価値観に従って生きるほうを選びました。だから、おもしろくて充実した人生を歩んできたのだと思います」
このようなターシャのあり方が、どこか懐かしく、多くの人たちの心の故郷を写し出しているのかもしれません。
ターシャの人生そのものが可愛らしい絵本や味わい深い手作り人形、美しく咲き誇る広大な敷地の庭などが生まれたのです。
「生きているだけでも、ありがたいと思いませんか。公害や恐ろしい事件がいくらあっても、この世界は、やはりすばらしい。見慣れた空間星だって、年に一度しか見られないと思えば感動するでしょう?なんでも、そう思ってみては、どうかしら」
「楽しい事は、それを愉しみに待つ喜びも大きいものです。楽しい行事は、その日がくるのを楽しみに考え、その日がきたら思う存分楽しみましょう。そして、その楽しみをできるだけ長引かせましょう。」
2005年にNHKで放送された「喜びは創りだすもの ターシャ・デューダ四季の庭」の愛蔵版がDVDになって登場している。 (NHK・テレコムスタッフ/編、メディアファクトリー) 。一度観てはいががでしょう。
この映像は一年間、四季を通じて、ターシャ自身の生活、野花の移り行くさまやターシャが親しみ、生きる糧にしてきた言葉、自らの体験から生まれた言葉は、おそらく生きる勇気を与えてくれるでしょう。
「これまでの人生は無駄だったなんて、どうして思う必要があるのでしょう。そう思う人がいたら、残りの人生を、これまでの分まで楽しんで、と言いたいわ。」
自分自身を飾ることなくまっすぐに生きている姿にはとても共感し、惹かれてしまいます。ターシャの生き方を見ると、心の強さの必要性を伝えてくれています。
こども時代のターシャは、父は設計者、母は肖像画家という環境の中で、自分にはまったく才能がないと思ってた。
それは母のようになりたいけれど母のようにはどんなに努力をしてもむずかしいと思っていました。母のすすめでアートスクールに通い、ノートにスケッチなどをくり返していました。しかし、まったく思う通りに描けず自信を失っていたそうです。
20歳の頃、のちに夫になるトーマス・マクレディがターシャの描いた絵を観て誉めてくれたのがきっかけとなり絵本を描くことになったのでした。
「一握りの成功者の中のひとりになるのだと決心を強くし、一生懸命仕事をしなければならないのです。けっして敗北を受け入れてはいけませんよ」
ターシャのスタートはすべて結婚からはじまり、4人のこどもたちの支えが、最終的には自分の夢を実現したのです。
ターシャは絵本や映像を通じて何を伝えたかったのだろう。
それはたとえどんな環境の中にあろうと、たとえ苦しく辛い環境の中にあろうと、それぞれの自分の置かれた場所で、幸せを感じながら生き抜いていく姿勢の大切さを伝えようとしているのではないだろうか?
「これで、よくやってきたと思いますが、みなさんにお伝えするようなメッセージとありません。
もし、わたしに人生哲学のようなものがあるとすれば、ソローの言葉がいちばんよく代弁しています。『夢に向かって自信をもって進み、思い描いた人生を生きようとするなら、思わぬ感動を手にするだろう』まったくその通りです。この言葉は、わたしの人生そのものです。」
このターシャを、年老いた91歳の婆さんと呼べるだろうか?
「幸せは自分で創るもの」「楽しみは創り出せるものよ」「思うとおりに歩めばいいのよ」「今が一番いい時よ」「絵本を描くのは球根やお花を買うためよ」「何かを始めなければ、何も起こらない」
「時間をかけてすることは、それだけ愛情を注ぐこと」「人生は短いのよ、好きなことをしなくちゃ」「今が人生で一番幸せよ」
ターシャのあたたかな言葉を聞いてみませんか?
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