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笑われたくない

8月末で退職する暇真(いとま)です。

私はいじり/いじられで言うと
「いじられキャラ」に属すると自認してるけど、全部笑ってもらってOKと思えるほどピエロじゃない。

「笑われたくない」部分も、ちゃんとある。

特に今は、自分のキャリア選択について
笑われたくない。

「エッセイストになりたい」も「地域おこし協力隊になりたい」も「いったんデザインの勉強をしてから転職先を探します」も、今の職場では笑われる可能性が高くて、とても言えない。

お笑い芸人とか、
どうやって周囲の目に打ち勝っているんだろ。

同じ「いじられ(笑われ)」でも、おもしろくて笑顔になっちゃう笑いと、馬鹿にした笑いは全然違う。いくら芸人志望とはいえ、結構心にクるんじゃないか??

「いつまで馬鹿な夢見てるんだ」「オマエには才能が無いんだから真っ当な道を歩め」という親や同級生の目を、どうやってやり過ごしているんだろう。

やっぱりそういうのがしんどいから、
上京して(人間関係を経って)、芸人仲間とだけつるんで生きる事にするんだろうか。芸人の生態はよく知らないから、気になるところだ。

芸人と比較したら、随分話が小さくなってしまうけど、私は準公務員で、定年まで働き切る人が多い組織に属している。一概にはいえないけど、年代が上がるほど保守的な印象を受ける。

上の世代からしたら
「転職する」という時点でイレギュラーだ。
そのうえ、安定を欠いた将来設計がチラとでもバレたら、すかさず蔑みの目を向けられるのが容易に想像できる。考えただけで怖い。怖すぎる。

これは私の被害妄想なんだろうか。

たしかに私には被害妄想の傾向があるけど、
今回ばかりはそうじゃないと思う。

「え、大丈夫なの!?(愛情)」と
「え、それで生活はどうするの!?(好奇)」
の違いくらい、肌感覚でわかる。

言葉と言葉の間なのか、視線なのか、表情なのか、声のトーンなのか、それともこれまでの関係性なのか、具体的に説明するのは難しいんだけど、いじられキャラほど発言に愛があるかどうかの感知スキルが高いと思う。

「応援してるよ」と言いながら、
「ザンネンな要素を見つけてやろう」
と意気込んでいるのなんて、すぐにわかるんだ。

悪意を察知した私は、退職後のキャリア形成について、正直な説明ができなかった。蔑みの顔を見たり、見下すような声音を聞いたりしたら、私は数年先まで引きずるに違いない。だから、ちょっとでもまともっぽく将来の展望を伝えなきゃいけなかった。それでいて、会話はテンポ良く続けなきゃいけない。急がなくちゃ。急いで何か言わないと。

私はテンパっていた。

それで、ちょっとだけ嘘をついてしまったんだ。

まだ決まってない事を、決まった事のように喋ってしまった。すぐに自己嫌悪で顔が赤くなるのがわかった。さすがにダサ過ぎる。

今週一週間は、引継ぎやお別れ会がつづく。
誰かと話す度、私は嘘を重ねてしまうんだろうか。いやだな。でもそうするしかないよな。後からみんなが噂する時、私の説明がチグハグだったら、辻褄が合わなくなってしまうもんな。

もう何も聞かないでほしい。嘘を考えるのがイヤだ。自分をまともな人間っぽく見せるのがしんどい。すべての人間関係を、スパッと切り捨てたい。無理だけど。

馬鹿にされるのがイヤだ。でも馬鹿にされないように自分を大きく見せようとするのはもっとイヤだ。見栄っ張りはダサい。もう誰とも話したくない。関わりたくない。めんどくさい。笑わないで。そんな気分だ。

2024/08/19_86

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暇真
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