【感想】光る君へ 第43回「輝きののちに」
あっという間に退場の気配を見せる三条天皇。
実資が道長に「左大臣殿の政とは?」と問いただす一連のシーン、実資のこれまでの経験や知識、道長との信頼関係から言える言葉ばかりでした。
「志を持った者が力を持つと、志そのものが変わる」との言葉。
人の心の移ろいやすさは志の変化にも現れるというもの。
道長の志とは、まひろの言う通り偉くなってより良き世界を作ることが道長の志だと思いましたが、それはまだまだ道なかば。
孫を帝にすることが今の道長の志とは到底思えない。
道長は、ことまひろに関しては執念深さのようなものを持っているので、そう簡単にまひろとの約束は違えないような気もします。
道長自身も「左大臣になって20年、思いのままの政などしたことない」と言う通り、自分が力を持ったとは思っていなさそうです。
そうなると、実資の考えていることに反して、道長の志は何も変わっていないのかもしれません。
とはいえ、その志を完遂するために行成をどこまでも手放さないところは道長のダークサイド。
行成は史実では妻がいるのに、ドラマでは妻がいるような様子が全く描かれていないことから、ドラマの中ではおそらく行成もまた道長の”妻”ポジションだと思います。
行成は道長に対して尊敬とは違う恋情のようなものがあるように描かれていましたので、道長はその心を利用しているようにしか見えないのです。
道長から愛されていなくても政治的に利用されるのを是とする倫子とはまた違う”妻”は、これまで燻っていた道長への怒りを爆発させそうです。
12月15日に最終回を迎えるということで、『光る君へ』は全48回となるっぽいです。
あと5回しかないようで、いよいよクライマックスの気配を感じます。
来週は例の「望月の歌」の登場です。
『小右記』に残された道長の有名な歌で、これまでの定説では「栄華を極めた道長の不遜の歌」でした。
しかし現在では有識者の中でも見解が分かれているので、ドラマの中でどういう方向で描くのかはずっと気になっていました。
ただ、予告の感じだとそんなに意気揚々とした感じではないような……。