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嫌いな味覚が作られるとき

ひとときの昼ご飯体験が嫌いな味覚の記憶を呼び覚ましたお話。

今日はイベントメニューだったからか、鶏肉の炭火焼みたいなやつが出ていました。炭火焼と言えば九州の大分が有名でしょうか。もくもくの煙を出しながら真っ黒に炙られていく鶏肉は、雄どり・雌どりで味が劇的に異なる、🍺ビールに非常に合う料理です。

あ~書いてるだけで思い出しよだれ🤤がでてきます(笑)。

かの昔、若造社員のころに取引先の接待にて北新地のまんとくさんにお邪魔したことがあります。接待とはいえワリカン方式だったので、遠慮なくいろんなものを頼もうと思ってましたが、まんとくさんは鶏しかないんですね^^。

鶏オンリーなので頼めるだけ頼んだのですが、ま~ここの鶏の美味しいこと🤣。サイコーのひとときをあっというまのひとときで駆け抜けた食体験でした。いまだ人気のようなので気になった方はぜひ行ってみてください。あ、服装はラフな格好がよいです。当然ながら白煙が服に着きますので。

でね。そのまんとくさんを彷彿ほうふつとさせる鶏炭火焼風のメニューがあったので選んでみたのです。食堂ですから期待はできませんが、見た目は頑張って炭火焼の様相を呈していました。少しは期待できますかね。昼ご飯なのでビール🍺はおあずけです。

値段を考えるとがんばったメニュー。普通に炭の香りしてきていい感じ。作り置きで時間がたって表面の香ばしさがしっとりに変わっているのが残念でしたが美味しい。ご飯も進むし、付け合わせで用意した最近覚えた白コショウ塩がまたいい感じで働いてくれている。味噌汁も今日のは指折りに美味しい。やっぱり作っている人によるんだろうねぇ、安定した味って難しいのかもしれない。材料は同じなのにね。

ひととおり楽しめて食べれて幸せだったのですが、食後にふとこんなことを思い出しました。

鶏肉の皮ってブヨブヨしてて
噛んだら気持ち悪くて
噛みきれないから飲み込めなくて
うぇ~っ😖ってなるから
嫌い!

子供のころの鶏肉に抱いていた印象

いつからだろうか。鶏皮なるものを美味しいと感じるようになったのは。今も昔もやわらかくてブヨブヨしているのに変わりはないのに、今は何の躊躇ちゅうちょもなく美味しいと鶏皮と食べることができる。

ということはこれは確実に、自分の中で鶏皮に対する認識が変化したということだ。嫌いだったはずのものが美味しく思え、好きになる。人間を相手にしてもこんなことは多々あるから、味覚なんてしょっちゅうあるんだろうね。

そしてここでひとつ、あ~これかも!って思ったことがありました。

鶏皮を最初に食べさせられたときの食体験に大きく影響されるのでは?

鶏皮に限ったことではないと思いますが、ここは鶏皮の話題なので鶏皮でいきます。

小さい頃に親から「鶏肉だよ~」って親子丼に入っている鶏肉を食べなさいと言われたとします。親子丼には見た目綺麗に鶏肉が乗っていて美味しそうに見える。でも実は、それを作ったお母さんはヘルシー志向で薄味マニアだった。当然親子丼の味も薄く、とりわけ鶏肉についている味なんて皆無に近かった。

さぁ、こんな親子丼を子供は「鶏肉初食体験」として食べるとします。ひと口含むやいなや

なにこのブヨブヨ(@v@
え~っ!噛み切られへん
しかし味がまったくしない
かすかに・・・クサい
わ~これが鶏肉?の皮?
まっず~~~~~っ(>v<)

たぶんこんなことを子供は感じ、思ってしまうでしょう。そしてこれ以降、鶏肉とはそういうものだという観念がこの食体験からできてしまい、これから人生のどこかで何らかのきっかけにそれがリセットされる日まで「鶏皮とはまずいもの」という固定観念が付いてしまう。

こう考えるとね、嫌いな味覚が作られる根源はお母さんの料理にあるのでは?と思うわけです。

もちろんすべてではないです。が、お母さんと子供がそれぞれ持っている味覚のダイナミックレンジ(ここからここまでは許せるという味覚についての感受性の範囲)が大きく異なっていると、毎食毎食初めてのものを食べさせられては嫌いになるを繰り返し、嫌いなものだらけになってしまのうではと。

そんな自分の体験を思い返しても、こと鶏皮みたいなブヨブヨ・ぷにぷに系は親の調理法が自分にあってなかったんだということが、大人になっていろんな店で鶏肉・鶏皮を食べたときに気づかされました。

だからお母さんと子供の「味覚のダイナミックレンジ」の重なりは、できればほとんど重なっている方が食体験としては幸せなんだろうな。

もちろん嫌いな味覚が作られたとは言え、お母さんの料理は唯一無二のお母さんの料理。

広い意味でいろんな形で子供の記憶に残ることは間違いありません。そしてたいていは、家庭の味で嫌いになった味覚が、大人になって外の店でこんなにおいしかったのか?と気づき、新しい気持ちになる。お母さん料理下手だったんだぁ~(笑)と笑い飛ばしはするものの、歳を重ねていくとやっぱり「お母さんが作ってくれたあの味覚」が食べたいと思う。まずかったのにですよ。子供のころ食べたお母さんの味はまずかったのに、そしておそらく今それを食べてもまずいと思うはずなのに、なぜか「お母さんの味覚」を食べたくなるのは、なんでなんでしょうねぇ^^。

ここは食体験のおすそ分けなのでお母さんの味覚については話は置きますが、嫌いな味覚が作られるところが実は一番帰りたいと思っている自分の家庭だったというのは、気づいてしまったときはかなりショックでした。

人間、最初に口にした味覚に影響される。だから最初に食べるものは良いものを食べなさい。

祖母の食体験に関するイイ癖

これは祖母が口を酸っぱくして言っていた言葉です。

祖母は自分の年金から子供の時の私に最初に食べさせるものについては、いろんな店を走り回って良いヤツを大枚はたいて手に入れてきて食べさせてくれた。

子供のころの私はそんなことがあるとはつゆ知らず、文句ばっかり言って食べていたが心底ではとても美味しかったことを覚えています。

食体験って子供のころこそ大切だから、今小さいお子さんがおられる家庭とかは一生懸命考えてみてほしいなぁと思います。ただまぁできる範囲での考えになると思うので、親や子供など近い関係の人とは味覚のレンジができるだけ重れる工夫ができればいいのかなとも思います。

たかが鶏皮、されど鶏皮。

鶏皮だけでこんなに書き下ろしてしまいましたが、それはまた、まんとくのような鶏皮のおいしさを気づかせてくれた店への感謝と、そんな食体験をすることができた仕事環境、そしていろんなタイミングが合わさって、嫌いだった鶏皮が好きになった瞬間の記憶が書かせてくれたものでしょう。

これは自分にとっては幸せなこと。

みなさまにも、みなさまのお子様にとっても、ひとつでも幸せな食体験がありますように。


さぁ、あしたは何を試そうか。

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