月の撮り方
月だけ撮るのか?風景も一緒に撮るのか?
私は極度の天体情報弱者です。ですが、お月さまは大好きなので満月とか細い三日月とかを眺めています。当然、綺麗な写真に残したいと思うのですが、なかなかうまく行きません。
月単体を撮るのは天体マニアにお任せして、自分は身近な風景の中の月を撮りたいと思います。最近だと桜越しに見える満月とか素敵ですね♫建物や樹木や自然風景などと同時に同じ画面に収めるのは難しく、いつも悩んでしまいます。理由は2つあります。
(1)露出
満月は自然風景に比べるととても明るいので、月光に照らされた桜に露出を合わせると満月は露出オーバーで白くなり月面のウサギ模様は見えなくなってしまいます。逆に兎の餅つきが見えるように露出を減らすと桜は真っ黒で月だけが写ります。
対策は風景にも照明を当てる事です。街中や公園の桜は街灯に照らされている花を選び月と同じに収まる角度を選びます。
ライトアップされていない公園の桜などの場合、カメラを三脚に固定して小さな懐中電灯を持って桜の樹をひと回りして花全体を数秒かけて照明します。周りが真っ暗で他に人が居なければ自分で好きに照らせるので、何度も写りを確認して満足いくまで撮り直します。照明の当て方やライトの色味を変えるだけで雰囲気は大きく変わりちょっとしたアート制作の気分です♫
もう一つ、知り合いからは邪道だと言われてますが、露出を変えて2枚撮り、後でアプリで合成します。手間は掛かりますが良いとこ取りできます。高階調HDR撮影にチョット似てます。
ハーフNDフィルターを使って月だけ暗くしてみると言う手もあります。フィルターの濃さが撮影状況に合うかどうか判らないので私はまだフィルターを購入していません。
(2)ピント
地上の風景と空の月に同時にピントを合わせるのは無理なので、ボケが気にならない程度に被写界深度を深く設定する事になります。
被写界深度はレンズの絞りを絞る程深くなり広い範囲を鮮明に撮影してくれます。絞ればカメラへ入ってくる光が減るので長い時間露光しなければいけないので三脚は有った方が良いです。露光時間を延ばさないためにはカメラの感度をとても高くしなければいけないので普通はノイズが増えて画質が悪くなるからです。高感度対応や手振れ補正が強力な最近のカメラだと三脚無くても撮れるかも。
ピント調整の位置は、月は無限遠(∞)で、例えば桜が5mとすれば、その中間に合わせます。モニター画面を見ながら桜にピントを合わせます。拡大機能があれば拡大表示すると見やすいです。その状態で月はボケて丸い光に見えていると思います。この丸が小さくなる方向へ少しだけレンズを動かします。丸の輪郭も少しだけハッキリするかもしれません。その位置を動かさないようにシャッター押してみます。何度か試して両方が程よく見える位置が探せればラッキーです。
両方鮮明に写すのはかなり難しいので、どちらを主体に写すかで脇役のボケ具合を調節する気持ちでピントを調整すると良いと思います。
満月を脇役にしても、きれいに丸くなってくれれば雰囲気は出るので、きれいな丸にするために、レンズを絞らず開放で撮ると被写界深度が最も浅くなり月は見事にボケてくれます。少しでも絞ると絞り羽根の形が出てくるので、ここは全開にしてレンズの丸い形で月にボケてもらいましょう。
【注】私が手動で調節する際の手順も交えご紹介しましたが、露出モードはPからMに切り替え、ピントもAFからMFにモード変更します。
(3)構図
画面中に占める月の大きさをイメージしてレンズの焦点距離を選びます。大きければ望遠レンズを、周囲を多く撮り込み月を小さめにするには広角レンズを選びます。最近はコンパクトカメラのズーム倍率が30〜60倍と言う凄いのがありますので、望遠端でを使うと月のクレーターまで撮れちゃいますね。
画面内に占める月が大きくなるほど、月の動きが大きく見えるので、三脚にセットして構図を決めて、直ぐに撮れば良いのですが、雲の掛かり具合を選んで雲待ちしていると月が動いて当初の構図から外れてしまいがちです。そのような時には、画角を少しだけ広めに設定しておくと安心です。最近のデジカメは画素数が増えているので撮影後にトリミングで構図を調整しても画質的には大丈夫でしょう。
動画やタイムラプスなど時間経過を伴う撮影の場合には、先ほどの例よりも更に余裕を持った構図にしなければいけません。何分先まで撮影を続けるのか、月は昇っているか沈んでいるのか方向を加味して、撮影終了時点の構図を想定して、撮影開始時点の画角設定を行います。
お月さまの動きは思っている以上に速いので、撮影中も思い描いた軌跡で動いてくれているのかチェックで目が離せません。
以上、私の拙い経験談をご紹介させて頂きましたが、少しでもご参考になれば幸いです。