1. インド・パキスタンの独立、その当時の社会とは。
この回の読書範囲は、全3巻(Books 1, 2 & 3)の内の Book 1 の最後の3つの章と Book 2 の最初の章です。Book 1 の最後の章では語り手が誕生し、インド・パキスタンの地が英国支配から解かれる日・時刻へのカウントダウンが進行します。この時点でのこの社会の姿を次の文章が見事に教えてくれます。学校や新聞やの日本語で学び思い描いていた「独立」が持つ栄光や勝利のイメージとは次元を異にする、生活している人々の姿を知る思いです。
2. 私にとって、初めて目を通した時にはややこしくて意味不明だったのですが
頑張って読み返してみると、なんとも面白い話だと解って大満足、ニンマリ笑わずにはおれません。
3. 古くからの都、歴史を引きずる Delhi に対比される Bombay 、それは英国人に引きずられ出来た港町です。
第二次大戦の終了後の1947年、英国からの独立を達成する日まで残り2ヵ月の頃、まだ生まれてはいなかった語り手。その両親がデリーからボンベイに引っ越します。古い大都市デリーとは全く異なる大都市です。
4. 1947年8月15日、インドとパキスタンがスタートします。英国の統治がなくなってもこの広い地にはひと纏まりになるために共有できる原則が欠けています。
小説の語り手は1947年8月生まれ 31 才の男性。ストーリーの切れ目、合間を見つけては、語り手の声で「そのストーリーの背景・社会の状況」と「登場人物でもある語り手自身の胸の内」が読者に赤裸々に語られます。小説の読み手にその理解し方・捉え方を任せきりにはできない「作者が信じる事実」と「作者の観点」があるのです。
《 この引用部分に関するコメント 》
語り手はこの短くはない小説にあって語り手の暮らしを自伝的に語るのですが、その1/3まで書き進みながらも、自分の母のお産についてすらまだ書き終えていないこと、家族以外の社会についてはあまり積極的に言及していないことを読者に再認識させ、それが語り手の恣意的な行為であると幕間から教えるのです。
5. 1947 年生まれの子供の 1953 年頃のボンベイにおける日常は、同じ年に日本で生まれた私の記憶にある当時の私の日常とそっくりで驚きます。
ここに取り上げるシーンが持つ、この小説全体の流れの中での意味・役割からは逸れてしまうのですが、以下はこの数行が私に呼び起こしたチョットした感慨です。
6. Study Notes の無償公開
今回読み進めた部分、Pages 102-186 に対応する Study Notes を公開します。A-4用紙に両面印刷しA-5サイズに二つ折りしてなる冊子を作ることを前提にレイアウトされています。
Wordソフトの規定の操作に従い冊子形式から見開き形式に変更することで好みのページのみを印刷することもできます。