【AI分析】テキストの文脈から個人情報をマスキングする効率化への取り組み(自然言語処理(NLP))
Hello world!!
金融第二システム部2年目社員のりょーまです!
今回はAIを活用した
「コンプライアンス強化ソリューション」
の取り組みについてのご紹介です!
近年は個人情報の取り扱いについて
どの業界でも非常に厳しくなってきていますね。
私達が担当している金融業界ではほんの些細な情報でも
機微情報として取り扱うように厳重に管理されています。
しかし、その管理や判断は担当者の方が
一つ一つ慎重に確認して機微情報が守られているのです...!
ですが担当者の方も人間です、間違ってしまうこともあるでしょう。
なんとかこの機微情報の判断誤りをITの力で解決したい!
(ITで社会の願いを叶えたい !)
そういう思いで私達はAIを活用したソリューションを考えてみました!
そもそも機微情報とは
キビジョウホウと言えども
桃太郎が腰につけているアレの情報ではありません。
個人情報の中でも特に気をつけなければいけないものです。
JIS Q 15001では、下記のような情報を特定の機微な個人情報とし、明示的な本人の同意がある場合や、法令に基づく場合、人の生命,身体又は財産の保護のために必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難である場合などの特定の場合を除き、事業者としては取得、利用又は提供を行わないものとしています。
a) 思想,信条又は宗教に関する事項
b) 人種,民族,門地,本籍地(所在都道府県に関する情報を除く。),身体・精神障害,犯罪歴その他社会的差別の原因となる事項
c) 勤労者の団結権,団体交渉その他団体行動の行為に関する事項
d) 集団示威行為への参加,請願権の行使その他の政治的権利の行使に関する事項
e) 保健医療又は性生活に関する事項
名前や住所以外にも気をつけて管理しなければいけない情報が
こんなにもたくさんあるんです。
これだけ複雑なものを担当者の方は目視で一つ一つ判断しているんですね。
機微情報って誰が取り扱っているの?
機微情報は厳重な取り扱いが必要なことがわかってきましたね。
ところで機微情報って誰が取り扱っているのでしょうか?
例えばコールセンターはどうでしょうか?
スタッフの方は日々お客様から問い合わせを受けて、
その情報をシステムに入力しています。
そして問い合わせ内容に関して、
オペレーターの対応におかしな部分がないか?
をコンプライアンス部がチェックをしています。
はい。ここで機微情報くんが登場しました。
コールセンターの人が聞いたお客様の個人情報は
別の部署であるコンプライアンス部の人が勝手に見てしまっていいのでしょうか?
答えはNGです。
では実際にどのような運用方法で
機微情報が漏れないようにしているのでしょうか?
コールセンターとコンプライアンス部の業務を確認してみましょう。
①オペレーターが電話でお客様対応
②オペレーターが対応内容をCRMシステムに手入力
③オペレーターが機微情報を判断して対応内容をマスキング
④コンプライアンス部がCRMシステムからマスキング済の対応内容を取得
⑤コンプライアンス部が対応内容を確認して不適切な対応がないか確認
③の機微情報を判断して対応内容をマスキングするところを
AIを活用して自動化に取り組みました!
ソリューション提案
この問題に対して私達は以下の3つでソリューションを提案します。
・「Amazon Transcribe」を使用した、精度の高い音声テキスト化
・「Dataiku」, 「Tableau」による、データ加工と可視化
・自然言語処理AIによる、機微情報の特定
いきなりAIの話をしたいのは山々ですが、
優秀なAI君が本領発揮できるようには
いろいろと準備をしてあげなければいけません。
準備その1:対応内容をテキスト化
まず初めに
②オペレーターが対応内容をCRMシステムに手入力
していた部分を「Amazon Transcribe」を使用して
対応内容を自動でテキスト化します。
これで今まで手入力していた手間も省けますし、
AI君が処理しやすいテキストの形でデータを取得できました。
準備その2:データの加工と可視化
次に取得した対応内容のデータを
「Dataiku」というツールを使って
AI君がもっと処理しやすい形のテキストデータを加工します。
次にそのデータを「Tableau」というBIツールを使って
さらに人間が確認しやすい形で可視化します。
わかりやすい形で可視化することによって
お客様がどのような言葉を多く使っているのか
オペレーターは不適切な言葉を使っていないかなどが
一目でわかるようになり、業務を効率化することができます。
本領発揮!:機微情報のマスキング
お待たせしました。
最後にAI君が処理しやすくなった対応データを
自然言語処理AIを使って
③オペレーターが機微情報を判断して対応内容をマスキング
の作業を自動化します。
自然言語処理により対応内容を細かく分析し、
機微情報度合いを測定します。
そしてある一定の基準を超えて機微情報と判断されれば
自動的に黒塗りでマスキングしてくれる便利な仕組みです。
これによってコールセンターの業務は以下のように改善ができます。
改善後のコールセンター業務
①オペレーターが電話でお客様対応(自動記録&テキスト化)
②対応内容をAIが機微情報を判断して自動マスキング
③コンプライアンス部がCRMシステムからマスキング済の対応内容を取得
④コンプライアンス部が対応内容を確認して不適切な対応がないか確認
現在のコールセンター業務
①オペレーターが電話でお客様対応
②オペレーターが対応内容をCRMシステムに手入力←自動化!
③オペレーターが機微情報を判断して対応内容をマスキング←自動化!
④コンプライアンス部がCRMシステムからマスキング済の対応内容を取得
⑤コンプライアンス部が対応内容を確認して不適切な対応がないか確認
これまで手動だったところが2つも自動化されましたね!
自動化されることで
ヒューマンエラーも防ぐことができますし
業務の効率化もできる
まさに一石二鳥ソリューションです!
まとめ
今回はコールセンターを例に
AI活用コンプライアンス強化ソリューションの取り組みを紹介しました。
この仕組みは機微情報に限らず、
音声から分析できることに応用ができると考えています。
例えば先程のコールセンターの音声を分析して
お客様の性格を分析して、
その性格に合うオペレーターを自動で割り振って
お客様の満足度向上に繋げることなんかもできると思います。
他にも自然言語処理のAIは様々な分析モデルを使うことで
あらゆる場面での活躍が期待できます。
今後も様々な取り組みを発信していきますので
ご興味がありましたらいいね!やコメントをいただけますと
大変励みになります!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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