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【読書】『悪いことはなぜ楽しいのか』戸谷 洋志(著)

ちょっといけないことをしたときの、心が踊るあの感じ。
意地悪、自己中、復讐にも絶妙な快楽がつきまとう。しかし、なぜそんな気持ちになってしまうのか。ホッブズ、ショーペンハウアー、カント、ハンナアーレントらの言葉を引きながら、人間の「善悪」について考える。

子どもの頃、悪いことをたくさんしてきた。
その中でも特に、学校やクラブチームでのルール(規則)を破ることが多かった。なにも人のせいにするつもりはないが、そこには、とにかく型にハマることが嫌いな父親の影響が少なからずある。

運動神経が良くて美術的センスのあるわたしの父親は、つねに我が道を行くこと、それはつまりわたしが勉強ができることよりも、自分らしく在ることや自分を表現することに価値を置いていた。周りから見ると、その存在は異質だったのかもしれない。

そんな父親に育てられたわたしも変人としての血がかよっている、ようだ。周りから「変わってるね」と言われることもあるし、「周りと違う発想をもちたい」という欲もある。自分でも思い当たる節がないわけではない。

ただ、その独創性が時として他人を傷つけてしまわないかは気をつけるべきだと思う。人を傷つけることすべてが悪いとは思わないが、大人として最低限の配慮はすべきだろう。

人間の善悪は、難しいですね。けれど難しいからといって、考えなくていいわけではありません。

私たちは明らかに復讐を楽しんでいます。なぜならそれは私たちの欲求を叶えてくれるからです。しかし、同時にその欲求は苦痛に駆られています。だから復讐することは、ただ楽しいことばかりではありません。復讐心に駆られている人は、同時に自分自身をすり減らし、苦しみながらそうしているのです。

本文より

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