215.著作権侵害、ダンス教室に約1750万円支払い。生演奏だって、要注意~
1.着メロ著作権70億円突破 4年間で20倍以上の急成長~著作権者に思わぬうれしいボーナスになった。
最近はどこに行っても携帯電話の着メロの音ばかり。街を歩いていても、電車のホームでも鳴り続けている。
まあ、自分と同じ音だと今までのように誰かの携帯電話が鳴ると思わず自分の電話かとあわててしまう場面はあったが、今は違う。みんなそれぞれ好きな音楽をこの着信メロディにして楽しんでいる。
携帯電話の着信メロディについて作曲家や作詞家に支払われる著作権使用料が、統計を取り始めた1999年度から急伸し、2001年の3月末までの1年間 (2002年度)でなんと70億円を突破したことがわかった。
これは、2001年度の38億円の倍近い伸びで、4年間で20倍以上の急成長となった。ダウンロードされる「着メロ」は全国で月間1億1千万曲以上に達する計算になるという。
社団法人に本音楽著作権協会(JASRAC)は、2002年5月21日にダウンロード回数が多い楽曲の順位などとともに発表。
国内作品で最も多くの著作権料を得たのは、映画「千と千尋の神隠し」のBGM。
二位は宇多田ヒカルさんの「traveling」、三位は島谷ひとみさんが歌って再ヒットした「亜麻色の髪の乙女」だった。「着メロ」は、携帯所有者がiモードなどのインターネット網を経由して配信事業者からダウンロードして購入、電話やメールが着信する際に好きな音楽を鳴らす。
費用は毎月100円から300円の支払で、15曲から20曲ダウンロードできるのが標準国内には100社以上の配信業者がひしめき、事業者はJASRACに一曲あたり5円の著作権料を支払い、JASRACが作曲家などの著作者に分配している。
最近では、違法コピーの蔓延などでシングルCDの売れ行きは前年度比四分の三に激減しているとはまるで対象的だが、この着メロ利用の拡大はとどまることを知らず、著作権者にとって思わぬ収益源になっている。
しかし、現在は?
2.著作権侵害、ダンス教室に約1750万円支払い。
ダンス教室を相手取った著作権侵害訴訟の判決は日本で初めて。
2003年(平成15年)2月7日、無断で音楽を使用し著作権を侵害したとして、日本音楽著作権協会(JASRAC)が名古屋市内と愛知県抹桑町の7カ所のダンス教室とその経営者を相手取り、音楽の使用差し止め、演奏機器の撤去と、過去十年分の使用料相当額など51,300,000円余の損害賠償を求めた判決が名古屋地裁であった。
加藤幸雄裁判長は、
「ダンス教授に演奏は不可欠。営利に結びつく組織的継続的な公衆に対する使用で、著作権侵害は明らか」として、
演奏の差し止めと、使用回数が推定できる42ヵ月分として、計約17,500,000万円の支払をダンス教室側に命じた。
判決によると、名古屋市中村区のダンス教室などの経営者らは、市販のCDなどを再生し、レッスン使用している。
著作権法では、営業などで音楽などを利用する際、著作者の許可を求めており、ダンス教室は規模に応じて月額3,000円からの使用料を払うことになっているという。
しかし、経営者らは、協会が再三、著作権に手続に関する説明会を行うなど許可の申請を要求したにもかかわらず無断で音楽を流し続けていた。
ダンス教室側は、CDなどの再生は特定少数に対するもので、音楽利用は営利目的ではないと主張していたが、判決は、「入会金さえ支払えば誰でも受講できる」などという点を指摘し、退けた。
このように最近では、非営利だから、ボランティアだから、私的利用だからというこのような団体が多いが、なかにはカラオケ大会で使用しているバックミュージックを曲の順番に組み直し (ダビング)し、再生して、行っているところも多いが、たとえ無料の公演だからといって、著作者に無断で再生することは許されない。
3.著作権を著作者がコントロールしたい。
音楽関係は特に著作権問題にうるさい。音楽がブロードバンド時代の有力なコンテンツになりつつあり、音楽のネットでの交換や違法コピーを防ぐために、レコード業界は、CDにコピー亡し機能をつけたり、著作権管理の強化に力を注いでいる。 しかし、一方ではこんなアーティストたちの動きもある。
本年二月に開設された音楽配信サイト「千亜紀ストリート」(http://chiaki.st)は、たくきよしみつさんが作詞、作曲した曲を無料ダウンロードができる。さらにコピーと配布をも認めている。
これは、CDーRに焼いて友人にあげたり、インターネットラジオで流すことも自由。ただし、作者の著作権は明記することと、営業のための無断使用や盗作は禁止している。
「これから世に出るアーティストや、独自の活動を展開するアーティストにとっては、既存の著作権管理システムが壁になることもある。自分の作品の扱われ方は自分で決めたい」とたくきさんは語る。
アマチュアやインディーズに発表の場を提供し、曲を無料でダウンロードできる「ミュージー」(http://www.muzie.co.jp)は1999年7月に開設・登録者数は六千人を越え、アクセス数は月20万件という。
音楽の無料ダウンロードサイトとしては国内最大規模だが、ここも著作権管理の既存システムにはとらわれず、著作者(ミュージシャン)が望む形をとっている。
だからといって特にデメリットはなく、むしろ、大手レコード会社からの新人発掘の場として高く評価されているという。
また、独自の著作権文書をサイトで提供する団体もある。これは各地の音楽愛好家で作る任意団体「オープンクリエイション」(http://opencreation.org)は、ミュージシャンの「曲をこう扱ってほしい」という意思を、五桁の数字で表現できるシステムを作成。これは、たとえば、ある桁(けた)の数字は、曲の非商用・改変なしの利用について「無条件でOK」「届け出でOK」「要相談で無料」「要相談で有料または無料」といった条件を意味し、五桁によって、きめ細かな条件が表現できる仕組みとなっている。
これからは、著作者が、自分の創作した著作物を、自分自身でコントロールする時代ともいえるかもしれない。
※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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